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【Dreamforce 2009】企業システムとSNSを融合へ 非クラウドベンダーに強気の“口撃”も

Dreamforce 2009

2009年11月17〜20日

米サンフランシスコ

2009年11月17日、快晴。米セールスフォース・ドットコムの年次イベントであるDreamforceの開催初日だ。会場となったサンフランシスコ市内のモスコーニセンターには、60カ国以上から1万9000人に上る参加者が詰めかけた。基調講演が始まる午前9時になっても、会場受付には長蛇の列。講演開始が大幅に遅れたのは、そのためだろう。

展示会場
展示会場は、まっすぐ歩けないほどの盛況ぶり。右は新機能「chatter」のコーナー

発表内容:システム更新情報を自動表示

chatterは社内コミュニケーションを劇的に進化させる 「chatterは社内コミュニケーションを劇的に進化させる」と語るユーザー

初日の最大の見せ場は、「chatter」と呼ぶ新機能の発表である。chatterとは、企業内のコラボレーションを促進するためのアプリケーションである。社員の連絡先や専門分野、職歴などを掲載する「プロファイル」をはじめ、作業の最新状況を書き込む「ステータス更新」、任意の社員のステータス更新情報を一覧できる「フィード」といった、一般的なSNSと同等の機能を備える。

フィード機能において表示されるのは、社員が書き込んだ情報だけではない。Salesforce CRMに商談完了や競合の出現といった情報が新たに入力された際、それらも自動で表示する。SAPやOracleといった他社製のアプリケーションのステータスを表示することも可能だ。このほか、共有コンテンツに変更が加えられたことも、ユーザーのフィード画面にリアルタイムで通知される。

chatterは、企業システムとSNSの統合へ向けて、セールスフォースが示す解といえるだろう。同社には、chatterによって顧客企業1社あたりのユーザー数を一気に増やせるという読みもある。「従来、当社のサービスを実際に使うユーザーは営業担当者やサポート担当者に限られていた。これに対して、企業内の全社員を対象にしたchatterは、当社に収益拡大の機会をもたらす」(ジョージ・フー代表取締役副社長)。

2日めの基調講演では、運用管理ソフト大手である米BMC Softwareと米CAとの協業が発表された。BMCは企業内ITのライフサイクル管理ツール、CAはアジャイル開発支援ツールをForce.com上で開発。ともに、2010年からSaaSとして提供していく予定だ。

スザンヌ・ディビアンカ氏 セールスフォースの社会貢献活動を率いるスザンヌ・ディビアンカ氏

合わせて、Force.comのユーザー企業が続々と登壇し、その活用ぶりを披露した。化粧品大手の米AVONは、Facebook上のコミュニティサイトと連動する口コミマーケティングシステムをForce.comで開発した。リサイクルガラス製品を製造販売する米Vetrazzoは、製造から出荷に至るすべての業務システムをForce.com上で開発し活用しているという。

日本からはローソンの横溝陽一CIOが、グループウェア環境をForce.com上に全面移行した事例を発表。「Force.comにより、開発期間とコストを、ぞれぞれ従来の5分の1に圧縮できた」と述べ、現在はERPの機能をForce.com上で開発中であることを明らかにした。

連日の講演中、ベニオフ氏はゲストとの掛け合いの合間にも、クラウドの必然性についてエネルギッシュに語り続けた。「Oracle Open WorldでExadataを見たが、巨大なマシンがランプを点滅させている様は、まるで1980年代のホラー映画」「大手ベンダーのソフトを高額で購入したうえに、その価格の22%を保守費用として毎年払い続けるなんて、正気ではない」など、次々に繰り出される“ベニオフ節”が場内を沸かせた。

ベニオフ氏の基調講演
ベニオフ氏の基調講演には、コリン・パウエル前国務長官(上)や、米グーグルのエンタープライズ担当社長であるデイヴ・ジルアード氏(右)らが駆けつけた

セッション・展示会場:新機能へのユーザーの反応は良好

基調講演のほか、イベント期間の4日間で開催されたセッション数は300以上。どの会場も盛況で、入り口に「Full(満員)」のプラカードを持ったスタッフが立つ光景がそこかしこで見られた。

記者・アナリスト向けセッションでは、米国の人材派遣大手であるKelly Servicesのジョー・ドルーアンCIOや、ゴルフ場予約サイトを運営するBALL in AIRのアイザック・ヤマガタ創業者が、自社の導入事例を紹介。ドルーアン氏はクラウドへの移行を検討中の企業に向けて、「とにかく早く着手すること。これまでのシステムと何が違うかをユーザーに説明することには時間がかかる」などと、自社の経験に基づきアドバイスした。

展示会場に目を転じると、アクセンチュアやデロイト、Twitter、アピリオをはじめ、ベンダー各社のブースがずらり。250社以上が出展していた。

人でごった返す場内でひときわ目立っていたのは、やはりchatterのコーナーである。参加者のほとんどがここで足を止め、スタッフの説明に耳を傾けていた。ある参加者は「よりダイナミックな社内コラボレーションを可能にする画期的なツールだ」と、新機能を高く評価。ただし、「すぐ導入というわけにはいかない。セキュリティや内部統制といった問題をクリアしなければ。入力したことがリアルタイムでそのまま流れるだけに、chatterで何を言っていいか、何を言うべきでないかといったガイドラインが必要だ」と指摘することも忘れなかった。

今後の事業展開:「中国の優先度は低い」

セールスフォースは2007年にForce.com、2008年にForce.com Sitesといった具合に、斬新なサービスをいち早く提供。既存顧客の離反を防ぎ、新規導入を促す原動力としている。2009年には99.999%の可用性を達成したほか、アップグレード時にも5分間でサービスを再開する「5分アップグレード・テクノロジー」を実装するなど、サービス品質の向上にも余念がない。目新しさと手堅さを両立させてユーザーに訴求する戦略は功を奏し、金融危機以来の世界的な景気低迷のなかで「2009年上半期の業績は微減に踏みとどまり、第3四半期は増収に転じた」(ベニオフ氏)。特に、日本をはじめとするアジア地域での業績が好調だったという。

しかし、中国への本格進出はいまだ果たせていない。この点についてケン・ジャスター代表取締役副社長は、「確かに中国には大きなビジネスチャンスがあるが、同国のインターネット接続は安定していないし、政府からの干渉も受けている。ビジネス環境も独特で、パートナー探しも容易ではない。こうしたことから、我々にとって中国進出の現段階での優先順位は必ずしも高くない」と、同社のスタンスを説明する。その一方で、ジャスター氏は「先日会った中国政府高官の名刺には、ヤフーメールのアドレスが印刷してあった。同国におけるクラウドへの関心は高いですよ」と、余談の中に将来の有望市場への期待をのぞかせた。

損保ジャパンの久田順一郎氏
損保ジャパンの久田順一郎氏(中央)は、Dream-force恒例のアワードで、エンタープライズデプロイメント賞を受賞した

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