[海外動向]

ビッグデータ/アナリティクスの“次の扉”を叩く―IBM Information On Demand 2013

2013年11月6日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

2013年11月4日(米国現地時間)、データベース/データ分析ソフトウェアをエリアとした米IBMの年次カンファレンス「IBM Information On Demand(IOD)2013」が開幕した(会場:ラスベガス マンダレイ・ベイ・ホテル/11月7日まで)。会期初日は、開幕・基調講演でのテージに上った同社幹部から、企業がビッグデータで勝機をつかむための新たな提案が、大量の新製品群の発表と共に示された。(ITジャーナリスト/IT Leaders 編集委員 河原 潤=ラスベガス)

企業のビッグデータ活用の現状にIBMは満足していない(はず)

 ビジネス・インテリジェンス(BI)やデータウェアハウス(DWH)の分野でビッグデータというキーワードが登場し、その活用が叫ばれるようになって約3年が経過した。当初にベンダー各社がこぞって紹介した、大企業や政府機関の先進事例を見て、“過度な期待”を抱いて取り組みを始めた企業もある。だが一方で、価値を見出しながらも技術・コスト面での制約や、顧客の行動履歴の扱いのような情報プライバシーの問題などから着手に至っていない企業も多い。また「そもそも、わが社の業務にビッグデータが必要か」という、検討の土俵にすら上がらない、否定派・懐疑派のスタンスを取る企業も決して少なくないように見受ける。

IBMは、IT業界でいち早くビッグデータの価値に着目し、顧客に方法論とテクノロジーの提案・提供を行ってきたベンダーの1社だ。全体レベルで見れば活用が広く浸透とはとても呼べないビッグデータの現状に対して、IBMは忸怩たる思いを抱いてきたことと想像する。ビッグデータやビジネス分析に取り組む必要性を訴求したいのは、同社の名だたる優良顧客のみというわけではもちろんあるまい。「企業や組織、個人ひいては社会・地球全体をより賢く」というSmarter Planetを全社スローガンに掲げるIBMにとって、ビッグデータ活用とは、用途と手段さえ明確になっていれば、規模や業種を問わずあまねく普及していてしかるべき――そんな考えにきっとあるはずだ。

もうじき2014年という今のタイミングで、IBMはビッグデータやビジネス分析の重要性をあらためてどう訴えていくのか。Information On Demand 2013カンファレンスでは、企業そして消費者に向けたこの分野での新しい提案と、それらを具現化する新製品ポートフォリオが、開幕講演に登壇した幹部らによって詳しく紹介された。

「ビッグデータとビジネス分析は洞察のイネーブラー」

 「ITコンシューマライゼーションとデータ・デモクラティゼーション(民主化)が極まり、我々が手にするコンピューティングパワーはさらに強力になった。膨大なデータに分析をかけて洞察を得ることがより容易になった今、ここで乗り遅れたら、非常に大きな機会を逃すことになる。それは企業だけでなく、パーソナルなユーザー、消費者もそうだ」――。米IBM ミドルウェア・ソフトウェア担当シニア・バイスプレジデントのロバート・ルブラン氏は、ビッグデータやデータ分析への取り組みが待ったなしの局面を迎えているとしてそう訴えた。

「ビッグデータいつやるの? 今でしょ!」――とはもちろん言わなかったが、ロバート・ルブラン氏は、市場で勝ち残れる競争優位捻出のために、ビッグデータ/ビジネス分析への投資は急務だと聴衆に訴えた

 データベース、ビジネス分析アプリケーション/ミドルウェア/プラットフォーム製品を統括する同氏は、IBMが提唱する次世代の企業情報システム像「Systems of Interaction」(かかわり合うシステム群)を挙げ、その環境において、ビッグデータやビジネス分析が組織や個人に価値をもたらず洞察のイネーブラーになると説明した。ちなみに、Systems of Interactionとは、基幹系に代表される企業が長年運用してきた記録型のシステム群(Systems of Record)と、ECサイトや電子マネー決済、SNSといった(顧客との)結びつきのシステム(Systems of Engagement)とがモバイルやクラウドの進展によって融合したシステム群を指している。

 ルブラン氏は、企業は早晩、自社の情報システムでSystems of Interactionを実現し、インタラクションが発生するすべてのポイントにおいて価値を提供できるようにする必要があると説く。ここで価値を受け取るのは組織や顧客だけではなく、従業員個々人も含まれる。その際にカギを握るのが、洞察のイネーブラーとしてのビッグデータとビジネス分析にほかならない、というわけだ。

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