日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2015年4月15日、「ソフトウェアメトリックス調査2015」の概要を発表した。今回は、開発生産性を高めるものとして関心が高まっている、アジャイルと超高速開発のアプローチについて、その実態を明らかにする試みをしているのが特徴だ。
ウォーターフォール型開発(WF)とアジャイル開発(Agile)、超高速開発ツール(xRAD:eXtreme Rapid Application Development)のうち、もっとも生産性が高い手法はどれか。そもそも、これらの間に何らかの有意差はあるのだろうか? あるとすればどの程度か──IT投資の質に直結するこの難問は、多くのユーザー企業にとって関心があるはずだ。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が、その関心に応えるべく実プロジェクトのデータを収集し、分析を試みた(http://www.juas.or.jp/information/infodisp.asp?id=386)。
結果が図1である。分析対象データはWFが428件、Agileが37件、xRADが17件と、十分に多いわけではないので参考値に近いが、まとめると次のようになる。なお図1中の「JFS」はJUAS Function Scaleの略で、システムの規模を推定するためにJUASが独自に作成した指標。「画面数+帳票数×2/3」で計算される。ファンクションポイントなど既存の見積もり方法に比べ、簡易に規模を算出できる。
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- 必要工数では、WFに対しAgileが有利。小規模なプロジェクトで6%、中大規模では14%改善する
- それ以上にxRADの工数における生産性向上は大きく、規模にもよるが2~3倍も向上する
- 工期はそこまでの有意差はないが、それでもWF > Agile > xRADである
その結果、
- 小規模なプロジェクトでは、総費用の面でxRADがWF、Agileに対し3分の1程度になる
- 中・大規模のプロジェクトでもxRADがWF、Agileに対し2分の1以下である
- 総費用の面ではWFとAgileはあまり差がない
つまり、プログラミング(コーディング)の工程を省け、テスト工程も圧縮できるxRADが優位。WFとAgileは生産性の面では大差ないという結果である。一定の納得感のある結果だが、しかし2倍から3倍の生産性があるとすれば、なぜxRADはもっと広がらないのだろうか。あるいはWFとAgileが総費用の面で大差ないという結果は、なぜなのだろうか?
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