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活用段階迎えたWeb2.0の協同環境 適材適所の導入が効率化に結び付く(第4回)
ブラウザベースのコラボレーション技術が進化し、企業の認知が進むのに合わせて、Web2.0をうたうツールの影響力が増している。ガートナーでは、2013年までにコラボレーション基盤市場全体において利用されるツール類の80%が、Web2.0の技術をベースにしたものとなると予測している。
従来の文書ファイルを中心としたものと、Web 2.0型のブラウザベースのツールを利用したコラボレーションとの間には根本的な違いがある。この違いを理解し、適材適所で活用することが、新しいコラボレーション技術導入を成功させるための鍵となる。
Web2.0型コラボレーション基盤
ファイル指向の限界を打破
コラボレーションのスタイルを整理すると、利用するツールによって大まかに2種類に分けることができる。1つは、Microsoft Officeに代表されるクライアントソフトウェアを利用した「ファイル中心型」のコラボレーション。もう1つは、WikiやGoogle Docsなど、共同編集を前提としたブラウザベースのツールを利用し、コンテンツや他のメンバーと直接コンタクトすることでコラボレーションを実現する「Web2.0型」コラボレーションだ。
ファイル中心型のコラボレーションでは、多くの場合ファイルサーバーなどを利用したファイル共有が中心となる。各メンバーがネットワーク上のストレージ内にあるファイルをローカルPCへダウンロード。編集後にストレージ内のファイルを編集済みのものに更新する。ファイルの場合、基本的にはコンテンツは同時に1人しか編集できないので、コラボレーションはシングルスレッド(逐次処理)で進行する。1人の編集作業が終わったら次の人にファイル編集権を受け渡し、その人が編集したファイルを次の人がさらに編集する、といった具合だ。セキュリティやガバナンスのプロセスもファイルに関連づけられるため、どうしても働き方がファイルに縛られてしまう。
一方、Web2.0型の場合、コンテンツは常にWeb上にある。作業に参加するすべてのメンバーがコンテンツに直接アクセスできるため、ファイルによる縛りから開放される。ネットワーク接続のない環境やオンライン上で提供されていないツールを使って作業する場合を除き、作業中のコンテンツをファイルとしてローカルPCにダウンロードする必要がない。ファイルのようにコンテンツに紐付けられた明確なオブジェクトが存在しないため、セキュリティやガバナンス対策はコンテンツに直接適用する必要があるのも、大きな違いの1つだ。
適用分野を見定めて適材適所による導入を
Web2.0型のツールを導入する企業が増えているとはいえ、従来のツールを完全に置き換えることはない。ファイルを使った方が適切なケースも少なくないからだ。例えば見積書や提案書は完成品としてファイルを出力する必要があるし、承認申請ワークフローが必要なタスクは、複数人で自由に編集することが前提となるWeb2.0型のコラボレーションには向かない。
最近、Web2.0型とファイル中心型ツールの機能や特徴を融合させたコラボレーションツールが登場し始めているのは見逃せない動きの1つだ。たとえば企業向けWiki製品の多くは、ファイルを扱う感覚で作業できるように工夫を盛り込んでいる。Web2.0型生産性ツールの代表格である「Google Apps」や「Zoho」、文書編集ツールの「Adobe Buzzword」ではファイルの利用も可能なほか、コンテンツのある時点でのバージョンをダウンロードしてオフライン作業したり、ファイルに似せたユーザーインタフェースを用意し、コンテンツを整理しやすくする機能などを備え始めている。
Web2.0の技術進化と企業への浸透度が高まるにつれ、ファイル中心型とWeb2.0型のコラボレーション間の違いは縮小し、ゆくゆくは解消していくだろう。だが機能がいくら近づいたとしても、エンドユーザーがツールに対して抱く感覚は一様ではないことに注意する必要がある。
MS Officeなどのファイルベースの生産性ツールを長年利用してきたユーザーは、Web2.0型のツールを使った仕事の仕方にはすぐには馴染めないかもしれない。他の人と同じページを同じタイミングで編集したり、ファイルサーバーにファイルをアップロードし直さずに変更内容が即座に反映されるという考え方は、今まで多くのビジネスパーソンが修得してきたテクノロジとは一線を画すものだからだ。
一方、日常的にWikiやBlogを使い、Web2.0ツールの使い勝手に慣れている「デジタルネイティブ」世代のユーザーは、従来の構造的な編集プロセスを持つコラボレーションツールではもどかしさを感じるかもしれない。
これらのエンドユーザー間にある感覚面でのギャップを考慮に入れないままツールの導入を進めてしまうと、エンドユーザーからの反発を招いたり、導入してもまったく使われないという結果に陥るかもしれない。新しいテクノロジを浸透させる際にはこのギャップの存在を意識し、適材適所での導入を進めることが大切だ。
スモールスタートとインセンティブで導入効果をスムーズに享受
志賀 嘉津士ガートナー リサーチ
インフォメーション・コラボレーション
リサーチ ディレクター
Web2.0技術が、いま再び新鮮味を帯びてきている。ガートナーが定義する先進テクノロジのハイプ・サイクルでは「幻滅期」にあるものの、「啓蒙活動期」に入る一歩手前にある。企業への導入は確実に進んでおり、Web2.0技術が企業における働き方に影響を与え始めている。
Web2.0型のコラボレーションは、会議など、複数人で何かを議論して結論を出すワークフローに適する。具体的には、パートナーや取引先、顧客、潜在顧客、BtoCといった外部との情報共有に真価を発揮する。
注意しなければならないのは、Web2.0ツールは世代によって慣れ不慣れがあるという点だ。従来型のファイル中心型の業務プロセスもようやく定着したばかり。実際にツールを利用するエンドユーザーの視点を欠いては、導入の成功はままならない。
ツール導入の成功には、いきなり全社単位や全業務プロセスに適用するのではなく、部門内の情報共有など影響の少ないところから始めるとよい。またツールを導入しても、利用されなければ意味がない。特にボランティア型のSNSのようなツールの定着には、積極的に書き込みをした社員に報酬面で優遇するなど、参加者に対する何らかの評価基準やインセンティブを用意するのも効果的だろう。
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