[ユーザー事例]

旭硝子が基幹システムのすべてをAWSに移行すると決断した理由

2015年4月10日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

企業情報システムにおいて、聖域なきクラウドへの移行が始まっている。情報系だけにとどまらず、最近は基幹系システムをクラウド環境に移すことに躊躇しない企業が増えている。AGC(旧社名:旭硝子)もそうした1社。メインフレーム上やSAP ERPソフトなどを使った10以上ある基幹系システムのすべてをAWS(Amazon Web Services)に移行することを決めた。なぜAGCは、自らが「旧来型」と称するシステムをAWSに移行すると決断したのだろか。その軌跡を追った。

写真:旭硝子 情報システムセンター グローバルIT企画グループの浅沼勉主席写真1:AGC 情報システムセンター グローバルIT企画グループ主席の浅沼勉氏

 産業用から民生用まで各種のガラス製品を製造・販売するAGC(旭硝子)は今、基幹システムのクラウド移行を進めている。第1弾として、販売系システムをマイグレーションし、米Amazon.comのクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)上で稼働するSAP ERPを使うシステムに切り替える。2016年にはカットオーバーさせる計画だ。

 並行して、「データセンターマイグレーション」を進め、現在運用しているデータセンターを徐々に減らしていく。その他10余りの基幹システムやオフィス系システムも、それぞれの更新時期に合わせてクラウドに移行。2020年には大半のシステムがクラウド上で稼働する予定である。

当初はクラウド化は選択肢にはなかった

 旭硝子がクラウド化を進める契機になったのは、メインフレーム上で稼働していた最後の大規模基幹システムに対する保守の終了である。2014年3月から、次期システムの選定に入った。ただこの時点では、「クラウド化という選択肢は全く頭になかった」(同社情報システムセンター グローバルIT企画グループ主席の浅沼勉氏、写真1)という。

 理由はいくつもあった。SI会社に相談しても「クラウドシステムに移行すると、かえってコストが高くつく」と聞かされていた。セキュリティ面や法律面の不安も払しょくできなかった。何より、「クラウドに適したシステムは、機能追加が多く、事前に利用者数が分からない差異化や革新のためのシステム。短いサイクルでの機能追加やサイジングの見直し頻度が少ない記録型のシステムはクラウドには向いていない」(浅沼主席)という先入観があった。

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