[イベントレポート]

スウェーデン製ERP「IFS」が地に足の付いた進化、NECなどが主に製造業向けに提供へ

IFS World Conference2015 現地速報

2015年5月8日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

製造業向けのERPパッケージを提供するスウェーデンのIFSは、米国ボストンで開催中の年次イベント「IFS World Conference2015」において、新製品「IFS Applications9」を発表した。現行版であるIFS Applications8のリリースは2012年6月。3年ぶりのリニューアルになる。ユーザーインタフェースや導入の容易さを高めたのが特徴だ。

 現行のバージョン8をリリースして以降も、IFSは「Enterprise Explorer」と呼ぶ新GUIの提供に加えて、ルールエンジンによるプロセス設定の柔軟性向上、ユーザーが自由にデータを追加できるカスタムオブジェクトの実装など実施。業務や業種ごとのニーズに対応するモジュールを増やしつつ、モディフィケーションせずに設定で済む範囲を広げてきた(http://it.impressbm.co.jp/articles/-/10672)。サービス指向アーキテクチャによる疎結合のモジュールも含めて、使い易さの向上と導入の負担軽減に向けて改良し続けているわけだ。

 バージョン9では「ビジネスアジリティ(俊敏性)の向上」をうたい文句に、そうした特徴をさらに正常進化させた。一つが「IFS Lobby」と呼ぶ情報表示機能(図)。あらゆる人や情報が集まるホテルのロビーが名前の由来で、「意思決定を迅速に行うには、求める情報を一目でリアルタイムに把握できる必要がある。そこで決まった画面ではなく、ユーザーが自由に変更して情報見やすく表示できるようにLobbyを開発した。当然、レスポンシブデザインを採用して、PCのほかタブレット、スマートフォンなど様々なデバイスで利用できる」(同社のトーマス・セルドR&D担当副社長)。

図 新版の特徴的機能の1つとなる情報表示機能の「IFS Lobby」
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 使い勝手を高める工夫の一つとして「IFS Stream」と呼ぶ機能も追加した。何らかのビジネス状況が変化したり、設定値を超えたりすると関係する担当者に自動通知する、いわゆるノーティフィケーション機能である。これだけだとさして珍しくないが、電子メールだけでなくFacebookやTwitter、LinkedInなどのSNSに対応。担当者がもっともよく使う手段により通知できるようにした点は今日的だろう。1年以上前からIFS Applications9のプロトタイプを導入し、開発に協力してきたある欧州の企業は「データや情報は増える一方。常に監視しなくても通知を得たり、行うべき処理を別の担当者に知らせたりできるStreamは、とても有効な機能だ」と語る。

 第3がレイヤー構造アーキテクチャの採用。相対的に変化の少ない機能を実装した標準モジュール、設定だけで機能を変更できる拡張機能モジュールのカバー範囲をそれぞれ拡大。モディフィケーションの必要性をバージョン8に比べて大幅に少なくしたという。ERPの一機能としてCRM(顧客関係管理)を組み込んだのも特徴の一つ。受注確定前の商談段階から見積もり提案といったプロセスを、ERPの一部として実装できる。例えば、商談の段階でCRMを使って、取引履歴や生産状況などERPが管理するデータにアクセスできる。使いやすいかどうかは不明だが、ありそうであまりなかったアプローチである。

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