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[ITリーダーの美学]

エッジな技術に触れて常にワクワクしていたい─ライオン 宇都宮真利氏

2015年3月30日(月)川上 潤司(IT Leaders編集部)

ビューティケアやメディカルケア、機能性食品に至るまで、生活に身近な製品づくりで成長してきたライオン。創業120年を迎えた2011年に経営ビジョン「Vision2020」を策定し、その成長戦略と歩調を合わせる形で、基幹情報システムならびにIT基盤の大胆なリニューアルを行ってきた。その牽引役として知られる統合システム部の部長を務める宇都宮真利氏に、今日までに積み重ねてきた経験談と、今後に向けた意気込みを伺った。(聞き手は、川上潤司=IT Leaders 編集長)。写真◎的野弘路

製造設備やプラントの設計部門でキャリアをスタート

私の記憶では、宇都宮さんの元々のご専門は薬学なのだとか。

 よくご存じですね。おっしゃる通り大学は薬学部の出身です。ただ、一口に薬学と言っても間口は広く、卒業研究で入っていたのは薬品製造工学研究室で、どちらかといえば化学工学に近い分野です。プラントや製造設備の設計などのエンジアリング系を得意分野として学んできました。

ということは、ライオンに入社した時は、まさかITをやることになるとは思っていなかった?

 まったく想像もしていませんでした。実際、1982年に入社してからの16年間は生産技術部という部門に所属しており、特にその前半の8年間は、鎮痛解熱剤や目薬などの医薬品の製造設備を担当していました。

 生産技術部を平たく言うと、研究所と工場の橋渡し役です。研究所ではビーカーや試験管を使って、せいぜい1kg程度の試作しか行いません。これに対して工場では、何トン、何十トンといった規模での製造を行います。そうしたスケールアップを実現するための設備やプラントを設計するのです。

それがどのような経緯でITと出会ったのでしょうか。

 身のまわりの環境が変わったのは、生産技術部での後半の8年間です。ちょうどその頃からCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合製造)やFMS(Flexible Manufacturing Systems:フレキシブル生産システム)など、製造現場にも様々なITシステムが入り始めたのです。

 私も画像処理を使った検査システムを導入したり、時にはプログラミングしたり、そんな形でコンピュータと関わるようになりました。

思い出に残るシステムはありますか。

 技術文書の管理システムをフルスクラッチ開発しました。モノづくりの現場では、原料や製品の仕様書、作業の手順書など大量のドキュメントが存在するのですが、当時それらの文書をすべて紙で管理しており、作成、改定や利用には大変な労力をかけて活用しなければなりませんでした。これをデータベース化しようということになったのです。

 関連検索と呼んでいたのですが、例えば原材料名をクリックすると、それを取り扱う製造装置の画像やベンダーの情報などが同じ画面に表示される仕組みを作りました。今でいうリンクのような機能です。インターネットもない時代だっただけに非常に画期的で、私にとって感動的なシステムでした。

専門の化学ではなく、ITで身を立てることを決意

そのシステムの開発は、会社から指示されたものだったのですか。

 いえいえ、自分から手を挙げました。当時のIT部門にお願いして、一緒にやらせてもらったのです。

どんな心境の変化があったのでしょうか。

 本音としては、化学で身を立てたいという思いがあったのも事実です。ただ、ライオンには化学の専門家がたくさんいます。化学は特に経験がものを言うサイエンスで、諸先輩を超えるどころか、追いつくことさえ簡単なことではありません。

 その点において1980年代といえば、ITの本格的な活用はまだ始まったばかりで、皆が同じスタートラインに立っているという状況でした。ここで頑張れば自分が一歩先に踏み出せる、会社の中だけかもしれないけれど第一人者になれるかもしれない。だったら思い切って土俵を変えてしまおうと考えました。

仕事は面白かったですか。

 それはもう面白かったですよ。性格とか思考とか、あらゆる面でITの仕事は自分に合っていたのかもしれません。

それは具体的にはどういうところでしょうか。

 システムって、極めて論理的じゃないですか。裏を返せば、組み立てたプログラムの通りにしか動いてくれない。そうした中で、自分自身が立てた思考の筋道と向きあって、物事を突き詰めていかねばならないところが、肌に合っていたようです。

でも、勉強するのは大変だったのではありませんか。

 確かに、分からないことを聞いても教えてくれる人が周りにいないので、とにかく本をたくさん買い込みました。私は自分自身のことを生粋のプログラマーと考えていたので、C言語の本を買ってボロボロになるまで読みましたし、そのほかにもマイクロプロセッサの構造を解説した本まで読み漁ったものです。

そんな経験が買われて、IT部門に移ったのですね。

 そうです。呼ばれちゃったのです(笑)。1998年に異動して、6年間ほど在籍しました。

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