[市場動向]

オラクルの買収戦略─企業ITのトレンドをもれなく押さえる“したたかさ”

メガベンダーの買収動向

2012年12月27日(木)IT Leaders編集部

009年にサン・マイクロシステムズを買収して以降、オラクルは製品戦略の舵を大きく切った。新たな戦略は、“ハードウェアとソフトウェアの融合”。使用目的に応じて、サーバーやネットワーク、ミドルウェアを“最適に”組み合わせた、垂直統合型アプライアンスを用意。高い処理性能と構築・運用コストの削減という2つのメリットを提供するものだ。同コンセプトに基づいて開発した製品群を「Engineered Systems」と命名。データベースを稼働させる「Exadata」、アプリケーションの実行基盤「Exalogic」、大量データを高速に分析する「Exalytics」など、6種類をリリースしている。

一方、他の大手ベンダーと比べて、対応の遅れが指摘されていたクラウドサービスも2012年6月に開始した。データベースやWebアプリケーションサーバーなどを提供するPaaS、ERPパッケージ「Fusion Applications」などのアプリケーションを提供するSaaSに加え、10月にはIaaSも発表した。いずれも、オラクルの既存資産をクラウド化したものが中心だが、ラインナップを補完するためにピンポイントの買収も行っている。企業の求人や人材育成をマネジメントする「Taleo」や、ソーシャルメディアの投稿を分析する「Collective Intellect」などはその好例だろう。

垂直統合型アプライアンスやクラウドなど、企業ITの主戦場で陣容を整える一方、伸びしろがあり、他社が動き始めた領域でも手堅く布石を打つ。そうしたオラクルの“したたかさ”が垣間見える一例が、昨今言われる“カスタマーエクスペリエンス”の分野である。ITを駆使して、Webサイトや店舗、コールセンターを効率化。顧客の期待を超えた“感動体験”を提供し、競争優位を図る。IBMのスマーターコマースにも通じたコンセプトだ。

市場展開も速く、顧客体験の向上を支援する製品群「Oracle Customer Experience」を2012年7月に発表。この中には、コールセンター向けCRMソフトの「RightNow」や、非構造化データの分析/検索ソフト「Endeca」、Eコマースサイトの最適化ソフト「ATG」など、買収で獲得した製品を多数含む。

セキュリティ、リスクマネジメント

  • Secerno┃2010年5月
    データベースファイアウォール
  • Passlogix┃2010年10月
    シングルサインオン

ミドルウェア

  • AmberPoint┃2010年2月
    SOA管理
  • Convergin┃2010年2月
    リアルタイムサービスブローカー
  • DataScaler┃2010年10月
    分散データベース技術
  • GoAhead┃2011年9月
    HAクラスタミドルウェア

サーバー、ストレージ、ネットワーク

  • Pillar Data Systems┃2011年6月
    ユニファイドストレージ
  • Ksplice┃2011年7月
    Linuxのホットパッチ技術
  • Xsigo Systems┃2012年7月
    IO仮想化

ソーシャル

  • Vitrue┃2012年5月
    ソーシャルマーティング
  • Collective Intellect┃2012年6月
    ソーシャルメディア分析
  • Involver┃2012年7月
    ソーシャルアプリ開発基盤

データマネンジメント

  • Silver Creek Systems┃2010年1月
    製品データの品質管理
  • Datanomic┃2011年4月
    顧客データの品質マネジメント
  • FatWire┃2011年6月
    Webコンテンツ管理
  • InQuira┃2011年7月
    顧客データの管理/分析
  • Endeca┃2011年10月
    非構造化データの検索/解析

業種/業務別ソリューション

人材

  • Taleo┃2012年2月
    人材マネジメント
  • SelectMinds(pending)┃2012年9月
    人材マネジメント

知的財産

  • Sophoi┃2009年10月
    知的財産管理

マーケティング

  • Market2Lead┃2010年5月
    マーケティング自動化

コールセンター

  • RightNow┃2011年10月
    コールセンター向けCRM

eコマース

  • ATG┃2010年11月
    Eコマース最適化/分析

ヘルスケア

  • Phase Forward┃2010年4月
    ライフサイエンス、ヘルスケア
  • ClearTrial┃2012年3月
    臨床試験ソフトウェア

環境

  • HyperRoll┃2009年9月
    財務報告管理ソリューション
  • Ndevr┃2011年2月
    二酸化炭素排出関連ソリューション

建設

  • Skire┃2012年7月
    建設業界向けソリューション

通信

  • eServGlobal(USP関連資産)┃2010年5月
    通信事業者向けのプリペイド課金サービス技術
関連キーワード

Oracle / M&A / Oracle Fusion / RightNow

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オラクルの買収戦略─企業ITのトレンドをもれなく押さえる“したたかさ”009年にサン・マイクロシステムズを買収して以降、オラクルは製品戦略の舵を大きく切った。新たな戦略は、“ハードウェアとソフトウェアの融合”。使用目的に応じて、サーバーやネットワーク、ミドルウェアを“最適に”組み合わせた、垂直統合型アプライアンスを用意。高い処理性能と構築・運用コストの削減という2つのメリットを提供するものだ。同コンセプトに基づいて開発した製品群を「Engineered Systems」と命名。データベースを稼働させる「Exadata」、アプリケーションの実行基盤「Exalogic」、大量データを高速に分析する「Exalytics」など、6種類をリリースしている。

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