クラウドの利用が加速している。システムの管理や開発を自動化するツールも現実味が出てきた。スマートデバイスを筆頭に端末が多様化しているのは周知の通り…。こうした傾向が進む中、システム部門はどう自らを位置付ける必要があるのだろうか? 「従来型のシステム部門はもう要らない」ことは間違いない。
情報システム部門の役割は、いつの時代でも繰り返し問われてきた。ITの進化だけでなく、情報通信の環境も、それを活用する事業や社会も変化するために、役割が変わっていくからに他ならない。
筆者の所属していた会社でのシステム部門の変遷を概観すると、会社にコンピュータが導入されたのは1960年代半ばである。しばらくは電子計算室あるいは電子計算センターとして、主に計算業務を扱う部署だった。組織としてシステム部門が作られたのは15年ほどを経た1980年代の初頭のことだ。事業部門が計算機の活用に目覚め始めた時期であり、同じ頃にシステム子会社も創設されている。
その後15年以上にわたって、システム部門は管理系の部署という位置付けだった。組織上は企画本部や経営本部に置かれてはいたが、企画や経営の業務からは遠かったのだ。変わるきっかけは、コンピュータ2000年問題で全社的に関心が高まり、かつ2000年にシステム部門が社長室配下に置かれたことである。経営の中枢に位置付けされて情報ガバナンスやIT投資マネジメントを担うようになり、すでに15年になろうとしている。
計算センター機能、経営管理型システム部門、経営企画型のシステム部門──50年をざっと振り返ると、15年ごとに役割が大きく変化していることが分かる。それが偶然なのか必然なのかはさておくとして、伝統的な日本企業ではほぼ同じような経過を辿っているはずだ。最近肌で感じることは、次のステージに向かってシステム部門の役割に、また大きな変化がやってくるのではないかという予兆である。
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