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「ソーシャル観戦スタイル」で楽しむバンクーバー・オリンピック:第8回
さて、いまさらながらに感じるのは、ネットメディアによる「オリンピック・コンテンツ」のいっそうの進化・充実ぶりです。IOCの公式サイトをはじめ、マスコミ各社の特設サイト、Yahoo!など大手インターネット・ポータルによる競技結果速報やライブストリーミング放送はもう随分前から当たり前のものになっていますが、今回のバンクーバーでは、そこから1歩進んだ提案がなされているように思うのです。
それは、ネットメディア/ネットテクノロジーの特性が存分に発揮されるかたちでなされる、新しいスポーツ観戦スタイルの提案です。特徴としては、「テレビ中継、あるいはたとえ現地の会場に足を運んだとしても得られないような、ITならではの情報の提供」と「世界中の聴衆からわき上がる興奮や感動のリアルタイムな共有」の2つが挙げられます。
前者の代表例は、グーグルが展開する一連の取り組みで、バンクーバーを舞台に同社のネット・サービス群の威力をあらためて見せつけています。例えば、「山岳競技の会場がどんな地形・景観なのかを知りたい」という世界中の人々の興味にこたえるかたちで、グーグルは会場のウィスラー地区を、Googleアース、Googleマップ、Googleストリートビューといったオンライン地理情報サービス群とオンライン画像共有サービスのPicasaによって、文字どおり立体的・多面的に紹介しています。なかでも、実際の競技コースに特別仕様のスノーモービルを走らせて撮影したGoogleストリートビューの映像は、さすがというほかありません。
そして、後者を提供するのはソーシャルメディアで、主にテレビのライブ中継との組み合わせによって、興奮・感動のリアルタイム共有の体験をもたらします。ここでの主役は、圧倒的なユーザー・ベースを誇るTwitterやFacebookです。例えば、Twitterにログインして、「#olympic」や「#vancouver」といった関連ハッシュタグで検索すると、そのとき同じ中継を観ている世界中の人々の喜び/落胆の声や、メディア・専門家による解説/補足情報などが一斉に飛び込んできます。そして、自分もその輪に加わって、リアルタイムでのやりとりを楽しみながら競技を観戦することができるのです。 こうしたソーシャルメディアならではのリアルタイム・コミュニケーションはここ数年、スポーツ観戦に限らず、重大ニュースが入ったときなどにさかんに行われるようになっています。スポーツには世界的関心を集めるビッグ・タイトルが多いので(今年は6~7月にサッカーのワールドカップが開催されます)、それらが開催されるたびに、ソーシャル観戦スタイルが世界規模で広がっていくのではないでしょうか。
余談ですが、一方のオールドメディアであるテレビには、3D映像という大きな技術革新がありますので、スポーツ・コンテンツを楽しむうえでは、今よりも期待してよさそうに思います(放送業界の衰退がさらに進んで、事業モデル自体が崩壊してしまったら、もちろんそれまでですが)。今年が市場元年となる3Dテレビが、今後価格を下げながら順調に普及していったとして、2年後のロンドン夏季五輪の頃にはもしかすると、ネットメディアを同時に見ている暇もないほどの“息をのむ迫力の体験”を世界中にもたらしているかもしれません。
- 河原 潤(かわはら じゅん)
- ITジャーナリスト/IT Leaders 編集委員。
- 1997年にIDG入社。2000年10月から2003年9月までSun/Solarisの技術誌「月刊SunWorld」の編集長を務める。同年11月、「月刊Computerworld」の創刊に携わり、同誌の編集長に就任。エンタープライズITの全領域を追いかける。2008年11月、「月刊CIO Magazine」の編集長に就任。CIOの役割と戦略策定、経営とITのかかわりをテーマに取材を重ねる。2009年10月にIDGを退社し、ITジャーナリストとして始動。
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