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今、DBに注目する理由―Oracle 11g R2、その実力を解剖する Part 2
業務プロセスとITの一体化は、今日の企業システムに共通する重点課題である。企業は業務プロセスを通して、ビジネス・モデルや戦略を具現化し、日常業務に定着させる。業務プロセスの強さは事業競争力に直結する。
IT化にとっては、事業に貢献するシステムの具体像であり実現目標として、「業務プロセスとの一体化」がある。
事業の視点で業務プロセスを描き、そこに必要な機能を組み合わせていく。システムの単位には縛られない。そして、顧客や担当者の利用場面に合わせて、業務に密着した機能を用意する。
実現像へのこだわりが明らかになれば、システムに求める姿や特性にも違いが見えてくる。システム像が変われば、求める技術も変わってくる。こうした変化の構図を、今もっとも顕著に感じるのがデータベースである。
事業視点の業務プロセスは組織やシステムの垣根を超えて流れる。複数のシステムで発生する「モノ」や「コト」の動きをきめ細かにデータにし、時差なく情報として共有することで、業務プロセス全体が可視化する。
その情報を基点に機能が連鎖して、業務プロセスが一貫化する。離れた場所にいる人が、あたかも隣にいるかのように連携しあう。業務プロセスや役割分担の変更にも、情報によって業務プロセスの動きが共有できているからこそ、柔軟に対応できる。
今日の業務プロセスは情報の力に強く依存している。業務プロセスを可視化し、情報を基点としたしくみを確立することが、ITを駆使した業務プロセスの基礎になる。それだけに、情報を担うデータベースの存在感は大きい。業務プロセスとの一体化が進むことでもっとも強く影響を受け、変化が求められているのはデータベースである。
言い換えれば、データベースの充実度によって、企業システムの成長が左右される。改めて、データベースの重要性を認識し、あり方を問い直さなければならない。そこに、新しいDB技術の価値と必然性もあるはずだ。
業務密着で問われるDBのスピード
Web上の画面から顧客が直接注文を登録する。その場でシステムが注文内容をチェックし、在庫を引き当て、納期を回答する。確定した注文データは即座に後続のプロセスに引き継がれる。顧客の注文から出荷まで、リアルタイムに業務プロセスが流れていく。
最近増えているアプリケーションの姿である。顧客や営業担当者が自ら画面に向かい、システムと対話しながら注文のプロセスを実行する(図2-1)。
「確定後入力」から「確定前入力」に変化するシステム。業務と密着したシステムは、人が仕事をするタイミングで動く。図は受注入力の例。従来は確定後のデータを入力するため、事前に多くの手作業を要した(上段)。今日では、受注申込から確定に至る一連の判断と事務作業を支援している(下段)
従来のシステムでは、確定後のデータを登録していた。注文を決める手順はすべて人手に頼っている。システムが担う機能は後方の一部にすぎない。
一方、最近のアプリケーションでは、人の動きに合わせて、システムを業務の最前線に位置づけている。業務プロセスとの一体感が強い。注文データの確定に至る過程をシステムが支援することで、顧客や担当者の体験をそのままデータとして記録し、業務プロセスの可視化や支援機能に役立てられる。
こうしたアプリケーションは、注文データをつくる部分と、確定した注文を登録する部分の2つの要素で構成される。基幹系の入力アプリケーションに、高度な分析や検索を組み込む形だ。
分析といっても、シミュレーションや一般的なBIのように人が読み判断するものではない。データの妥当性をチェックし、論理値を算出するアプリケーション内部の処理だ。構成確認や代案の誘導、リコメンデーションなど。入力時のデータチェックとは、使うデータ量もロジックの複雑さも次元が異なる。
何よりも、圧倒的に速くなければならない。対話型の入力に耐えられる速度が必要だ。分析には多回数のデータ読み込みがある。データベースの速さが肝になる。しかも、1つのデータが多様なロジックに使われる。データをスタンバイするにも限界がある。まずは、シンプルなデータの読み書きが速いこと。DB技術の基本性能が問われる。
ここで1つ注意したいのは、データ確定前の分析部分にも、多数のデータの書き込みがあることだ。問われているのは、データを読み分析する速さだけではない。これには3つの理由がある。
まず第1に、業務プロセスを可視化し、顧客や担当者の動きを記録するには、きめ細かなデータが必要になる。
2つめは、注文の申込から確定までには複数のステップがあり、複数のロジックが組み合わさっていることである。ステップやロジックごとの結果は途中状況のデータとして持つ。すべてのデータが整ったところで、「完全なデータ」となって、確定入力に流れる。3つめは、分析ロジックや処理の自律性を高め、プログラムの巨大化や複雑化を避けるためである。これはSOAを考えると分かりやすい。サービスごとの結果をデータに返していくことで、サービスが自律し、組み替えが自由になる。
業務プロセスとの一体化によって、データベースが扱うデータは一気に増加する。アプリケーション途中のデータ読み書きの頻度は、従来の確定後入力のアプケーションとは比較にならない。大量のデータを使った分析をし、大量のデータを書き込んでいく。データベースの速さが、業務プロセスとの一体化の前提条件になっている。
データベースの経済性に対する具体策
分析と確定入力では、本来、データベースに求める特性が異なる。かつては、業務支援のシステムを独立して、非同期で基幹系のシステムにデータ連動する形も多かった。しかし実際には、在庫引き当てや価格算出のように、リアルタイムに基幹系のデータベースを見る場面が多く、そう単純に2つに分けることはできない。しかも、データを書き込む頻度が増えている。大量のデータを読み分析すると同時に、細かな単位でデータを書く。分析と入力がシームレスに1つにつながる。
それには、異なる2つの要素を1つのデータベースで対応するか、あるいは、情報共有と分析に特化したデータベースを、入力系のデータベースとリアルタイムに統合するかのどちらかだ。前者には、入力と分析を両立するDB技術、後者にはリアルタイム連携のDB統合の技術が必要になる(図2-2)。
もう1つ、業務プロセスとの一体化を進めるには、急激に巨大化するデータベースに対する「規模の経済性」への具体策が求められる。従来、特に基幹系のデータベースは信頼性が第1で、費用が少しくらい高くても、手厚い構成を組むという考え方が多かった。確定後のデータだけであれば、事業の成長に比例した増加だけなので、ある程度費用を読むこともできていた。
しかし今は、業務プロセスとITの一体化が進むのに合わせて、データが広がっていく。顧客や取引先との接点や協業関係のIT化もある。業務プロセスの進化によって、10倍、20倍といった単位でデータが増えていく。拡張性への強さも経済性の武器になる。
もちろん、信頼性に対する厳しさは変わらない。むしろ、確定後の処理に比べて、業務プロセスに直接関係する分だけ、事業への影響が大きい。
規模の経済性と信頼性の両立。これもまた、今日のデータベースに必須の技術課題である。DB技術のHA構成によって、スケールアウト型のHW環境を使うことなど、システム全体を見渡した具体策が求められる。
業務プロセスの一貫化は信頼性が生命線になる
業務プロセスとの一体化では、もう1つ顕著なアプリケーションの変化がみられる。先の注文のしくみを例にすれば、注文の入力時点で後続プロセスに対するデータのチェックを完了し、クリーンな確定データとして流通することである。「前品質」とか「コミット・ベース・プロセス」と呼ばれる。
従来は、注文入力の時点では受注に必要な最小限のチェックをするだけで、後続のプロセスで段階的にデータを追記し、正確性を高めていく形がとられていた。モノやコトの動きに合わせてデータを確定していく。時には、受注時点で顧客と納期や納品形態を約束しても、実際に処理をしてみると対応できないなどということも起きる。
前品質のプロセスは、発生時点のシステム負担が重い。しかし、ここでデータをクリーンにし、確定状態にすることで、業務プロセス全体の想定データができあがる。あとは、データに基づきプロセスを遂行していくだけだ。
前品質のプロセスを可能にしているのは、リアルタイムの情報共有である。情報がなければ、後品質と同じくモノの動きを待つしかない。ITとの一体化によって、初めて成立する業務プロセスであるとも言える。
それだけに、前品質におけるデータベースの信頼性への要求は桁違いに高い。しかも、前品質のプロセスには、複数のデータベースが関わる。複数のデータベースの連携を前提とした信頼性と運用能力の確保が前提となる。
DBの自律性を高めDB技術を基盤化する
業務プロセスとITの一体化を進めるには、データベースの力を高めなければならない。それに向けて優先度が高い、3つの取り組み課題を考えた。
1つは、変化する企業システムの姿を整理し、それに対するデータベース全体像を描くことである。データベースのリストをつくるだけでは足りない。データベース同士の位置関係と役割分担を明らかにし、清流となる流れを定める。静的な全体像ではなく、動的な流れに重点がある。物理配置との関係も大切だ。
2つめはデータベースの自律性を高めることである。複数のデータベースが連携して動くシステム像では、個々のデータベースの自律性が欠かせない。それによって、アプリケーションへの依存度を下げ、システム全体をシンプルにする。DB技術によって、自律性の範囲は広がっている。複数データベース間の統合技術もある。自律性をキーワードにDB技術を極めたい。
最後は、データベースにも基盤化が必要であるということだ(図2-3)。共通技術の基盤化は、現在のIT化の優先課題である。しかし、データベースに対しては、あまりにも早くからDBMSを使ってきたために、個別の構築に任せるだけで共通基盤化を怠ってきた。
業務プロセスとの一体化を進めるにはDB技術の活用が欠かせない。新しい技術を積極的に企業システム全体に取り込んでいくためにも、基盤化が果たす役割は大きい。データベースには、継続的な成長が必要である。データベースの基盤化は、DB技術を追い続け、常にデータベースのあり方を考えていくための具体策になる。
- 桑原 里恵
- 札幌スパークル システム・コーディネータ
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