[調査・レポート]

国内SMB向けクラウド市場は2013年夏に1680億円─パラレルス調査

2013年9月27日(金)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

仮想化と自動化のためのソフトウェア開発や、それらを使ったサービス事業者向けプラットフォームを展開する米パラレルス(Parallels)の日本法人は2013年9月27日、日本の中堅・中小企業(SMB)を対象にしたクラウドサービスの市場について自社調査した結果として、2013年夏時点の市場規模が前年比25%増の1680億円に達したと発表した。市場は拡大基調にあるとして同社は、日本市場におけるサービス事業者向けビジネスを加速したい考えだ。

米パラレルスのバーガー・スティーンCEO(最高経営責任者)

 パラレルスが発表した『Parallels SMB Cloud Insights 日本版』2013年版は、従業員数が1~250人の中堅・中小企業600社を対象に同社が独自に調査したもの。前年の調査と比較し、ホスティングサービスからクラウドサービスへの移行が進んでおり、その結果として市場規模は前年比25%増の1680億円に達したとする。

 1680億円の内訳は、ビジネスアプリケーションが690億円で最も多く、前年比で32%伸びたという。同分野や今後も成長が続くと予想する。それにIaaS(Infrastructure as a Service)が同13%増の460億円、WebプレゼンスおよびWebアプリケーションが同23%増の450億円で続く。残りは、ホスト型コミュニケーションおよびコラボレーションの72億円だが、成長率は前年比43%増と最も高かった。

 同調査は、こうした成長傾向は、よりアプリケーション重視で成長するとみる。2016年に向けて、ビジネスアプリケーションは年平均成長率21%で伸び1240億円になるという。IaaS(Infrastructure as a Service)は同4%以上で520億円に、WebプレゼンスおよびWebアプリケーションは同8%の570億円に、ホスト型コミュニケーションおよびコラボレーションの同35%以上で成長し220億円に、それぞれ拡大すると予測する。

 市場拡大の背景として同調査は、1社で利用するアプリケーションの増加を挙げる。2009年にはWebホスティングなど平均1つのサービスしか利用していなかったSMBが2013年には2.5個になり、2016年には5.1個に増えるという。米本社のCEO(最高経営責任者)であるバーガー・スティーン氏は、「SMBにとって、クラウドの技術的な仕組みやIaaSといったインフラは興味の外にある。いかに自社に必要なサービスが容易に探せ、途切れることなく利用できるかどうかが重要だ」と指摘する。

クラウドサービスのエコシステムを作る

 こうした調査結果を受けて同社は、日本市場におけるサービス事業者向けビジネスを加速させる。具体的には、クラウドベースでのアプリケーションサービスの提供に必要な仮想インフラから、運用環境、課金システム、複数のアプリケーションを組み合わせて提供するための開発環境などである。アプリケーションを組み合わせるための標準規格「APS(Application Packaging Standard)」も作成している。

 これらをパラレルスが運用し、ディストリビューター(卸業者)やサービスプロバイダー経由、さらにはVAR(付加価値再販事業者)経由でSMBに提供する。こうしたエコシステムを管理するための仕組みも用意する。すなわち、データセンターやサーバーなどに投資しなくても、アプリケーションソフトを持っていたり、インテグレーションやWebデザインのスキルを使って、クラウドサービス事業を開始できることになる。

 海外では、パラレルスのプラットフォームに、400のISV(独立系ソフトベンダー)と、9000のサービスプロバイダー、4万のVARが参加する。日本では、大塚商会やクララオンライン、GMOクラウドなど50社強がパートナー企業になっている。また、オープンソースのECサイト構築ツール「EC-CUBE」を開発するロックオンが、同製品をASP対応にしたと発表した。

 日本市場におけるパラレルスは、Mac上でWindowsを動作させるための仮想化ソフト「Parallels Desktop for Mac」が知られている。だが、米本社の全売上げにおける割合は消費者向け仮想化ソフトなどは3分の1であり、サービス事業者向け事業が3分の2を占めるという。

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