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理系の経営学-ヤマトホールディングス小佐野豪績 氏が選ぶ1冊
データベース化して分かったんですが、500冊以上ある蔵書のうち、半分は経営や自己啓発に関する本でした。今日は、そのなかから数冊紹介します。
理工学部出身なので、経営には縁遠いと思っていました。その私が経営者になることを初めて意識して読んだ本が、「理系の経営学」です。分析やモデリング、シミュレーションを生かした科学的な意思決定の有効性を説いています。同書に出会った半年後、関連会社の社長に就任しましたが、確かにその通りでしたね。経営課題の多くは、数学的思考で解決できるんですよ。
経営にはいろいろな変数がついて回ります。解決すべき課題を多元連立方程式と考えることで、変数の数だけ式を立てて最適解を探れる。ヒト・モノ・カネの3つが変数の3次方程式なら、3つの式があれば解けます。
複数の課題が複雑に絡み合っているときは、因数分解の要領で共通項をくくり出してシンプルにする。ほかにもありますよ。本社に提案をして、明確な賛同は得られなかったが、目立った反論もない。そういうときには、「『No』と言われなければ『Go』だ」と判断して行動を開始した。これは、背理法の理屈ですね(笑)。
決して大げさではなく、人生を変えた1冊というのがあります。「サラリーマン・リカバリー」です。10年ほど前、帰宅はいつも深夜。終電2本前の電車に乗れればラッキー、という仕事漬けの生活を送っていました。「昼夜を問わず働けば評価される」と思い込んでいたんですね。そんななか、ある人に薦められて読んだのがこの本です。衝撃の書でした。「仕事に忙殺されているようでは何も生み出せず、将来はない」という内容に、背筋が寒くなった。自分はこのままじゃダメになると直感しました。
何かを生み出すには、主体性を持って自らを向上させるよう行動するしかない。著者はそう述べ、一般常識に加えて深い専門知識を1つあるいは2つ備える「T型人間」「π型人間」、社内専門家との人脈を持つ「工型人間」、さらには経営とITの両方が分かるCIOを目指すべきだと説きます。この本をきっかけに、会計や法律、人事といった専門外の分野を勉強するようになりました。今年は人事、次は財務会計、という具合に長期計画を立てて実行しています。
最後にもう1冊。手前味噌みたいですが、当社の創業者が書いた「小倉昌男 経営学」は愛読書です。同書のなかでも「経営リーダー10の条件」の章は、折に触れて読み返しています。「論理的思考」「時代の風を読む」「明るい性格」「高い倫理観」といった項目は、どれも納得できます。ただ、唯一ひっかかるのは9つめの「身銭を切ること」。リーダーたる者、部下にはポケットマネーで飲ませるべし、と著者は言うんです。その通りだとは思いますし、できるだけ実践したいですが、財布の容量にも限界が…。悩ましいところです(笑)。
サラリーマン・リカバリー
大前 研一 著
ISBN:978-4093873000
小学館
1575円
小倉昌男 経営学
小倉 昌男 著
ISBN:978-4822241568
日経BP社
1470円

- 小佐野 豪績(ひでのり) 氏
- ヤマトホールディングス 執行役員(事業戦略・IT戦略担当)
- 1988年4月、ヤマト運輸に入社。宅配サービスの現場業務やシステム業務に従事し、2003年6月に情報システム課長に就任。その後、関連会社であるヤマトリースやボックスチャーター社長を歴任。2010年4月から、ヤマトホールディングス執行役員を務めている
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