[基礎から分かる『EDI再入門』〜グローバル企業のビジネス情報連携方法〜]

EDIにおけるドキュメント交換プロセス:EDI再入門 第4回

2014年12月18日(木)Rochelle P. Cohen

通信ネットワークの広がりにより、企業の取引形態は大きく変化しました。今日のビジネス環境において、B2B統合は成功への鍵です。実際のところ、電子的に取引ができない場合、多くの企業は貴社とのビジネスを行わないでしょう。前回は、EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)のメリットについて説明しました。今回は、EDIの定義を再確認するとともに、EDIのプロセスについて説明します。

【この記事で習得できる内容】

・EDIの定義
・ドキュメントを送受信するためのEDIプロセスの仕組み


 企業間(B2B)電子商取引(eコマース)は、多くの利益をもたらしてくれる世界中のビジネスパートナーとのコミュニティの統合を実現してきました。そのためのツールが、EDIであり、XML(拡張マークアップ言語)やオンラインカタログです。

EDI標準は利用者とシステム提供者が共同で策定

 ここで改めてEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)とは何かを考えてみましょう。EDIは、次のように定義されます。

小売業とそのサプライヤー、銀行とその企業クライアント、自動車メーカーとその部品サプライヤーなど、それぞれのビジネスパートナーとの間で標準の電子フォーマットの発注書やインボイスといったビジネスドキュメントをコンピュータとコンピュータの間で交換すること、その仕組み

 EDIを使って交換される最も一般的なドキュメントは、発注書や、インボイス、事前出荷明細書です。この他に、船荷証券、通関書類、在庫ドキュメント、入荷状況ドキュメント、支払書類など多くのドキュメントがあります。

 EDIドキュメントはコンピュータによって処理されるため、コンピュータのプログラムは、受信したドキュメントのどこに必要な情報があり、どんなデータ書式で記されているのかを知っていなければなりません。具体的には、含まれている数字が整数データ(例えば「12」)なのか小数点付きなのか(同「12.0」)、フォームの中の日付の書式は「mmddyy」か「mmddyyyy」であるのかなどです。

 異なる言語、例えば1人は英語のみ、もう1人は日本語のみという2人の話し手の間では会話が成立しません。同様に、共通の書式ではなく、それぞれが固有の独自仕様の書式を持つ2つの業務システムでは、相互にデータは交換できません。共通の標準書式こそが、コンピュータ経由で企業が相互に通信する際の言語になるのです。

 EDI標準は、それを利用したり仕組みを開発したりする関係企業が参加する組織によって開発されました。ニーズを特定し、それらニーズを満たす計画を策定し、提案された標準に関して合意に達してきたのです。組織の小委員会は、引き続き集まって、進化していくビジネス要件に応える新たな標準や変更を提案しています。

 現在使用されているEDI標準は複数あります。最も一般的な産業間共通の標準は、主に米国で使用されている「ANSI」と、主に欧州/アジアで使用されている「EDIFACT」です。そのほか、銀行向けの「SWIFT」やハイテク業界向けの「RosettaNet」など特定の業種向けの標準があります。

紙も人も不要で時間もほぼかからないEDIプロセス

 現在、EDIでは、小売りや、自動車、ハイテク、物流、銀行といった業種のあらゆる種類のビジネスドキュメントを交換できます。これらのドキュメントは送信者のコンピュータから直接、受信者のコンピュータ上で動作する適切なアプリケーション、例えば注文管理システムなどに届き、直ちに処理が開始されます。

 第1回でも説明したように、EDIシステムを完全に統合するということは、そのプロセスでは、紙も人も不要で時間もほぼかからないということです。EDI文章の送受信では、ビジネスをシームレスかつ効率的な方法で実行できます(図1)。

図1:EDIにおけるドキュメント交換図1:EDIにおけるドキュメント交換
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 以下では、EDIのプロセスに沿って、それぞれの機能を見ていきましょう。

(1)EDIドキュメントの送信

 EDIドキュメントを送信するには、データの特定、EDIドキュメントの作成、ドキュメントの伝送を実行する必要があります。

ステップ1:データの特定

発注書や、インボイス、事前出荷明細書などに含めるデータを特定します。電子ドキュメントを作成するのに利用可能なデータソースや方式には、(1)小売業の購買システムや企業の物流出荷システムなどのデータベースからデータを抽出するコンピュータプログラム、(2)スプレッドシートからデータを抽出するコンピュータプログラム、(3)データ入力画面からWeb経由でデータを入力する人、があります。

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