[調査・レポート]

IT支出は増加傾向、成長や変革への投資意欲が高まる―ガートナーの国内IT投資動向調査

2015年3月4日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

ガートナー ジャパンは2015年3月3日、2015年度の国内IT投資動向調査の結果を発表した。703社の国内企業に対し、2015年度のITの予算が2014年度より増えるかどうかなどを尋ねている。

 ガートナーのIT投資動向調査は2014年10月から12月にかけて実施したもの。回答企業におけるITに関する支出額の回答結果が図1で、2014年のIT支出額は2013年と比べて2.5%増加している。Windows XPの保守サポートの終了や消費税増税に向けたシステム改修が2013年度中に終わらなかったことや、中堅・中小企業向けの設備投資減税が影響したことなどが増加の要因と同社は見ている。

 また、2015年に予定・予想される支出額も尋ねている。回答結果によると、2014年と比べて0.6%の増加にとどまる。これは、2013年から2014年にかけてのプラス傾向への反動と考えられる。

図1:日本企業のIT支出規模予測(出典:ガートナー)

 IT予算の増減を目的別で見たのが図2である。継続的なオペレーションにかける費用となる「運営」の予算を減らすと答えた企業は22.1%だった。これに対し、「成長」させるための予算を増やすと答えた企業は27.1%、「変革」させるための予算を増やすと答えた企業は27.3%だった。ITを維持するための予算を極力減らし、事業を成長、もしくは変革させるための投資を増やしたいと考える企業が多いようだ。

 こうした傾向の要因として、ガートナーは、新規参入企業の脅威、新たな代替技術の登場、規制環境・制度の変化などを指摘。他社に先んじて競争優位を獲得し、持続的な成長と変革を推進しようとする企業が増えていると分析する。

図2:2015年度のIT総予算額の増減傾向(出典:ガートナー)

 調査では、IT部門と利用部門におけるIT予算の管理状況についての実態も尋ねている(図3)。「利用部門が管理するIT予算は存在しない」と答えた企業は56.8%で、2013年と比べて2.9%減少している。

 一方で、「IT部門が管理・把握していない利用部門独自のIT関連予算が存在」と答えた企業が21.5%と全体の2割を占める。2013年と比べて3.6%、2012年と比べて4.6%増加している。IT部門がビジネスのニーズに対応しきれず、利用部門が独自にITに投資するというケースは徐々に増えていることが分かる。

 また、本調査の回答者は主にIT部門であることから、「シャドーIT」(IT部門が把握せずに事業部門の現場などで導入・利用されているIT)の利用比率はさらに高まっている可能性があるとガートナーは分析する。

図3:利用部門が管理するIT予算状況(出典:ガートナー)
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