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日本は「IT活用はCIO任せ」、アクセンチュアのグローバル調査で浮き彫りに

2014年2月12日(水)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

アクセンチュアは2014年2月12日、同社が実施した「グローバルCEO調査 2014」の概要についての記者説明会を開催し、日本企業に求められる経営課題として、(1)グローバリゼーション、(2)組織・人材への投資、(3)デジタイゼーションの3つを提示した。いずれもグローバル企業と日本企業の間で、CEO(最高経営責任者)ら経営層の認識にかい離があるという。特にデジタイゼーションにおいては、CEOとCIO(最高情報責任者)、および事業部長の3者による課題の共有が必要だと指摘する。

 グローバルCEO調査 2014は、アクセンチュアが2013年10月から12月にかけて実施したもので、1041人のCEO(最高経営責任者)やCIO(最高情報責任者)といった“Cクラス”の経営層が回答した。回答者のうち33%がCEOである。日本企業の回答者は全体の7.3%で、うち42%がCEOという。回答者の85%が年間収益500億円以上の企業に属し、日本に本社を置く企業は76%が同1000億円以上だった。

 日本企業に求められる経営課題の1つグローバリゼーションにおいては、先行きを楽観視する割合が、日本企業は米国やEU(ヨーロッパ連合)の企業より少なかった。グローバル企業においても、グローバル化については「楽観的」とする回答は44%で、不確実要因ととらえる向きが強いが、日本企業で「楽観的」としたのは36%だった。

図1:新興国市場の見方と投資判断

 ところが、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国など)を含む新興国の先行きに対しては、日本企業もグローバル企業も60%弱が「今後1年で成長する」とみているほか、「新興国投資の軸足をBRICs以外へ移す」とする声も60%前後で変わらない。

 ただ実際の投資の優先度は、「楽観的」とみていないためか、グローバル企業の58%が「海外市場優先」としているのに対し、日本企業は「自国市場優先」とする回答が55%を占めた(図1)。

 アクセンチュアの戦略コンサルティング本部戦略グループでマネジング・ディレクターを務める清水 新 氏は、「世界規模では新興国における市場獲得競争と、自国市場の収益力強化に向けた取り組みが同時進行している。自国優先率が高い日本企業はグローバル化に向けた土台が確立できていないと見られる」と指摘する。

 その具体例の1つが、組織・人材への投資の考え方に現れる。グローバル企業では、64%が「今後1年間に投資総額を増やす」としており、その対象を「人的資源への投資」とする企業が75%に上る。「有形資産への投資」と「無形資産への投資」とする企業は、いずれも55%前後である。

 これに対し、日本企業では「人的資源」に対する投資意欲は相対的に低かった。中国の95%、インドの81%など新興国の人的資源投資意欲は圧倒的に高いが、先進国でも米国は72%、EUは7%が「人的資源」への投資を増やすとする。ところが日本企業における同割合は63%どまりだった。

 アクセンチュアがアジア圏で実施した別の調査でも、「競争力を高めるための人材トレーニングや人材開発プログラムを実施する」とする企業は、他のアジア諸国が57%と半数を超えるのに対し、日本企業は30%だったという。清水氏は、「日本企業はOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を重視したり、職位別給与体系を導入したりしているが、今後のグローバル競争においては、スピードや優秀や人材の確保で遅れをとる可能性が高い」と警鐘を鳴らす。

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