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オムニチャネルの盲点!? 人材配置に焦点当てた統合製品を日本アスペクトが投入

2014年3月7日(金)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

顧客接点になるチャネルのすべてを駆使しながら、顧客との関係をより強固にするための取り組みである「オムニチャネル」が注目を集めている(関連記事『顧客接点を見逃すな』)。なかでも、スマートフォン用アプリケーションやWebサイトを駆使したオンラインチャネルと実店舗などを結ぶ取り組みが話題だ。そうしたなか、オムニチャネルを支えるバックエンドの人的資源に焦点を当てる製品が登場した。日本アスペクトの「アスペクト・オムニチャネルスイート」だ。同社の垣貫 己代治 社長が指摘する「オムニチャネルの盲点」とは何か。

 日本アスペクトが市場投入した「アスペクト・オムニチャネルスイート」は、大きく5つのソフトウェアからなるスイート製品である。電話やメールを扱うコンタクトセンターから、Web/EC(Electronic Commerce:電子商取引)サイト、SNS(Social Networking Service:ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、スマートフォン/タブレットまでをカバーしたオムニチャネル対応環境の構築・運用を可能にする。

 5つのソフトウェアは、2つのグループに分けられる。1つは、各社のマーケティング戦略に沿って各チャネルを一元管理するためのフロント側のシステムだ。具体的には、チャネルを一元管理するための基盤ソフトである 「オムニチャネルサービスプラットフォーム」、ソーシャルメディアとの連携を支援する「アスペクト・ソーシャル」、スマート端末向けアプリケーションの開発・実行環境となる「アスペクト・スマートサービス」の3ソフトからなる。

 オムニチャネルサービスプラットフォームが、顧客属性に合わせて設定したルールに基づき、最適なチャネルを選択し、最適なコンテンツを顧客に送り届ける。従来は、コンタクトセンターとWeb/ECサイトによる顧客対応を一元管理していた。この基盤上で、アスペクト・ソーシャルと同スマートサービスを動作させることで、SNSやモバイルを含めたオムニチャネル対応を実現する。

 もう1つは、コンタクトセンターや店舗、物流センターなどで働くスタッフの配置をマネジメントするためのバックオフィスのシステムである。「ワークフォース管理」と「バックオフィスオプティマイゼーション」の2製品からなる。前者がコンタクトセンターの人材を、後者が他のバックオフィスの人材を、それぞれマネジメントする。

 このバックオフィスの人材マネジメントが、日本アスペクトの垣貫 己代治 社長が指摘する「オムニチャネルの盲点」だ。どういうことか。

 オムニチャネルにおいては現在、スマートフォン・アプリなどを使って、ネットの利用者を実店舗に誘導したり、店頭での在庫切れをECサイトで受注したりするといった利用法が目立っている。そこでは、スマートフォン・アプリや各種サイトの利用履歴などの、いわゆるビッグデータを使った分析・レコメンデーションの仕組みの活用や、分析結果に基づく自動化が進展し、顧客には様々な商品プロモーションやキャンペーン情報が届く。

顧客接点が増えればバックオフィス業務も増える

 結果として売り上げが伸びれば良いわけだが、その間には、スマートフォン/アプリやサイトの利用方法やキャンペーン内容に対する問い合わせ、さらには受注増に伴う配送・出荷業務も増える。フロントエンドでITによる自動化・高頻度アクセスが可能になればなるほど、実際に人が作業しなければならず、「かつ例外処理が多く標準化が難しい」(垣貫社長)バックエンドに負荷が集中することになりかねない。

 しかも、フロントエンド側はマーケティングやIT関係の人材中心で業務が進んでいく。結果的に、「バックエンドなど実質的な人材配置が忘れられがち」(垣貫社長)というわけだ。

 ワークフォース管理とバックオフィスオプティマイゼーションは、この課題に対し、コンタクトセンターでの応対状況や、在庫管理・物流管理などのバックエンド・システムの操作実績などから、バックエンドにどれだけの負荷が掛かっており、その実行にはどれだけの人員を配置しなければならないかを算出する。

 コンタクトセンターの人員配置を最適化するワークフォース管理は、コンタクトセンター市場ではグローバルで26.7%のシェアを持つソフトだ。国内では6万ライセンス超の導入実績を持つ。ここでの経験から、「オムニチャネル対応では、物流センターなどのバックオフィスの人員配置までをカバーする必要があると判断した」(垣貫社長)という。

 バックオフィスオプティマイゼーションは、英eg solutionsが提供するBPM(Business Process Management)ツール。ERP(Enterprise Resource Planning)ソフトなどと連携し、プロセスの可視化から業務量の予測、目標達成に向けた人員配置までを繰り返すことで最適化を図る。米アスペクトはeg solutionsと2013年に資本提携している。

 なお、オムニチャネルの実現には、日本アスペクトが提供するフロントエンドとバックエンドの両システムの間に、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムや、属性分析エンジン、ビッグデータ収集・分析基盤などの中間システムが必要になる。CRMについては、アスペクトも提供するが、中間システムは基本的に外部のパートナー企業の製品を組み合わせる戦略を採る。

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