[インタビュー]

互換DB軸足にOracle対抗馬を市場投入、「健全な市場には競争が必要だ」

Tibero RDBMSを開発する韓国ティーマックスデータ幹部

2014年6月24日(火)川上 潤司(IT Leaders編集部)

Oracle互換のデータベース「Tibero RDBMS」を開発する韓国のティーマックスデータ(TmaxData)。互換DBの意味するところと本質的な狙い、今後のロードマップなどを来日した幹部に聞いた。

韓国ティーマックスデータ社の常務補/海外CS2室 室長を務めるコン・サンフィ氏

 韓国の大手ソリューションプロバイダーであるティーマックスソフト(TmaxSoft)。そのグループ企業で、Oracle互換のデータベース開発を主軸にビジネス展開しているのが、2003年創業のティーマックスデータ(TmaxData)社である<注:旧社名はTIBERO社>。

 このほど、同社の常務補であり、これまでDBコンサルティングや技術サポートなどの要職を務めてきたコン・サンフィ(Kong Sang Hui)氏が来日したのを機に、製品展開の狙いや今後のロードマップを含めた機能的トピックを聞いた。

Oracle DBに関する知識やスキルを最大限に活かせる

Oracle DBとの互換性を謳う「Tibero RDBMS」だが、その“互換性”の意味するところをもう少し詳しく聞かせてほしい。

 Oracle DBを使った既存アプリケーションの場合、我々は通常、3%ほどの修正でTiberoに移行できると言っている。

 現代自動車グループの鉄鋼メーカー、現代ハイスコでの例を挙げよう。同社には3つの工場があり、いずれもOracleを使った管理システムを運用していた。4つめとなる工場を新設するにあたって、既存アプリケーションを流用しつつDBをTiberoに切り替えるプロジェクトを発足させた。そこでの実績では、大小3000本のプログラムのうち、修正が必要だったのは100本だった。

 別の案件ではこうだ。大手通信会社がTiberoを検討するにあたって、Oracle 8i/9iを使った既存システムからの移行テストを実施した。その結果は、8iからの場合はほとんど手を入れずに移行が可能、9iからの場合はプログラム本数全体で修正が必要なのは4%とのことだった。これらの事例からも、互換性が高いことが理解できると思う。

 以上は、Oracle DBにアクセスするプログラムにおける互換性という観点だが、機能面でも同一あるいは類似するものを実装することに力を注いでいる。知っての通り、「SQL文を投げたらデータを返す」というDBの基本機能の周辺に、Oracleは様々な先進的な付加機能を充実させている。この動きに沿って当社は、例えば、DBの稼働状況をモニタリングするAWR(Automatic Workload Repository)に相当するものとして、APM(Automatic Performance Monitoring)を提供するといった具合だ。

 Tiberoはすでに多くの機能を備えているが、足りないものは今後リリースするバージョンで追随する。RAC(Real Application Clusters)やASM(Automatic Storage Management)、OCCI(Oracle C++ Call Interface)、AQ(Advanced Queuing)といった機能は、次の「バージョン5 SP1」ないし「バージョン6」に取り入れていく予定を組んでいる。

 これらの結果として、開発のみならず、チューニングや後々の運用なども含め、Oracle DBに関する知識やノウハウを最大限に活かせることになる。

ユーザーがTiberoを選択するメリットはどこにあるか。

 1つには、システム構築に必要となるコストを下げられることにある。韓国において我々は、Oracle DBを導入するのに比較して、ライセンス費で60~70%、年間保守料で70%ほどの額で済むと提示している。

 ある調査会社のレポートによると、ユーザー企業がIT基盤のソフトウェアに投じる費用のトップ3はこれまでOS、DB、各種ミドルウェアという順だった。それが昨年は上位2つが入れ替わり、DBが一番となった。ミドルウェアがカバーしていた機能をDBが内包するようになった背景があるにせよ、DB関連にかかる費用をなるべく抑えたいという声は根強い。Tiberoは、そうしたニーズに応える。

 もっとも、我々の本質的な狙いは「安いクローンDB」を作ることではない。一言で言えば、ユーザー企業のためになる「ソフトウェアベンダー同士の競争原理」をはたらかせることにある。

 Oracle DBは素晴らしい製品だ。その証に、多くの企業が採用しOracle製品を扱える技術者の数も相当数に上っている。ただし、世界各国のユーザー企業が、自社の戦略に沿ってITを利活用するには、情報システムを構成する製品を常に自らがイニチアティブをとって選択し得る市場がなければならないと考える。

 それが昨今の事情に照らすと、DBのみならず、OSもミドルウェアも、企業向けソフトウェアの分野では米国のITベンダーが多くのシェアを持ち、しかも、ある領域ではトップ数社が絶対的な存在感を示していることもある。懸念するのは、近未来のIT市場の環境が競争ではなく“独占”になること。コンペティターが存在しない市場は健全ではない。我々は韓国発のまだ小さなITベンダーだが、グローバルを常に意識し、各国のユーザー企業に便益をもたらすパートナーとして地歩を固めたい。

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