[大元隆志のウェアラブル・ビジネス活用最前線]

Apple Watchが切り開くのは「ウェアラブル市場」ではない

2015年5月20日(水)大元 隆志

アップルが4月にリリースしたApple Watch。発売前に逆風が吹いていたかと思いきや、蓋を開けてみれば大人気を博している。スマートデバイスの次に来ると目される“ウェアラブル”の市場に足がかりを築いたアップルには、どのようなビジネスが考え得るのか。昨今、IT部門には業務を支えるシステム構築だけでなく、新たなビジネスを創出するアイデアが求められている。そんな観点において、Apple Watchを単にコンシューマ向けのガジェットと捉えずに、それを基軸とする経済圏に思いを巡らせてみてはどうだろうか。

 2015年4月10日、Apple Watchの予約が開始された。その前後、筆者のFacebookのタイムラインはApple Watchの話題で持ちきりとなり、4月10日の1日だけで10人の友人が予約手続きを完了していた。発売は4月24日だったが、予約開始から僅か数時間で出荷が6月にずれ込むモデルが現れ、今では全モデルの出荷が6月以降になっている。

前評判は散々だったApple Watch

 2014年9月9日、アップルがApple Watchを発表すると株価は下落。同日のアップル社の株価は0.38%安の97.99ドルで引けた。2015年3月には「アップルウオッチ、69%が『購入に興味なし』と回答」とのロイター報道(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M92IP20150313)があり、これを受けた「いらない」「興味ない」という声をネット上では多数見かけた。発売前にはまさに「逆風」と言える状況だった。

 筆者の周りには、先進テクノロジーが詰まったデジタルガジェットの動向に敏感で、目が利く人たちが大勢いる。思い起こせば、「Pebble」発売をきっかけに、スマートウォッチが話題を集めることはあったが「購入」にまで至る人は殆どいなかった。追い打ちをかけるかのように、ウェアラブルブームの火付け役だったGoogle Glassの個人向け販売が中止となり、ブームが下火になるムードさせ感じていた。タイミング的に、Apple Watchに「逆風」が吹くのも無理からぬことだった。

 しかし、Apple Watchの予約開始と共に、一瞬でムードが逆転した。率直に言って「凄い」。今までのウェアラブルデバイスの流れを一気に塗り替える勢いを感じさせる。今の所、アップルはどれほどの予約があったかを公表してはいないが、米Wall Street Journalの2月の予測では、Apple Watchの第1四半期の出荷台数は500万~600万台。Forbesのアップルアナリスト18人の平均販売台数の予測は2250万台、となっており、Android Wearの2014年の出荷台数が72万台(http://www.canalys.com/newsroom/over-720000-android-wear-devices-shipped-2014)だったことを考えると、いかに凄いかがわかるだろう。

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