未曾有の金融緩和による円安と株高を受けて景気に明るさが見えた2013年。企業のIT予算、IT投資戦略はどんな動きを示したのか--。アイ・ティ・アール(ITR、内山悟志社長)は、2013年1月に実施したIT投資動向調査の結果を公表した。(1)IT投資の増減、(2)戦略投資と定常費用(保守運用など)の比率、(3)重視するITテーマ、などについて紹介しよう。
調査の有効回答数は955。業種は製造業が29.3%、流通小売商社が17.9%、金融保険9.6、建設7.4%、サービス19.1%など。従業員規模では1000人以上が40.8%、300人~1000人未満が30.5%、300人未満が28.7%となっている。
IT投資を増額する企業が30%を上回る
まずIT投資の増減。2013年度(2013年4月~2014年3月)のIT予算について、「増額する」と回答した企業の割合は31.7%だった。30%を超えたのは2008年度以来5年ぶり。減額と回答した企業の割合も、前年度を7ポイント下回っている。「横ばい」との回答が50%を超えるものの、2013年度のIT投資は増額に転じたことを示している。
もちろん、自社のビジネスを「好調」と認識している企業と、そうでない企業では、IT投資意欲に隔たりがある。自社のビジネスが好調であると認識している企業の方が、そうでない企業より明らかに投資意欲は強い(図2)。
好調なら財布のひもは緩み、不調ならコスト削減に邁進する。これは当たり前の結果とも言えるかもしれない。なお、図には示していないが、戦略投資と定常費用の割合も、好調な企業の方が、そうでない企業よりも多かった。
では、戦略投資と定常費用の割合はどうか? 図3を見て欲しい。2013年度は戦略投資が32%、定常費用は68%。新規投資と既存保守運用費の比率が3:7であることを裏付ける結果だった。
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