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[特別対談]

【特別対談】CompTIA日本支局 × 精鋭プレーヤ 〜クラウドの競争力に直結させるには

2013年3月28日(木)

クラウドはビジネス変革の道具だ “同じ土俵”で議論する体制が不可欠 クラウドの“真の価値”を享受していくには、何が要諦となるのか。クラウドの基礎知識を有することを認定する資格制度にも触れつつ、5人が議論を交わした。メンバーは一般社団法人コンピュータソフトウェア協会・クラウドビジネス研究会の主要会員。(進行はCompTIA日本支局の板見谷剛史、文中敬称略)

特別対談
Photo:高橋 久雄

─ クラウドの普及で、エンジニアに求められる素養やスキルが変わってきた実感はありますか。

松田: SIerとしての視点から見ると、各レイヤーで横断的な知識を持ったエンジニアが求められるようになったと感じます。従来は、OS、ネットワーク、データベースといった特定のレイヤーを知る多くの専門家が分業すればよかった。しかし、クラウドでは、複数のレイヤーを知る専門家が4〜5人のチームを作って取り組むケースが増えています。そうした人材が現状ではまだ少ないなと。

北澤: 製品やサービスを提供する立場からもそれは感じます。基本的に我々は直接的に技術サポートを行なうわけではありません。それでも、単にモバイルのことを知っているというだけでなく、ネットワークや仮想化などの技術的な背景を把握しておくことが求められます。お客様のニーズが自然と複数のレイヤーにまたがってきていますね。

大関: 同感です。ウイルス対策ソフトという製品1つとっても、PCの知識だけでなく、モバイル、ネットワーク、仮想化、運用などの知識まで必要になります。弊社の営業・エンジニアが知らないといけない領域はどんどん拡大している印象を強く感じます。

松村: 実際にそうした人材の確保に苦労した経験があります。当社は2011年11月に自社クラウドの提供を開始しましたが、ネットワークや運用に詳しい技術者がなかなかいない。人材育成したり中途採用したりして、今は不足感はなくなりました。SaaSやPaaS市場の拡大速度を考えると、業界としてクラウドエンジニアの不足は課題になると思います。

─ クラウドの技術や知識を学ぶ難しさはどこにあるのでしょうか。

大関: 新しいテクノロジーが登場し、利用されるまでのスピードがとても速くなっていると感じます。自ら学ぶ意識を持っていかないと変化に対応できないケースも増えてくるのではないかと考えます。

松田: 構造的な問題もあるかと。国内SIにはレイヤーごとに分業する従来のモデルが残っているので、各レイヤーを横断して技術を習得することが難しい。SaaSやPaaSのメリットを引き出すにはIaaSの理解が欠かせませんが、日常の業務だけではそれができない。ユーザー企業が、こうしたシステム構築のあり方を引きずっているという問題もあります。

ユーザーはクラウドをどう利用すべきか

─ 一方で、ユーザーはクラウドを積極的に活用し始めているのでしょうか。

北澤: 全体的には、この1〜2年で重要なデータを外部に預けることに対する抵抗がだいぶ減った印象があります。金融や公共といったセキュリティが重視される分野でもクラウドに前向きに取り組み始める企業が出てきています。きっかけの1つにスマートフォンやタブレットの登場があり、これらでビジネスを変えて行くにはクラウドの活用が現実解になっている。

松村: 確かにクラウドの活用は進んでいると思います。一方で、松田さんから指摘があった、従来のシステム構築のあり方を引きずっているという指摘もうなずけます。現行の業務に合うシステムを求める傾向が強く、大胆にビジネスを変えていこうという発想がなかなか伴わない。

松田: 欧米では、ITは常に変えていかなければいけない組織体制を管理し、ビジネスをドライブする道具という見方が主流。それに対し、日本では個々の作業の生産性を上げるためにITを利用する傾向が強いと感じる。そんな発想のままでは、クラウド本来のうまみは享受しにくいと思いますね。

─ 見方を変えれば、クラウドの台頭はビジネスとITの関係を再考するチャンスとも言えそうですね。

大関: ITを提供する側と利用する側がお互いに理解できる“共通語”を持つことが1つのポイントだと感じています。私もITIL v3 Foundationの資格を取得したのですが、それによってお客様とシステムについての会話がやりやすくなりました。クラウドについては、CompTIAの「Cloud Essentials」(コラム参照)などをうまく”共通語”として利用するのも手だと考えます。

松村: 確かにそうですね。ユーザーから見ると、クラウドのメリットばかり喧伝されるが、リスクはどうなんだ、という気になる。メリットとリスクについて共通認識を持つことは、ベンダーとユーザーの間だけでなく、業務部門とIT部門の関係を見直す際にも有効です。

松田: 経営トップがITにどうアプローチしていくかもポイントでしょう。SI企業や大手ベンダーに丸投げするのではなく、情報システムにまつわる従来からの発想を変えるところにまで踏み込んでほしい。

北澤: そうですね。クラウドの活用がゴールなのではなく、成長を支えるITのあり方を熟考することこそが大切だと感じています。そのためにも、CompTIAのような資格制度を通じて関係者が“同じ土俵”で議論できる体制が欠かせないと思います。

クラウドで企業競争力を得るには

─ クラウドを筆頭にこれからのITが担う役割は変化していくのでしょうか。

大関: 大きく言えば、変革を支える非常に有効な道具と言えるでしょう。例えば、来月から海外展開を図るとして、その基盤としてクラウドをうまく利用し、今までにはないスピード感でそれをITの観点で具現化することが可能になります。新しいビジネスを創り、それを支えるという視点に立つと、クラウドの位置づけは自ずと変わるはずです。

松村: まったく同意します。環境変化が激しくなり、それに追随するには、ITとビジネスを切り離すことが困難な状況です。クラウドをうまく使って、データを収集し、情報を共有し、変化を見極めていくことが重要になってきています。

北澤: その意味では、エンドユーザーコンピューティングという考え方が非常に大切だと思います。クラウドを使って、1人ひとりが実態に即したデータを元に意思決定していく。その総合力が企業の強みになっているように感じます。

─ 競争優位性を獲得する要諦でもあるわけですね。

大関: ソーシャルメディア、ビッグデータなどは、これからますます利用されることになるでしょう。当社でも独自のクラウドインフラを活用して、世界中から膨大な量のスレットインテリジェンスに関連するビッグデータを日々収集・分析しています。これらはセキュリティソリューションという形で、弊社の製品・サービスを通じてお客様に提供されています。

松田: クラウドを構築する技術よりも、データをどう分析するか、どのようにモデル化するか、それを経営にどう生かすかといったことが重要になってきていますね。

松村: 競争優位の前提としては、各社が協調した取り組みは欠かせないと思います。ベンダー、ユーザー、パートナーがクラウドの共通認識を持って市場を創り磨きをかけていく。そのためには、CompTIAの協力を仰いで、エンジニア教育やユーザー教育などの仕組みを整えることも喫緊の課題となるでしょう。

北澤: CIOの役割も大きい。クラウドの真の価値を語れるCIOが1人でも多く登場し、日本のIT活用センスをリードしてほしいと願います。


CompTIA(コンプティア) http://www.comptia.jp

1982 年、IT 業界の要請から発足した非営利の業界団体。IT に携わる企業や個人の利益を高めるための「教育」、CompTIA 認定資格での「認定」、IT 業界の声を反映しIT 政策に反映するための「政策支援活動」、IT 業界への「社会貢献」を4 つの柱として活動を続ける。米国シカゴ本部を中心に世界に10 拠点で展開。

CompTIA認定資格

ワールドワイドでベンダーニュートラルの認定資格として認知されている。国内外の法人を中心に広く活用されており、現在、ワールドワイドで150万人以上の方に取得されている。(2013年2月現在)。

CompTIA Cloud Essentials

CompTIA Cloud Essentials

クラウドコンピューティングの意義やクラウドの導入によるメリット/デメリットをビジネスおよび技術的な側面から判断し、運用できる知識とスキルを証明する認定資格。ベンダーニュートラルな立場から、クラウドに対する体系的な知識とスキルを習得できる数少ない認定資格となっている。

参考:http://www.comptia.jp/cont_certif_cloudessentials_cl0-001.html

認定試験の出題範囲

第1章 ビジネスの観点から見たクラウドサービスの特徴
第2章 クラウドコンピューティングとビジネス上の意義
第3章 技術的な観点から見たクラウドのタイプ
第4章 クラウドコンピューティング導入を成功させるステップ
第5章 クラウドコンピューティング導入によるITサービスマネジメントへの影響と変化
第6章 クラウドコンピューティングのリスクと影響
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