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峠(上巻)ほか-日本郵船 江黒 孝夫氏が選ぶ1冊
峠を愛読するようになったのは、大学のゼミで先輩に薦められたのがきっかけでした。そう、学生時代と言えばジャズに明け暮れましたね。ジャズにもいろいろ分野がありますが、私が所属したのはビッグバンドのジャズサークル。楽器はトランペットです。そこそこ名門と言われるサークルだったので、厳しかったですよ。毎日、朝から晩まで練習。たまに回ってくるアルバイトも、イベントやパーティでの演奏でした。でも、あれはおいしかったな。結構なバイト料が入るんですよ。アイドル歌手のバックで演奏するなんてこともありました。
3年生のとき、「学生ビッグバンドの甲子園」といわれる大会で優勝しましてね。米国のジャズフェスティバルに参加する栄誉にあずかりました。そのフェスティバルで、今でも忘れられない光景があります。舞台裏で、スタン・ゲッツとハンク・ジョーンズが卓球に興じていたんです。ジャズ好きなら知らぬ者はいない巨匠2人が、卓球対決(笑)。びっくりしました。
日本郵船に入社したのは、国際的な仕事がしたかったから。実際、システム部門に配属されるまではロンドンでの傭船調達や、中東からの原油輸送などに従事しました。そうそう、穀物担当だった時期に“平成の米騒動”が起きましてね。あのときは対応に追われて、50時間以上も無睡眠でした。
そういう生活のなか、「世界を相手にしている」という自負がどこかにあった。でも、「ネクスト・マーケット」を読んで、そんな“グローバル気取り”を恥じ入りました。
現在、1日2ドル未満で生活する人は世界に40億人以上います。そうした貧困層を救済の対象としてではなく、顧客としてとらえて市場を拡大しよう。それがこの本の骨子です。「どうやって?」と思いますよね。そこで同書では、成功事例を豊富に紹介しています。例えば、メキシコのセメント業者は、貧困層向けに貯蓄プログラムや信用販売、施工指導などをセットにして提供。きちんと利益を出しています。搾取ではなく施しでもない、win-winの関係を作れている。世界には、すごいことを考えつく人がいるものです。
3年ほど前から、システム開発からビジネス支援へとIT部門の役割転換を進めています。そのなかで重要なテーマが、データ活用です。当社の輸送品目は多岐にわたりますが、品目ごとの取扱量には連関があるはず。例えば「この原料が動くと、半年後にこの最終コンテナ品が動き出す」といった具合にね。そうした連関を見出すシステムを、業務プロセスに埋め込みたい。「ビジネス・インテリジェンス」を参考に、いろいろ構想を練っています。
司馬 遼太郎 著
ISBN:978-4101152400
新潮社
700円
北岡 元 著
ISBN:978-4492556313
東洋経済新報社
1890円
- 江黒 孝夫 えぐろ・たかお
- 日本郵船 情報企画グループ グループ長
- 1983年4月に日本郵船入社。経理部門を皮切りに、傭船調達や原油輸送などに従事。2002年に豪州法人への出向から帰国し、IT戦略グループに配属。07年6月からグループ長を務めるほか、システム子会社であるNYK Business Systemsの執行役員も兼務している
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