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主要ベンダーの取り組み―進化するグループウェア Part 3
グループウェアの先駆けとして知られる、ロータスノーツ。その系譜を受け継ぐ「IBM Lotus Notes/Domino」を擁する日本IBMは今、コラボレーション促進の起爆剤としてWeb2.0技術の取り込みを急いでいる。
その動きを示すのが、2009年8月にリリースした「IBM Lotus Connections 2.5」。ファイル共有や共同作業の分担・進捗状況を記録する機能に加えて、各自のスキルやこれまでに携わった業務やプロジェクト、有する資格などを表示する「プロフィール」や「コミュニティ」「ブログ」「Wiki」といった機能を提供する。
同製品が目指すのは、「社内の人と人をつなげて、1人ひとりのスキルや経験を広く活用できる体制づくりを支援していくこと」(ソフトウェア事業部Lotusテクニカル・セールスの行木陽子氏)という。例えば、プロフィールをキーワード検索することで、社内の専門家や特定業務や業界に精通する人を簡単に探し出せる。個人ブログやブックマーク、公開資料の参照記録などを確認すれば、その人の専門外の知識や関心事など、経歴からだけでは読み取れない情報を詳しく知ることも可能だ。
こうした“Know Who”検索を高度化させるため、同社は「SmallBlue」と呼ぶ人物検索技術を開発し、現在、社内で利用中である。Connectionsに蓄積する個人のプロフィールデータに加えて、メールやメッセンジャーでのやりとりを分析し、組織内の“人脈図”を自動で作成する。
それにより社内の誰が誰とつながっているのかを、視覚的に把握できる。面識のない社員に連絡を取るための最短ルートを算出して表示する機能もある。「顔を合わせたことのない社員に問い合わせるときの敷居が低くなる。その結果、情報共有を促進できる」(行木氏)。こうしたConnectionsの機能は、東京大学が開発し、運用中のWeb上のサービス「SPYSEE」に近いものと言えるかも知れない。
成果物と経緯をセットで共有
国産グループウェアの大手、サイボウズもWeb2.0技術をいち早く採用。「サイボウズブログ2.0」と呼ぶ社内ブログ機能を提供中だ。「電子掲示板のようなフォーマルな場では、社員はせっかくアイデアを持っていても発言しにくい。些細なことを気軽に書き込める場所を用意すれば、そうした隠れたアイデアを吸い上げられる」(開発本部 副本部長の関根紀子氏)。
実は、同社はWeb2.0の登場以前から、気軽な情報発信を促すインタフェース設計に力を入れていた。
例えば、「サイボウズ ガルーン2」は共有カレンダへのコメント書き込み機能を備える(画面2)。一般に、共有カレンダは会議などの日時や場所を確認するために使うことが多いが、ガルーン2では予定の1つひとつにコメントを付けられるのだ。例えば、その会議で何について話すのか、誰が出席するのか、どんな資料を用意すべきか。それらをコメント欄を使って相談できる。コメント履歴を時系列のツリー表示で確認できるため、途中から会議に出席することになった社員が予備知識を得ることにも役立つ。「当社のケースだが、基本的な事柄は会議前に合意がとれてしまうこともある」(関根氏)。
このほか、共有ドキュメントにも意見や指示などをコメントできる。報告書を例にとると、最終的な文書だけでなく、それがどのように修正され、最終版に至ったのかといった経緯を共有できる。
フォルダ操作を不要にし
情報活用の自由度を向上
「Microsoft Office SharePoint Server 2010」は、マイクロソフトが2010年前半に発売予定のコラボレーション製品の新版である。図3-1に示すように、大きく6つの機能を提供する。同社インフォメーションワーカービジネス本部の米野宏明エグゼクティブプロダクトマネージャは、これらを貫く設計の考え方を「ユーザーに意識させることなく情報を収集し、活用につなげること」と語る。
そのため、新版ではポータル画面にOffice製品と同じリボンインタフェースを採用するほか、モバイルやオフライン環境で共有ドキュメントを参照・編集できる機能を実装する。当然、Office製品との連携も強化しており、例えばExcelやPowerPointのファイルを複数ユーザーが同時編集するための機能を持たせた。図面作成ソフトのVisioで作成した業務の流れ図を、そのままワークフローとして取り込む機能もある。
こうした目に見えやすい機能強化の一方で、情報を蓄積・管理する方法の面でも新たな試みを盛り込んでいる。パソコンにおける情報管理は、フォルダを階層化したディレクトリ構造が普通。「自然なやり方だが、ドキュメントを後から探し出すには、保存先であるフォルダの名前や場所を覚えておく必要があるという難点があった」(米野氏)。
これに対し新版では、「コンテンツオーガナイザー」と呼ぶ機能を用意し、ユーザーがドキュメントの保存操作をすると、設定済みのルールに従って適切なフォルダに自動仕分けするようにした。共通のメタデータを持つ複数のドキュメントを1まとまりのセットとして扱い、バージョンやアクセス権限を一括管理する機能も備える。さらに、すべての情報に自由にタグ付けし、簡単に検索できるようにするソーシャルタギング機能も、持たせた。いずれも細かな工夫に思えるが、フォルダ構造を意識する必要性を最小化するのは、実は非常に大きな変化と言える。
業務プロセスとの連携でコラボレーションを日常化
グループウェアと業務システムの連携を強化するアプローチもある。
日本オラクルが2009年9月にリリースした「Oracle WebCenter 11g」がそれだ。「メールやスケジュール管理、ファイル共有といったコラボレーション機能と、生産や販売、会計といった業務処理を1つの画面から実行可能にすることで、社員は自分のニーズに合った情報を、自然に蓄積・活用できるようになる」。Fusion Middlewareビジネス推進本部の上村靜史担当シニアマネジャーは、こう話す。
WebCenterは(1)個人やグループのワークスペースを作成する「Spaces」、(2)メールやスケジューラ、ブログ、Wikiといったコミュニケーションツールの集合体である「Services」、(3)ユーザー自身が複数のアプリケーションやデータを組み合わせて新しいアプリケーションを作るマッシュアップ機能「Composer」、それに(4)既存システムのデータや業務機能を連携させる開発・実行基盤「Framework」という、4つのコンポーネントから成る(図3-2)。
これにより社員はWebCenter上のワークスペースからFrameworkを介してERPやCRM、あるいは帳票作成ツールといった業務システムにアクセスしたり、それらのデータを統合して分析したりといった処理ができる。グループウェアと業務システムをまたがったワークフローも構成可能だ。「かつて(グループウェアの延長線上に)“企業情報ポータル”という考え方があった。WebCenter 11gは、その再定義を行う製品」(上村氏)である。
◇ ◇ ◇
4社の製品を例に、グループウェア製品の最新状況を見てきた。細かな工夫からユニークな機能まで、グループウェアが進化し続けていることを、理解いただけたはずだ。
問題はそうした機能を理解し、使いこなすこと。あるいはコラボレーションを促す企業文化や社風と言い換えてもいいかも知れない。グループウェアを中心とするコラボレーションツールの浸透・活用度合いは、ユーザー企業の企業文化や自由な社風を映す鑑と言えるからだ。
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