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日本の経営層/事業責任者の4割が「ビッグデータをよく知らない」~米国はわずか2.5%、JEITAが企業ITに関する日米調査を公開

2013年10月11日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

経営層や事業(LOB)の責任者、マネジャーはITをどう認識し、ITに何を期待しているのか。それに日米の差はあるのか──。こんな興味深い調査結果が公表された。

調査を実施したのは電子情報技術産業協会(JEITA)。IDCジャパンに委託して2013年6月~7月にかけて調査を行い、有効回答数は日本が216件、米国が194件である。結果を見ると、おしなべて米国の経営層や事業(LOB)の責任者のITに対するアグレッシブさが浮き彫りになった。特徴的なものを列挙すると、次のようになる。

  1.  IT/情報システム投資:「極めて重要」が日本は約16%に対して米国は約75%
  2.  IT予算の増減見通し :「増える」が日本は約40%に対して米国では約80%
  3.  IT予算が増える理由 :日本は「業務効率化、コスト削減」がトップ。米国は「製品・サービス開発」や「ビジネスモデル変革」と攻めの姿勢が顕著
  4.  クラウドやビッグデータ、SNSなどの新規ソリューション:日本は「聞いたことがない/あまりよく知らない」が米国に比べ圧倒的に多い

「ある程度、予想通り。別に不思議はないのでは」とも思えるが、注意したいのは調査時期。2013年6月~7月といえば、アベノミクスで株価や企業業績は上向き、安倍政権が「世界最先端IT国家宣言」を発表した時期である。にもかかわらず、IT投資への関心は、必ずしも高くないのだ。以下、主要な結果を紹介しよう。

まずIT/情報システム投資の重要性について(図1)。4段階で聞いたところ上記の差があったほか、「重要」との回答を合計しても日本は68.5%。米国の94.9%との差は小さくない。この背景にあると見られるのが「ITに対する期待の違いだと思われます」とJEITAは分析している。

図1 IT/情報システム投資の重要性

図2 ITに対する期待(IT予算が増える理由)

どういうことか? 図2にITに対する期待を聞いた結果を示した。日本では「業務効率化/コスト削減」が48.2%と、2番目の「ITによる製品/サービスの開発強化」(22.4%)を倍以上引き離している。3位は「未IT化業務プロセスのIT化」(20.2%)だ。これに対し米国は、「ITによる製品/サービスの開発強化」が41.0%、次いでITを活用したビジネスモデル変革」(28.8%)、「ITによる顧客行動/市場分析強化」(27.6%)という順である。個々の選択肢の言葉を回答者がどう捉えたか、定義は何かといった問題はあるものの、「米国は製品開発や事業モデル変革、顧客分析など攻めの要素を重視。日本は業務効率化など、すでにあるものをもっとよくするという意味で、守り重視と言えるでしょう」(JEITA)。

このことはIT予算の見通しにも影響しているようだ(図3)。日本は「増える傾向にある」が39.8%。「減る傾向にある」が10.6%なのに比べると、調査時期も手伝って前向きになっていると言える。しかし米国は、それぞれ80.4%と0.5%。実際にどの程度増えるのかは調査にないので分からないが、この数字だけを見れば、米国は前向きと言うより、”前のめり”とさえ思える。

図3 IT予算の増減見通し

半分近くがクラウドやビッグデータを「よく知らない」

もう1つ、今回の調査で驚くのがクラウド(プライベートとパブリック)、タブレットやスマートフォンのビジネス利用、ビッグデータ、ソーシャルネットワークの、それぞれに対する認知度を聞いた項目だ。実際の設問では「聞いたことがない/あまりよく知らない」、「検討したが、利用していない」、「試験的に利用中である」、「いくつかの部門で利用している」、「会社全体で利用している」の5つに分けて聞いている。

図4は、そこから「聞いたことがない/あまりよく知らない」だけを取り出して日米を比較したものだ。結果は一目瞭然。新聞に載らない日がないとさえ思えるビッグデータでも、日本は「聞いたことがない/あまりよく知らない」が42.6%。米国の2.1%に比べ、何かの間違いではと思えるほど大差がついた。あまりよく知らない場合、日本人の回答者は正直にそう答えるが、米国人は強気に答えるといった国民性が影響している可能性はある。が、それにしても、大きな差である。

図4 新規ソリューションの導入状況(「聞いたことがない/あまりよく知らない」の割合)

最後に、IT部門への期待も見ておこう(図5)。日本は「ITによる業務効率化の提案」(39.4%)、「低コストでのオペレーション」(33.9%)、「要望への迅速な対応」(33.3%)がトップスリーだった。米国は「システムの可用性向上」(46.9%)、「ITによる業務効率化の提案と実行」(45.4%)、「ITによるコスト削減の提案と実行」(34.0%)である。「ITによる業務効率化の提案と実行」が上位なのは日米とも同じだが、米国では「新規技術の紹介」27.8%で5番目、「低コストでのオペレーション」は米国ではわずか5%しかないといった点に違いが見られる。

図5 IT部門に期待すること

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