今、夢中になっているのが塩野七生さんの「ローマ人の物語」です。新潮社の文庫本シリーズで読むと、全43巻となる“超”大作。そうそう簡単に読破できるボリュームではありませんが、2〜3冊で1つのテーマが完結する構成になっているので、思っていたよりも読み進めやすいですよ。
ローマという国がなぜあれまでに繁栄したのか。政治体制の築き方や主導者の才覚などに触れる度に、どんどんと引き込まれていきます。共和制ローマを例にとれば、元老院の役割とか、執政官の任命方法とか…。権力が偏らないように様々な工夫が組織的に盛り込まれているところが特に興味深いですね。時々の英雄にスポットを当てて、その生き様を絶妙に描写する作風も読み手を飽きさせない理由でしょうか。
著者を選り好みせずに色々と読む中で、強く印象に残るのははやり歴史を主題とするものが多いかもしれません。吉村昭さんの「破獄」「海の史劇」「間宮林蔵」なんていいですよね。浅田次郎さんだと「壬生義士伝」とか。
歴史に重なるテーマでもありますが、宗教関連の本にも手が伸びることが多いかな。例えば、一条真也さんが書かれた「ユダヤ教 vs キリスト教 vs イスラム教」は、書店で偶然見つけて即決で買いました。同じ旧約聖書をルーツとしながら独自の世界観を作り、時には紛争を巻き起こしてきた史実がある。
その3つの宗教を1つの土俵に乗せて解説するというアプローチをあまり見かけたことがないので、知識欲が湧きました。自分自身は宗教観念が薄いだけに、人はなぜ狂信的になり得るのかという思いを持って読むと、とても参考になりましたし、世界の歴史の理解も深まった気がします。
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