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[ITリーダーの美学]

若手には“真の国際感覚”を磨いてほしい─本田技研工業 宮下学氏

2014年8月26日(火)川上 潤司(IT Leaders編集部)

“The Power of Dreams”のスローガンのもと、ホンダは「人を喜ばせたい」「技術をもって世の中に貢献する」「世界に例のないものをつくる」といった創業以来のチャレンジ精神を活かし、生活に役立つ技術や商品の開発に一貫して取り組んでいる。一方では、新興国の成長で構造が変わる経済環境を見据え、グローバルな事業運営体制の強化を図っている。こうしたホンダのビジネスを支えるIT戦略について宮下学氏に聞いた。(聞き手は、川上潤司=IT Leaders 編集長、写真:赤司 聡)

本田技研工業 宮下学 氏  

米国オハイオ州の四輪工場立ち上げにも携わった

宮下さんは、少し前まで米国におられたそうですね。

 そうなんです。実は今年の4月に日本に戻ってきたばかりです。

米国ではどんな仕事を?

 米国において当社は、オハイオに生産拠点、ロサンゼルスに販売拠点を設けています。それぞれ独立した会社として活動しているのですが、このほど約2年をかけて両拠点のIT組織を一つのIT部門として統合したのです。私はロサンゼルスでその責任者を務めていました。

別会社同士の組織統合は決して簡単なことではありませんが、どんな狙いがあったのですか。

 研究開発からサプライチェーン、生産、流通・販売に至る、上流から下流までの情報の流れをスムーズにしたいと考えました。苦労はありましたが、今後は両拠点の生産と販売のシステム一体化を進めてビジネス効率を高め、ひいてはホンダのグローバル戦略に貢献して行きたいと考えています。

それ以前にも、様々なシステムに関わってこられたのでしょうね。

 ホンダに入社したのは1981年で、最初に担当したのは三重県・鈴鹿工場の生産設備系のシステムです。その後、本社のIT本部に異動となりCADやFAの推進役を務めたり、国内販売を強化するために営業部門と一緒になって、今でいうビッグデータ的な顧客分析や商圏分析を行ったりもしました。栃木の生産新機種部門では新車開発の設計/シミュレーションデータを量産工程と連携させる仕組みづくりのリーダーもやりまして…。 本当にいろいろなことを経験してきました。

 若い頃から、海外の現場にも多く出向きました。先ほどオハイオに生産拠点を展開していると申しましたが、1980年代に四輪(自動車)エンジン工場を立ち上げるにあたり、私は工程管理システムの企画、設計を担当しました。同じようなことを1991年に英国の工場でも行い、日本で開発したシステムを英国工場に持ち込んだのですが、「生産工程管理とはいかなるものか」「そこにはどんな工程と作業があるのか」といった基礎から一つひとつ教えて、現地の従業員を育成することから全般を任されました。

ざっとお話を伺うだけでも、宮下さんの目まぐるしい経歴に驚かされます。まさにホンダのビジネスのすべてに、ITを通じて関わってきたという感じですね。やはり学生時代からITを専門に勉強されてきたのですか。

 いえいえ、専門というわけではありません。コンピュータを少しはかじっていましたが、メインフレームにパンチカードでプログラムやデータを読み込ませて計算させるといった類のもので、現在のようなITの活用イメージとは全然違っています。そもそもホンダに入って、コンピュータに関わる仕事をやりたいとは思っていませんでしたからね(笑)。

やはり、自動車の開発や販売に関わる仕事をやりたいと?

 正確に言うと当時のホンダの四輪部門は、シビック、アコード、プレリュードなどの限られた車種しか手がけていなくて、自動車メーカーという印象はあまり強くありませんでした。我々の世代にとってホンダと言えばやはりオートバイであり、私も二輪分野に関わる仕事をやりたいと考えていました。

オートバイがお好きなのですね。

 学生時代はホンダの「CB400」というオートバイに乗っていまして、あちこちにツーリングに出かけ、一人で北海道を一周したこともあります。私に限らず、身のまわりにもオートバイ好きがたくさんいました。

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