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情報サービス産業は自らの改革を急げ(vol.15)
最前線の営業担当者はいくらか元気があるように見えるが、彼らにしても将来を見据えた話を出来る人は少なく、目先の案件と目先の売り上げばかりを気にする。ノルマを考えれば致し方ないところもあるが、何より気になるのは自らの職業や産業を、卑下しているような雰囲気を感じることだ。「卑下も自慢のうち」であるならまだしも、自信やプライドを失っているようなのである。そんな中で、たまにプライドを持って語る技術者や将来を見据えた経営者にお会いすると、まだまだ捨てたものじゃないとホッとする。
問われる産業としての魅力
ITと言えば技術革新の最先端である。日本のウリである製造業は全てその技術革新に頼っている。そのITを提供する情報サービス産業は、本来は知的でクリエイティブで、しかも面白い仕事のはずだ。にもかかわらず魅力的に見えず、学生など若い人に人気がない。何故だろうと仮説と検証を繰り返していると、思い当たることがいろいろ出てくる。
学生は就職先を選ぶ際に、産業としてのステイタスや処遇、将来性などを漠然と感じて判断している。情報が少ないから、近視眼になるのは仕方ない。だから景気や時代の流れによって人気産業や人気企業がよく変わる。安定を望んで公務員など行政職を選択する学生もいるし、高い給与や仕事のダイナミックさを望んで金融系を目指す人もいる。
そうした中で優秀な学生を呼び込むには、まず産業としての魅力を示さなければならない。賃金が良いかは気になるだろう。労働環境ややり甲斐も気になる。産業としての将来性や、尊敬できる経営者が輩出されていることも重要だ。情報サービス産業は、これらをどれだけ満たしているのだろうか?
問題の1つは、企業活動が見えにくいことだ。技術者が前面に出てくることが少ないし、中堅クラスの技術者や営業担当者の転職者が多い。部分的な事象を取り上げて、3Kだ5Kだと言われたりするのは建設産業とも似ている。多重階層と労働集約の部分があるからだろう。
それ以上に、前号でも書いたように業務の機械化・自動化が進まないことが大きい。開発は人員頼りだから人月ビジネスから脱却できない。旧来からの産業構造に甘んじ、自縄自縛に陥っているようにも見える。ここから逃れ、本来の魅力ある産業にするには生産の工業化を進め、研究開発やエンジニアリングとしての知的活動にシフトすることが必須ではないかと思う。
今こそ改めて技術主導に!
行き詰ったら原点に帰るのが常道である。1つは技術の原点に帰って画期的な技術革新をやることだ。労務コストではBRICsに負ける。サービスだけなら商社に負ける。実際、筆者が主導して6年前に作った「作業所Net」というクラウド(SaaS)型のサービスは商社が運営するもので、それなりにうまく機能している。しかし技術の原点に立ち返えれば、日本が勝ち残る分野は必ずある。何より技術革新は、情報産業に関わってきた人達に出来る特権だ。
例えば、食品流通を革新的に変える「CAS(Cell Alive System)」のような技術である。CASは過冷却状態から瞬時に冷凍してしまうために細胞組織をほとんど破壊せず、長期保存の後でも限りなく生に近い状態で元に戻せる技術である。応用範囲は食品に限らず、医療分野にも及ぶ。開発したアビーの大和田社長は菓子製造機械メーカーの2世経営者で、CASはケーキの冷凍保存の技術開発から生まれたという。
もう1つはグローバル産業になることだ。国内市場でシェア争いや棲み分けをしていてもメンタリティが向上することはない。OSもDBもネットワークも、肝心なところは海外勢に握られてしまった。となれば、それらを駆使してソフトウェア技術で世界に出ていくことではないか。組み込み系はすでに世界で戦っている。エンタープライズ系は出遅れたが、経営トップがコミットし、グローバル人材を育成し、必死に取り組めば製造業のようになれる可能性は充分ある。
元気を出せ! 情報サービス産業!
- 木内 里美
- 大成ロテック監査役。1969年に大成建設に入社。土木設計部門で港湾などの設計に携わった後、2001年に情報企画部長に就任。以来、大成建設の情報化を率いてきた。講演や行政機関の委員を多数こなすなど、CIOとして情報発信・啓蒙活動に取り組む
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