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フライトの変更情報を顧客に即時通知、サービス向上に挑むサウスウエスト航空

Southwest Upgrades Customer Service By David F. Carr

顧客サービス向上のため、電話による自動音声配信システムを利用しているサウスウエスト航空。米紙が実施した顧客サービス満足度調査で低評価を受けたことをきっかけに、社内外のシステム連携などの困難を乗り越え、稼働にこぎ着けた。今号では、この導入事例を追ったCIO INSIGHTの記事を取り上げた。もう1本は、スポーツ界のエグゼクティブたちへのインタビューから導き出した、リーダーのための6つの教訓を示したものだ。

サウスウエスト航空のフレッド・テイラー・ジュニア氏の仕事は、搭乗予定の顧客が問題に直面しないように取り計らうことである。例えばフライトが大幅に遅延したり運休したりした際に、顧客が空港へ出発する前に、電話でその情報を通知し、いくつかの代替策を示すといった業務を担当している。

ハリケーンや吹雪といった自然現象が突発的に起こると、最悪の場合は空港が閉鎖され、何万人もの顧客に多大な影響を及ぼす。こうした緊急時でも、顧客に代替策を連絡できるようにするため、同社は自動メッセージングシステムを構築した。

このアプリケーションは、運航情報を管理するデータベースを綿密にチェックし、問題となるフライトがあったなら、影響を被る顧客を即座にリストアップする。次にコミュニケーション関連サービス企業であるVaroliiが提供する電話によるメッセージ配信システムを介して、顧客に必要なメッセージを送信するという仕組みだ。メッセージには、録音した肉声と、テキスト音声合成ソフトによる音声を併せて利用している。

悪天候によって運航状況が刻々と変わる時に顧客がどれほど不安な立場に置かれるかは十分に把握しており、できる限りの対応をしてきたと語るテイラー氏。だが、「天候に起因する問題に対処するだけでは顧客サービスは不十分なのではないか、その他にも顧客に影響を与える要因があるはずだ、と考えるようになった」と続ける。そして、フライトの出発ゲート変更といった、天候に関係なく発生する事柄までも顧客に伝達できるようにシステムを改善してきた。

調査で判明した評価の低さがサービス刷新を後押し

サウスウエスト航空が顧客サービスの向上に大きな興味を持つようになったのは、米ウォールストリート・ジャーナル紙の調査で、フライト情報の配信サービスの分野において、同社が比較的低順位にランキングされたことがきっかけだったと、Varoliiのフィールドオペレーションズ担当副社長であるジェフリー・J・リード氏は語る。

テイラー氏は、自社は優れた顧客サービスを提供しているというプライドを持っていた。だが、以前のフライト情報配信サービスがそれほど評価を受けていないことにがっかりしたという。以前のシステムでは、配信を希望する顧客は事前登録の必要があった。インターネットで同社のWebサイトにわざわざアクセスして、希望するサービスを登録するのである。顧客にとってみれば、自分たちが搭乗予定のフライトがキャンセルされたら、面倒な登録などしなくても事前に知らせてもらいたいと思うのは当然のことだった。

電話による配信システムを構築
顧客が受け入れやすいよう配慮

サウスウエスト航空は当初、電子メールと携帯電話端末のテキストメッセージによるアラートを採用しようと考えた。だが最終的には電話による音声通知から開始することに決めた。理由の1つに、同社の顧客データベースには、必ずしもすべての顧客の電子メールアドレスが収納されているわけではないという現状があった。

顧客がオンラインで予約した場合は電子メールアドレスを容易に獲得できる。だが、電話による予約の場合は必ずしもそうはいかない。「すべての顧客について把握できているものは、電話番号だけだった。必要なメッセージをどういった形で顧客に伝えられるかを考えたときに、もっとも確実な方式が電話によるメッセ−ジ通知だったのだ」とテイラー氏は振り返る。

テレマーケティングや選挙活動時にかかってくる、ロボット口調の一方的な自動音声電話メッセージは、ほとんどの場合歓迎されない。自動配信サービスでは時に、フライトの遅れといった顧客にとって悪いニュースも伝えなくてはならない。他の業種でも、例えば銀行が住宅ローンの支払いが遅れて資産の差し押さえの危険がある顧客に、ローンの支払いを催促するといった例が考えられる。こうした顧客にとって都合の悪い情報であっても、顧客が当面の危機を脱するためのいくつかの方策を提示しなければならないのだ。

そこで同社はVaroliiと協力して、聞く側にとって耳障りでなく、自然な口調でかつ明瞭なメッセージを自動発声できるようにした。併せてメッセージの中で、フライトにどのような問題が起きているかを簡潔に説明するようにし、必要であれば顧客が担当者と直接会話できる工夫を盛り込んだ。そのほか、顧客と電話がつながった時点で特定のチャイムを鳴らし、人間からの電話ではなく自動音声システムによるものだということを顧客に知らせるようにしている。

“半自動”をあえて採用
システム連携が大きな壁に

サウスウエスト航空では、顧客への情報通知プロセスの中に、人間の判断を入れ込むという方法を選択した。サウスウエスト航空のプログラマは、Javaのグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)コンポーネント群である「Swing」を使い、独自のGUIを開発。テイラー氏のチームが送信前のすべての警告の内容を把握し、Varoliiのテキスト音声合成エンジンに送信する顧客向けのメッセージを状況に応じてカスタマイズできるようにした。

プロセスすべてを自動化していないので、フライトの変更や運休が発生した瞬間に、即座に決められた告知をする仕組みにはなっていない。だが「どのメッセージを送り、あるいはどのメッセージは送るべきでないかの判断をテイラー氏のチームが自ら下すことができるため、提供する情報の質を少しずつ向上させることができる」とサウスウエスト航空技術部門の上級マネジャーであるアラン・ミッツェル氏は語る。

導入決定から約1年間の開発期間をかけ、2008年の8月に新しいアプリケ−ションを稼働開始した。もっとも複雑で手がかかったのは、航空会社のシステムとの連携部分だった。例えばWebサービスAPIを利用してVaroliiのシステムに転送するデータを、どのように生成するか、といった部分だ。

顧客サービス用に手組みのアプリケーションを多く保有する同社では、フライトや顧客など様々な情報を集めるために、いくつかのシステムを刷新せざるを得なかったという。テイラー氏によれば、該当するフライトに関係するすべての顧客データを確実に抽出して、それをVaroliiのシステムが扱えるフォーマットに落とし込む部分が大変だったという。

「技術的に難しい部分はほとんどなかった。唯一困難だったのは、各データ間の相関関係を明らかにする部分だった」とミッツェル氏は語る。データの相関関係の明確化の対象は、社内システム間だけでなく、旅行予約サービスの米Sabreが運用するシステム「Sabre Reservations System」との間にも及んだという。

品質の高い顧客データを得ることは、引き続き大きな課題だとミッツェル氏は語る。「サービスの運用にあたっては、顧客の正確な固定電話や携帯電話の番号、テキストメッセージングサービスに関する情報などが重要になる。こういった情報を獲得するために、他のいくつかのプロジェクトの助けを借りているところだ」。

本記事は米国の有力ITメディア「CIO INSIGHT」(提供はZiff Davis Enterprise)の記事を翻訳したものです。
ⓒ2009 Ziff Davis Enterprise, Inc.

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