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【Impact 2010(IBM)】“ビジネスアジリティ”を高める、SOA/BPM基盤の最新像
基調講演
「SOA/BPMが、現実世界のあらゆる活動をより賢いものにする」――SVPミルズ氏
写真1 IBMソフトウェアのトップ、スティーブ・ミルズ氏は、「SOA/BPMが現実世界のあらゆるプロセスを可視化し、統合し、管理可能にする」と説いた今年で4回めの開催となったImpact 2010。会場のベネチアン・ホテルには、IBMのSOA/BPMミドルウェア製品群「WebSphere」のユーザーとパートナー企業を中心に、約50カ国から6000人を超える参加者が集まった。
開幕基調講演のステージに立ったのは、同社ソフトウェア・グループ上級副社長兼グループエクゼクティブのスティーブ・ミルズ氏だ。2000年よりIBMソフトウェア事業の総責任者を務めるミルズ氏は講演の冒頭、SOA/BPM分野におけるIBMの過去10年間の取り組みを振り返った。
「コンピューティング・モデルは集中型から分散型、そしてWebへと主流が遷移していき、2000年代に入ると、ビジネスプロセスを中心に据えるプロセス・ベースド・コンピューティングが台頭した。我々は早期からこのモデルに着目し、各種XML Webサービス標準への対応をはじめとする必要なスタックをそろえていくことで、SOA基盤リファレンス・アーキテクチャを作り上げていった」(ミルズ氏)。
ミルズ氏は、これまでの10年間を「ビジネスプロセス統合の10年」と表し、今後の10年間は「真の意味でのトータルな最適化に向かう」とした。それは企業が個々に取り組む効率性向上に向けた活動が、業界、社会、国・地域、そして地球規模へと外側に向けて波及するベクトルであり、IBMが2008年秋より掲げるスローガン「Smarter Planet」に基づくものであるという。
「現在、IBMは全社を挙げて、電力、水道、運輸、食料、医療、公共安全などの供給・管理をいかに賢く効率的なものにするかを追求している。こうした現実世界のプロセスにも適切な要綱が必要だ。我々が次の10年に目指すのは、SOAやBPM、イベント駆動アーキテクチャを駆使して、現実世界のあらゆるプロセスを可視化し、統合し、管理可能な基盤技術を提供することだ」(ミルズ氏)。
ユーザー講演
カイザー・パーマネントとフォード・モーターの実践事例
写真2 カイザー・パーマネントのデビッド・ユー氏は、「患者のニーズや法規制に沿って、医療業界全体で変革を成し遂げていく必要がある」と語ったユーザー・セッションには約50社が登壇し、SOA/BPMの実践が披露した。米国の会員制健康医療機関カイザー・パーマネントのセッションでは、会員、医師、ヘルスケアプロバイダーの3者をオンラインでリアルタイムに結ぶシステムが紹介された。同機関のeビジネス担当副社長、デビッド・ユー氏によれば、会員はいつでもどこでも診察予約や処方箋の申し込みができ、ヘルスケア・プロバイダーと緊密なコミュニケーションをとることができるという。
同機関は、1970年代に他の医療機関に先駆けて電子カルテを導入して以来、医療ITへの投資を地道に重ねてきた。得られた成果は、会員へのサービス品質の向上、医師・職員の生産性/作業効率の向上とそれに伴う事業コストの大幅な削減である。ユー氏は、SOA/BPMへの取り組みなくしてこれらの成果は得られなかったとして、次のように語った。「我々は、みずからのビジネスモデル変革にとどまらず、医療業界プロセスの再定義をも目指している。法規制に則りながら、業界全体で変革を成し遂げていく必要がある」。
一方、米国フォード・モーターのセッションには、フォード・モーター・クレジット・カンパニー ITオフィス担当執行副社長のポール・ネスバウム氏が登壇した。同氏は、自動車業界全体を襲う危機に立ち向かうべく打ち出されたグローバル経営戦略「One Ford」に沿う形で、同社の全拠点・事業部におけるITのアプローチを統合した。
「我々はITの戦略とビジネスプロセスをグローバルで標準化、簡素化し、統合することに挑んだ。キーワードは連携だ。車両を構成する技術の統合からディーラー、サプライヤー各社や政府との連携に至るあらゆるプロセスをつないでいくことで、経営と業務の可視化・効率化を進めていった。ビジネスプロセスの改善活動に終わりはなく、今もその途上にある」(ネスバウム氏)。
新製品・サービス
クラウド統合ベンダーのキャスト・アイアン・システムズを買収
図 IBMのSOA/BPM製品ポートフォリオ会期中、IBMはSOA/BPM関連のさまざまな発表を行った。なかでも注目を集めたのが、米国のクラウド統合ソフトウェア・ベンダー、キャスト・アイアン・システムズの買収だ。オンプレミスとクラウドを統合・連携する「CastIron」製品群で多数の実績を有する同社の買収によって、オンプレミス/クラウド混在環境におけるサービス/アプリケーション統合を司るツールがIBM の製品ポートフォリオに加わることになった。併せて、「WebSphere DataPower Intergration Blade X150B」「WebSphere DataPower XC10 Appliance」の両アプライアンスが新製品として発表され、統合ツールとアプリケーション基盤の両レイヤーにおいて強化を図っている。
一方、BPM分野では、今年1月に買収を完了した米国ロンバルディの製品群が、「WebSphere Lombardi Edition」(ヒューマン・ワークフロー/BPMソフト)と「IBM BPM Blueprint」(ビジネスプロセス・モデリング・ツールのクラウド・サービス)という2系統の製品が、IBMのBPMスイートに加わった。後者は、すでにベータ版が無償公開されている「BPM BlueWorks」(BPMソーシャル・クラウド・サービス)を用いてBPMの試験適用を開始したユーザーが、より高度な機能を求めた際の移行先製品という位置づけになる。
* * *
会期中、ユーザー・セッションやパネルディスカッションを聴講していて強く感じたのは、欧米先進ユーザーのSOA/BPMに対する意識、レベルの高さだ。彼らの発言からは、ビジネス・プロセスにまつわる活動が、ITプロジェクトというよりは、経営とITの一体化をミッションとする企業のCIO/ITリーダーにとって当然の、永続的な活動としてみなされ、取り組まれていることがうかがえた。「ビジネス・プロセスの改善はすべてのIT施策の前提である」――そんなスタンスを持ってSOA/BPMに取り組む企業が、今後、国内でももっと増えていくことを期待したい。
(河原 潤)
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