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ザッポスの奇跡-アスクル 小河原 茂 氏が選ぶ1冊
ザッポスを特徴付けるのは、常識を越えた顧客サービス。同社の社員は、顧客のために何ができるかばかり考えているんです。例えばあるとき、顧客からコールセンターに注文の電話が入ったが、その商品の在庫を切らしていた。応対した担当者は、どうしたと思います? 競合サイトを検索して、どこで目当ての商品が手に入るか顧客に伝えたというんですよ。自社の売り上げより、顧客の喜びを優先する。「顧客に感動を与える」という企業理念を端的に示すエピソードです。通販業を営むものとして、大いに刺激を受けました。
自宅のロフトに作りつけた本棚の中は、ほぼ100%歴史物。組織を率いるうえで、歴史から学ぶことは多いですよ。「失敗の本質」は、太平洋戦争を日本軍の戦略や組織面から分析。日本を敗戦に導いたのは、縦割りと年功序列で硬直化した組織だったことを明らかにしています。戦中の様々な局面を取り上げていますが、そのなかからミッドウェー海戦を例に挙げましょう。
この海戦は当初、日本が優勢と見られていましたが、大敗北を喫しました。縦割り組織のなかで情報の流通が滞っていたからです。第一線の艦隊は司令部の目的をきちんと伝えられぬまま出撃。結果的に、ミッドウェー島と米空母に対する2正面作戦を採らざるを得なくなった。日本は空母4隻を失い、敗戦へと向かいました。あの敗戦は、組織の未熟さが招いたものだったんです。
でもね、日本は昔から組織作りが下手だったわけではないんですよ。日露戦争時代の日本は、優れた挙国体制を作り上げていました。そのことは、「坂の上の雲」に詳しい。
明治政府や軍部は戦う前から、戦力ではロシアが圧倒的に有利であることを十分認識していました。そこで、最も有利な条件で講和して戦争を終結させるには、どこで矛を収めるべきかを緻密にプランニング。政府や陸・海軍は戦中、その計画に基づき打つべき手を打っていった。陸軍は、明石元二郎をヨーロッパに派遣。ロシア反政府運動を密かに支援させ、対戦国の内憂を誘います。一方、政府からは金子堅太郎が単身渡米し、ルーズベルト大統領に講和斡旋を依頼しました。
そして日本海海戦。世界最強と言われていたバルチック艦隊を、東郷平八郎率いる連合艦隊が乾坤一擲の「丁字作戦」で撃破。政府と陸・海軍が国を挙げて1つのゴールを目指した結果、大国ロシアに勝利したというわけ。組織をうまく回して成果を出すには、設定したゴールをみんなで共有することが重要なんです。現代の企業やチーム運営にも通じることだと思います。
坂の上の雲に限らず、司馬氏の著作は「燃えよ剣」など初期の作品からすべて愛読しています。同氏の著作を読み出すと、その世界に入り込んで没頭してしまう。電車の中で読もうものなら、降りるのを忘れるほどです。
失敗の本質
戸部 良一 、寺本 義也、鎌田 伸一ほか 著
ISBN:978-4122018334
中央公論社
800円
坂の上の雲s
司馬 遼太郎 著
ISBN:978-4163228105
文藝春秋
1680円

- 小河原 茂 氏
- アスクル ビジネスプラットフォーム企画開発 兼 カスタマーソリューション 執行役員
- 1980年4月、日本ユニバック(現日本ユニシス)に入社。情報システム開発会社で取締役を務めた後、2000年1月にアスクルに入社。執行役員COO補佐室やプロキュアメント・ソリューション事業の立ち上げ、アスクル・イープロサービスの社長を経て現職。アスクルのシステム戦略をリードしている
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