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Intercloud、ACI、DCaaS、IoE―シスコが次世代ICTビジョンをまとめて説明

2014年10月3日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)

シスコシステムズの日本法人は2014年10月2日、都内で2015年度の事業戦略説明会を開き、代表執行役員社長の平井康文氏らがビジョンや注力分野、日本での事業戦略、新組織体制などを紹介した。以下、説明会で語られた、シスコが描く次世代ICTを形成するIntercloud、ACI、DCaaS、IoEの概要と取り組みの進捗についてまとめた。

シスコシステムズ代表執行役員社長の平井康文氏

 シスコジャパンが掲げる2015年の企業ビジョンは「Advanced Japan」。これは、ICTによる企業の変革のみならず、社会・国家レベルでの変革を担っていくという同社の意思が込められたものだという。「Advanced Japanは、2013年より掲げたExcite Nipponをさらに発展させたもの。IoTの進展や働き方変革の機運といった“高揚”を“実行”に移していくのが、当社の2015年のミッションである」(平井氏)

 このビジョンに沿ってシスコは、「Customer Partnerships」(顧客・パートナー向け施策)、「County Transformation」(地域社会や日本の変革に貢献するための施策)、「Cisco Family」(ダイバーシティなど組織活性化・人材活用に関する施策)の3つのカテゴリーにおいて施策を展開する。説明会では個々の取り組みについての説明がなされた。以下、ユーザー企業が特に高い関心を寄せるハイブリッドクラウド、次世代データセンター、IoT(Internet of Things)領域のトピックについて取り上げる。

事業者間クラウド連携を実現する「Intercloud」

 2014年3月に発表された「Cisco Intercloud」は、複数のデータセンター/クラウドサービス事業者のクラウドインフラを連携/相互接続し、事業者を超えたグローバルなクラウドネットワークを構築するという壮大な構想だ。

 中核となる技術は、OpenStackベースの基盤ソフトウェア技術「Cisco Intercloud Fabric」。同ソフトウェアが制御とオーケストレーションを司ることで、上述のセキュリティ維持やリソースのポータビリティが実現されたIntercloudインフラレイヤが形成される。つまり、電話の国際ローミングのような環境がIaaSレイヤで実現されるイメージになる。

 シスコによると、Intercloudとして相互連携されたクラウドインフラ/IaaS上で、ユーザー企業は、一定のセキュリティレベル/QoS(サービス品質)を維持しながら、事業者をまたいでワークロードの移動を行うことが可能になるという。図にあるように、企業のプライベートクラウドと、AWSやMicrosoft Azure、Googleといったパブリッククラウド、Intercloudパートナー事業者による「パートナークラウド」を組み合わせた、IaaSレイヤのハイブリッドクラウド環境が手に入るかたちだ。

Cisco Intercloudのイメージ(出典:シスコシステムズ)
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Cisco Intercloud Fabricのアーキテクチャ(出典:米シスコシステムズ)
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 IaaS間の連携や相互運用性の実現については、ブロケードコミュニケーションシステムズやピストンクラウドコンピューティングなどのベンダーが、やはりOpenStackの仕様を基にした取り組みを行い、すでに商用サービスとして提供されている。同じOpenStackベースということで、Intercloudも、基本的なアプローチはそれらとほぼ同じと思われるが、推進にあたってシスコは世界50カ国の250のデータセンターを相互連携することを掲げており、連携可能なインフラの数のケタが異なる。目指すのはグローバル標準となって世界中のクラウドインフラを統合することだろう。

 この日の説明会では、米シスコが9月29日にCisco Intercloud Fabricの正式版をリリースし、そのタイミングで、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)、ブリティッシュテレコム、米エクイニクス、NTTデータなど30社以上の通信キャリア、データセンター事業者、クラウドサービス事業者がIntercloudのパートナーに加わり、2社目の日本企業として伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)も参加を表明したことが発表された。

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