[市場動向]

「やりたいこと」がデータの分析範囲や活用方法を決める

データビジネス創造のススメ[企業編]

2014年8月25日(月)データビジネス創造フォーラム

ビジネスを推進/拡大するためのデータ活用に向けて、企業は今、どう対峙しようとしているのか。これからのデータビジネス推進に必要なことは何か。「データビジネス創造フォーラム」実行委員の中で企業の取り組み状況などに詳しい、立教大学 経営学部教授の佐々木宏委員と、ソフトバンク・テクノロジー 取締役執行役員営業副統括の吉田剛委員、電通 統合データ・ソリューションセンター チーフ・アナリストの山崎茂樹委員に、アクティブラーニング代表取締役社長CEOの羽根拓也委員とインプレスIT Leaders編集部の志度昌宏副委員長が、最新動向や今後の課題などを聞いた。

写真1:企業動向に詳しい「データビジネス創造フォーラム」実行委員による座談会の様子写真1:企業動向に詳しい「データビジネス創造フォーラム」実行委員による座談会の様子

羽根 企業でのデータ活用への期待が高まっています。どのような形でデータ活用/データ分析に携わってこられたのでしょうか。

写真2:アクティブラーニング代表取締役社長CEOの羽根 拓也 委員写真2:アクティブラーニング代表取締役社長CEOの羽根 拓也 委員

佐々木 マーケティングリサーチを研究しており、その一環から新しいデータ分析手法の普及などに取り組んでいます。大学では、研究・教育に加え、キャリアセンターのマネジメントにも携わっています。学生のキャリアとしてもデータサイエンティスト関連が出てきており、様々な企業の方々とデータ活用関連で、お話しさせていただく機会が増えています。

山崎 電通といえば、広告・プロモーション領域でのマーケティング活用がその主体ですが、私自身は、電通自身がデータを活用するためのプラットフォームの構築や、スタートアップ企業およびグローバル企業とのアライアンスを担当しています。その中で力を入れているのが、データを中心としたソリューションです。

吉田 ソフトバンクグループのITサービス会社であるソフトバンク・テクノロジーで営業全般を見ています。その中でも、デジタルマーケティング分野とeビジネス関連サービスを主に担当しています。業種や規模の大小を問わず、企業がデータをどう活用できればビジネスにつながっていくのかを顧客のみなさんと検討し、実行に移せるようご支援しています。

写真3:立教大学 経営学部教授の佐々木 宏 委員写真3:立教大学 経営学部教授の佐々木 宏 委員

羽根 企業におけるデータ分析/データ活用は、どの程度まで進んでいるのでしょうか。

佐々木 マーケティング分野は、様々な業務機能のなかでもデータ活用がかなり活発化していることは間違いありません。ただ企業にとって戦略的な部分でもあるので、残念ながら事例としてはなかなか表に出していただけないこともあります。

リアルタイム分析などデータ活用の戦略性が高まっている

 マーケティング分野では昔から、ダイレクトマーケティングやCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)といった考え方はありましたし、実践も進んでいました。しかし、かつてと大きく変わったのは、データの収集から分析、アクションまでがリアルタイムに実行できるようになってきたことです。マスに対しグロスでしかなかったマーケティング施策が、今は顧客1人ひとりに、きめ細かく実施でき、エンゲージメントを高められるようになったと言えます。

山崎 広告業界でいえば2013年から、DMP(Data Management Platform:データマネジメントプラットフォーム)が盛り上がってきています。広告の費用対効果を高めるために、エンドユーザーの顧客属性や嗜好性を分析して広告配信の最適化に利用したり、自社が保有するデータを利用して顧客分析を行ったりするための仕組みです。まだまだ立ち上がってきたばかりなので、今後どう活用していくかの議論が始まっています。

羽根 戦略的ということですが、具体例はありませんか。

写真4:電通 統合データ・ソリューションセンター チーフ・アナリストの 山崎 茂樹 委員写真4:電通 統合データ・ソリューションセンター チーフ・アナリストの 山崎 茂樹 委員

山崎 各種メディアによれば、回転寿司チェーンを展開されているスシローさんが、データ分析によって店舗オペレーションの最適化を図っている代表例ではないでしょうか。タッチパネルのデータを解析することで、来店客が食べたい寿司をタイムリーに提供するのです。店舗ごとに最適化を図ることで、チェーン全体での廃棄率が大幅に下がったといいます。

 ビッグデータの分析手段としての技術やサービスの活用例としては、分散処理基盤の「Hadoop」の活用や、米AWS(Amazon Web Services)の「Redshift」や米トレジャーデータの「トレジャーデータサービス」、米FlyDataのデータ連携サービスなどを導入したという記事がいくつも紹介されていますね。

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