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DaaSサービスの低価格化が急進、操作性を保つ技術進歩や導入を容易にする製品も (PART2)

クライアント仮想化 7つのトレンド

クライアント仮想化が一気に身近な存在になってきた。月額2000円台で利用できるDaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)の登場、PC並みの使い勝手や性能を可能にする技術革新など、クライアント仮想化の現状を読み解く7つのトレンドを紹介する。
栗原 雅/鳥越 武史(編集部)

Trend 1.
DaaSサービスが続々登場 最低2000円台で利用可能に

DaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)が次々と登場し、PCリプレース時の選択肢として一気に現実味を帯びてきた。DaaSとは、PCのデスクトップ環境そのものをサーバー上で仮想化した「仮想PC」を、ネットワーク経由で貸し出すサービスである。技術的にはシンクライアント・システムの一種に位置づけられ、「画面転送型」「ネットワークブート型」「ブレードPC型」「仮想PC型」の4種類に大別できるシンクライアント・システムの形態のうち、仮想PC型に相当する。

仮想PC型の最大のメリットは、クライアントOSをサーバー上に配備するので、基本的に既存のPCで動くすべてのアプリケーションを利用できる点である。これまでシンクライアント・システムで多く採用されてきた画面転送型のように、利用できるアプリケーションの制約がない。

この数カ月で劇的に変わったのは、仮想PC1台当たりの月額利用料金が1万円を大きく切り始めた点である。NTTコミュニケーションズは2010年6月、月額9800円から利用可能なDaaSサービス「Bizデスクトップ Pro」を開始した。翌7月にはインターネットイニシアティブが月額8000円から利用できる「IIJ GIO仮想デスクトップサービス」をスタート。同月、丸紅はDaaSサービス「VirtuaTop(バーチャトップ)」の価格改定を実施し、仮想PC1台あたりの月額利用料金を6500円から3980円に引き下げた。さらにこの月、ソフトバンクテレコムもDaaSサービスを正式に発表。2010年10月に開始する「ホワイトクラウド デスクトップサービス」で、仮想PCを1台当たり月額2500円で提供する。

現在、月額制のDaaSとしてサービスを提供していないが、以前からシンクライアント・システムの構築を手掛け実績が豊富なNECや日本IBM、日立製作所といった大手もDaaSサービスへの参入が見込まれる。

シンクライアント・システムの大分類とDaaSの位置づけ
シンクライアント・システムの大分類とDaaSの位置づけ

Trend 2.
デスクトップ環境の単価下落 CPUコア数は増加、端末は低価格化

ワイズテクノロジーの「Wyse Sクラス」シンクライアント端末の低価格化が進む。写真はワイズテクノロジーの「Wyse Sクラス」

事業者が提供するDaaSを使わず、仮想PCを実行・展開するためのシステム基盤「VDI(仮想デスクトップ環境)」を自社で構築する条件も整いつつある。一般にクライアント仮想化=シンクライアントの導入はコスト的にPCに比べ割高だった。しかし、最近は自社でVDIを構築した場合でも、仮想PCの単価を以前より抑えやすくなっている。単価の引き下げを可能にした代表的な要因はCPUコア数の増加、端末価格の下落、Windowsのライセンス改定である。

仮想PCに割り振るリソース容量にもよるが、CPUのコア1つ当たり7.5台分のPCを実装できるとされている。4コアのXeonプロセサを2個搭載するサーバーなら60台分、8コアなら120台分のPCを1台のサーバーに集約できる計算になる。

シンクライアント端末の価格も安くなった。2008年秋に本誌が調べたところ、中心価格帯は10万円前後でPC並みだったが、日本ヒューレット・パッカードが2010年3月に発売した製品は2万4150円。8月現在は1万9950円で販売している。もちろんPCの価格も多少は下がっているが、大量調達しても現状では6万〜7万円というのが一般的だ。

仮想PCで使うWindowsのライセンス体系も整った。マイクロソフトは2010年7月1日に「VECD」と呼ぶライセンスを廃止し、新たに「VDA」の適用を始めた。VDAは月額1100円で、月額1200円だったVECDより10%程度下がった(いずれも参考価格)。

Trend 3.
認知度が一気に広がりユーザーの導入機運盛り上がる

国内のデスクトップ仮想化導入率国内のデスクトップ仮想化導入率

IDC Japanが2010年6月に発表した調査結果によると、仮想PC型のシンクライアント・システムであるデスクトップ仮想化の導入率は本格導入と試験導入を合わせて6.3%。導入予定と検討中まで入れると14.8%の企業が、デスクトップ仮想化に向けて始動している。

見方によっては「小さい割合」かもしれないが、数値だけから「動きが少ない分野」と判断するのは早計である。デスクトップ仮想化が国内のIT関係者の間で広く認知され始めたのは、最近のことだからだ。PCや携帯端末などクライアントソリューションの動向に詳しいIDC Japanの渋谷寛シニアマーケットアナリストは、「ユーザー企業だけでなくインテグレータもデスクトップ仮想化について理解するのに時間がかかった。だが、1年前に(デスクトップ仮想化より幅広い)クライアント仮想化の動向を調査したときより、導入企業の割合は確実に増えている」と話す。

実際、デスクトップ仮想化に向けて本格始動する企業が相次いでる。三菱東京UFJ銀行は2009年12月、自社でVDIを整備して3000台の仮想PCを展開。太陽生命保険も自社VDIの活用を2010年7月に本格化した。伊藤忠丸紅鉄鋼は同年3月、DaaSの活用に踏み切った。これらの先進ユーザーは広域災害に備えたBCP(事業継続計画)やシステム運用・管理の効率化など、セキュリティ以外にも利点を見出している。

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