[市場動向]

あべのハルカス、“レベニューシェア”でITを調達
パナソニックISがクラウドサービスとして提供

2014年7月7日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

大阪の新ランドマークである「あべのハルカス」。高層階の展望フロア、ならびに16階の美術館の入退場管理に、ある画期的なシステムが使われている。その概要や、そもそも導入に至った背景などを関係者に聞いた。

集客施設同士の連携など新たなサービスも構想

 ところでパナソニックISはいつ頃、どんなきっかけでこのサービスを開始したのだろうか? 実は同社が集客型施設の運営管理システム受託に乗り出したのは2009年とまだ最近のこと。集客施設向けのチケット管理やそのシステムに高いノウハウを持つグッドフェローズという企業と知り合ったのがきっかけだったという。親会社であるパナソニックが持つPOSシステムや監視カメラ、デジタルサイネージなどのハードウェアを生かせることもある。

 最初はオンプレミス型の機器提供から始めた。当時、水族館などの集客型施設の開業が相次いでおり、既存の集客型施設におけるゲート機器などの更新需要も手伝って順調に顧客を伸ばしてきた。そんな施設の1つが前述の東京スカイツリーである。ほかにも六本木ヒルズの展望台である東京シティビューや足立美術館、伊豆サボテン公園、品川プリンスホテル併設のエプソン品川アクアスタジアム(水族館)、東映太秦映画村などがあるという。

 「しかし多くはオンプレミス型の導入です。オンプレミス型は機器やシステムを納入して終わりなので、得られるノウハウに限りがありますし、数年先の設備更新時にゼロからの競争になる課題もありました」(パナソニックISの河原氏)。そこで次の段階としてサーバーホスティングを経て、2013年からファシリティ・クラウドによるサービスを開始した。

 「ユーザーである集客型施設の売り上げが自分たちの売上げにつながるので、工夫しがいがあります。集めたデータを活用したり、イベントを企画したりSNSを使ったりして、販促や集客に踏み込めるんです。今後は顧客である集客施設同士を連携させたり、旅行会社と結びつけることもやっていく。従来の情報サービス事業の枠を超えた事業になると考えています」(同)。

 とはいえ、ファシリティ・クラウド・サービスの売上高は「当面、年間10億円が目標」(同)。年間の売上高が350億円のパナソニックISにとっては、まだ小さな事業に過ぎない。一括で売上げが立つシステム受託に比べ、複数年にわたって費用を回収するクラウドサービスは情報サービス会社にとっては手を出しにくい面もある。ユーザー側の売上げと連動するレベニューシェアとなればなおさらだ。

 しかし売上げを拡大できれば収入は伸びるし、自らクラウド技術を駆使することでサービス提供のリスクを低減できる。さらに言えば、今後のシステム案件はファシリティ・クラウドのような事業直結型が主流になる可能性がある。こう考えるとパナソニックISのサービスは、これから求められる情報サービスの先例と言えるだろう。
 

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