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カイシャ意外史-日本経済新聞社 松尾 光氏が選ぶ1冊

おすすめを挙げるなら、まずこの本から。社史研究の第一人者、村橋勝子さんの「カイシャ意外史」です。三越やシャープ、ブリヂストンといった大企業21社の社史から、各社の創業秘話を紹介しています。

カイシャ意外史 カイシャ意外史
村橋 勝子 著
ISBN:978-4532166786
日本経済新聞出版社
1680円

村橋さんとは、企業や組織でデータベースを担当する人たちの集まりでよくご一緒します。あ、でも別に知人の著作だからといっておすすめしているわけではありません。内容が本当に面白いんですよ。ヤマハの「オルガン担いで箱根越え」や、カゴメの「窮地を救ったトマトの加工」といったエピソードを読むと、昔の日本人は「何かやってやろう」という気概が現代人よりずっと強かったんだな、と思います。今風に言えば“肉食系”ってところでしょうか。

学生のころは、合唱団に所属していました。社会人になってからしばらく遠ざかっていたんですが、数年前に学生時代の仲間とまた歌い始めた。今は、地域のグループにも所属しています。そうそう、オーディションを受けて、プロの声楽家とともに新国立劇場の舞台に立ったこともあるんですよ。そのときの演目は「マタイ受難曲」。新約聖書に描かれたキリストの受難をテーマにした、演奏時間が3時間以上というバッハの大作です。ドイツ語の歌詞と格闘しましたよ。最初は目で追うだけでも大変でした。作品世界を理解しようと、分厚い研究書も読みました。その名もずばり「マタイ受難曲」という1冊です。バッハ研究で名高い著者が受難曲の歌詞をすべて日本語に訳し、詳細な解説を加えた良書。とても参考になりました。

合唱は奥が深いです。うまく歌おうと思ってはだめ。自分の声を素直に出すのが最良の発声法なんだとか。簡単なようですが、これがなかなかできない。「歌が上手くなるスーパー発声法」を読んで研究中です。

第九ですか? 何度か歌ったことがありますが、あの作品は意外に難しいんです。ベートーベンという作曲家は、人間の声を楽器と同じように扱っているようなところがある。第九にも、生身の体には少々きつい歌唱を求められる部分がありまして。

…ちょっと趣味に走りすぎました(笑)。仕事に役立つ本も挙げておかないといけませんね。「時間管理術」は、ビジネスパーソンが時間を効率的に使うためのスキルを解説した1冊。ガントチャートを使ったスケジュール管理など、プラント業界で長年にわたって使われ洗練されてきたプロジェクトマネジメントの手法を個人の時間管理に応用しています。

私も以前、プラント業界に籍を置いていたので、本書の内容には馴染みがあります。それだけに、著者の手並みに感心しましたよ。複雑なプロジェクトマネジメント手法を一般向けにとてもうまくまとめています。会話形式で進むのも、取っつきやすくていいですね。実は、著者の佐藤氏は地域の合唱団仲間なんです。あれ、最後はやっぱり趣味のほうに行ってしまいました(笑)。

マタイ受難曲
礒山 雅 著
ISBN:978-4487791002
東京書籍
3059円

時間管理術
佐藤 知一 著
ISBN:978-4532111250
日本経済新聞出版社
872円


松尾光氏
松尾 光 まつお あきら
日本経済新聞社 情報技術本部 シニアITアーキクト
IHIでプラント設計に従事した後、1986年に日本経済新聞社に入社。日経テレコンのシステムや新聞記事などのテキストデータベースコンテンツ作成を手がけた。その後、関連会社においてデータセンター業務やISMS取得プロジェクトなどを経て現職。IT業務の専門職として従事し、人材育成にも携わる。内部監査室を兼務している

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