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「戦略を実行につなげる仕組みが必要だ」、人材管理SaaSの米Success Factors幹部

米Success Factorsは、社員の実績管理(Employee Performance Management)や人材管理(Talent Management)といった情報系の人事機能を中核に、企業戦略と社員の関係を構築/管理できるようにしたアプリケーションを、SaaS形式で提供する企業である。SaaSの製品名称は「Business Execution Software」(BizX)。15個のモジュールで構成するソフトウエア・スイートである。

インプレスビジネスメディアは2010年8月26日、来日中の同社幹部に、人事アプリケーションの市場動向を聞いた。グローバル広報ディレクタを務めるDominic A. Paschel氏と、ワールドワイド・セールス担当VPを務めるJay Larson氏である。加えて、2010年8月に同社サービスの利用を始めた伊藤忠商事で人事部世界人材戦略室長代行を務める佐藤泰美氏に、サービス導入の狙いを聞いた。

---米Success Factors製品の特徴は何か。

Dominic A. Paschel氏: 「企業の戦略を実行につなげる」役割を担った、新しいカテゴリのソフトウエアだ。これまで9年間、この目的に沿った製品を提供してきた。元々は、個々の社員の目標と実績を管理する機能に限って提供してきたが、その後にスイート化を図り、社員の実績とビジネスの業績を整合性をもって管理する仕組みや、事業を実行に移しやすくする仕組みを増やしてきた。

既存のSaaS型のクラウド・サービス企業とは提供する機能が大きく異なる。既存のSaaS企業は、salesforce.comによるCRM(顧客関係管理)の自動化やNetSuiteによる財務会計を中心としたERP(統合業務ソフト)など、情報システムのトランザクション処理に近い用途だった。これに対して、Success FactorsのSaaSは、業務のレベルにまでクラウド・サービスの適用領域を広げる。

スイートは、15個のモジュールで構成する。目標管理やデータ監視/分析といった、ビジネスの整合性を保つ機能群、コミュニケーションやコラボレーションといった、チームによる実行を支援する機能群、実績や報酬といった、社員のパフォーマンスを管理する機能群、がある。さらに、これらのモジュール群をまたがってデータを分析するBI(ビジネス・インテリジェンス)機能を用意した。

行動計画を作成する際などに、各種のデータ・ソースを取り込んで利用できる。独SAPや米Oracleのデータやレガシー・アプリケーションのデータだけでなく、インターネット上にあるリアルタイムなデータなどを自在に取り込める。このためのデータ連携手段として、フラット・ファイルの共有、CSV(カンマ区切り形式)経由の入力、Web API経由の連携など、複数の手段を用意した。

Success Factors製品は、情報系の人事アプリケーションの1つとして、これまでなかった新しいカテゴリの製品として存在している。このため、製品コンセプトに関して、常に再定義を重ねている。現在のSuccess Factorsは、企業向けにコンシューマ・サービスに似た技術を構築している、と考えることもできる。この流れとして、最近、米CubeTreeを5000万ドルで買収した。同社は、企業向けにFacebookのようなソーシャル・ネットワーキング・サービスのソフトを提供している企業だ。

---Success Factors製品の効果はどれほどのものか。ユーザーの状況は。

実際に、企業戦略を実行につなげられているのかどうか、この実態を知るため、2009年に、コンサルティング・ファームの米McKinsey & Companyに調査を依頼した。Success Factorsの顧客527社を対象にした調査の結果は、以下の通りだ。

戦略変更の伝達にかかる期間は、平均で1週間、最大で8週間短くできた。戦略的な優先課題に費やす時間は、平均で5.5%、最大で40%拡大できた。プロジェクトの完遂率は、平均で13.8%、最大で67%向上した。パフォーマンスは、平均で2.8%、最大で5.4%改善した。パフォーマンス改善率の2.8%は少ないように感じるかもしれないが、収益規模が巨大な会社にとってのインパクトは大きい。

こうした効果から、「世界でもっとも成長が速い上場企業のソフトウエア企業」となっている。例えば、四半期ごとの売上高は、2007年第4四半期(株式上場時)の1920万ドルから、2010年第2四半期(2010年6月30日締め)の4680万ドルへと144%増えている。

現在のユーザー数は810万人を超えている。企業数は3100社以上で、もっとも大規模な導入ケースでは1社で210万人を超える。世界でSuccess Factors製品のメリットを享受できない企業はない。60以上の業界、185以上の国、34以上の言語で使われている。

---Success Factors製品がユニークな点は何か。競合する製品は。

Jay Larson氏: 個々の機能ごと単体で見れば、競合する会社は多い。だが、社員のパフォーマンスを管理するものやビジネスの整合性を保つものなど、相互に関連する幅広い機能を上手にパッケージングしている競合企業は、ほかにはない。

Success Factors製品のユニークな点は、個々の社員と会社の戦略のつながりを構築できる点だ。他社製品の場合、異なる要素をつなぐといっても、業務プロセスの自動化のための機能である場合が多い。業務の視点に立って会社と社員の関係を管理できるわけではない。

大企業の80~90%は、独SAPや米Oracleのアプリケーションをすでに導入済みだ。にも関わらず、Success Factors製品を追加で導入している。独SAPや米Oracleが提供できないものを、Success Factors製品が提供しているからだ。

企業戦略と人事機能がつながることは重要だ。営業費用全体の50~60%が、人材に費やされているのが実態。人のパフォーマンスを最適化しない限り、事業のパフォーマンスを最適化することはできない。

先ほど、Success Factors製品の導入によってパフォーマンスが平均で2.8%向上したことを示した。こうした効果が出る理由は、企業戦略と人事機能をつなぐ仕組みを提供できていることと、この機能をSaaS形式で提供していることにある。

---伊藤忠商事が2010年8月にSuccess Factors製品の利用を開始した経緯は。

佐藤泰美氏: 商社では、本社ですべてをコントロールするわけではなく、北米、欧州、中国、アジアなど、各ブロックが独立して人材を育成する。今回、こうした仕組みを尊重しつつ、グローバルで共通して利用可能な人事情報データベースの下地を構築した。

導入した基盤の1つは、伊藤忠グローバル・クラフィシケーションと呼ぶ、職務・職責の読み替え表だ。職務の読み替え表を作成した背景には、海外拠点ごとに異なる人事基準を導入しているため、職務・職責の重さを同じ基準で比較することができない、という状況がある。読み替え表によって、育成対象者の職務を判断できるようになる。

もう1つの基盤は、グローバル規模での人材管理を実現するデータベースだ。後継者計画に用いたり、ポテンシャルが高い社員を特定し、その人たちのキャリア形成プランを設計する、といった用途に使う。人材情報プールを共有することによって、どのような人材がいるのかを参照できるようにする。

人材データベースに登録した対象の数は、本社が1100ポジションで、海外は課長代行以上の300ポジション、合わせて1400ポジションだ。登録項目は、人事基礎情報から職務評価まで、全65項目にわたる。

システムの利用者、つまり同データベースを参照するユーザーは、サクセション・プランや個別のCDP(Career Developmemt Plan/Program)を作る当事者であり、120人いる。この人たちが、1400人のデータを参照する。

製品選びで検討対象となったのは、自社開発、他社クラウド型システム、Success Factorsの3つだ。

自社開発とSuccess Factorsの比較要因は、コストだ。今回は、Success Factors製品が提供する機能のうち、社員プロファイル機能に限って導入した。同じシステムを自社開発(5年間で開発コストを償却)した場合と比べると、Success Factors製品を使うことで、1年間あたりの使用料が4分の1で済む。

一方、他社クラウド型システムとSuccess Factorsの比較要因は、機能だ。一番大きかったのは、セキュリティの強さ。Success Factorsでは、インターネット部分だけでなく、データ・センターの内側でもデータを暗号化している。また、対応言語が30を超えており、今後別の言語圏に事業を展開する場合に問題が起こらない点もSuccess Factorsを選ぶポイントとなった。

左から、米Success Factorsでグローバル広報ディレクタを務めるDominic A. Paschel氏、伊藤忠商事、情報通信・航空電子カンパニーで情報産業ビジネス部に在籍する臼井亮人氏、伊藤忠商事で人事部世界人材戦略室長代行を務める佐藤泰美氏、米Success Factorsでクラウド・コンピューティング担当VPを務めるTom Fisher氏、サクセスファクターズジャパンで代表取締役社長を務める木下雄介氏
写真1 左から、米Success Factorsでグローバル広報ディレクタを務めるDominic A. Paschel氏、伊藤忠商事、情報通信・航空電子カンパニーで情報産業ビジネス部に在籍する臼井亮人氏、伊藤忠商事で人事部世界人材戦略室長代行を務める佐藤泰美氏、米Success Factorsでクラウド・コンピューティング担当VPを務めるTom Fisher氏、サクセスファクターズジャパンで代表取締役社長を務める木下雄介氏

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