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広がる人工知能(AI)の応用、教育分野で英語学習サービスが登場

2015年5月27日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

ビッグデータを経て機械学習、そして人工知能(AI)へ−−。このトレンドを生かした新サービスが2015年5月26日に発表された。グローバル化の流れの中で高まる英語熱に対応するべく、コーリという一風変わった名前のベンチャー企業が、企業向けに英語を学習できるサービスを開始するという。

 「コーリ(Cooori)」は、語学学習のためのクラウド型サービス。利用者はPCやモバイル機器で英単語を覚えたり、英文を読んだり聞いたりできる。これだけなら多数ある英語教育サービスと変わらない。だが、「学習体験をパーソナライズするために人工知能(AI)の仕組みを組み込んだ」(同社)点が異なる。

図:学習体験をパーソナライズするために人工知能(AI)を使う図:学習体験をパーソナライズするために人工知能(AI)を使う
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 AIにより例えば、間違う傾向が強い単語やフレーズを適切な頻度で繰り返し出題する、20個の単語を覚えるのを途中で中断する傾向のある人には別の問題を出す、学習が進んでいる人とそうでない人には出題内容や難易度を変える、といったことができる(図)。

 当然、最初にテスト的な問題を出すので、学習者は自分に合ったレベルから学習を始められる。こうした個々の学習者に合わせて、出題したり、学習内容をチューニングしたりすることを「学習体験のパーソナライズ」と呼んでいるわけだ。パーソナライズにより、テキストや単純なeラーニングによる学習に比べて、10倍の早さで学習できることを目指しているという。

 ただし、どんなデータを取得し、どんなロジックで判断しているのか、どんな知識ベースや機械学習の仕組みを備えるのかといった質問には、「簡単には回答できない。別途、説明の機会を設けたい」という返答だった。

 それはともかく、一口に英語学習といっても会話やライティング、リーディングなど、その対象は幅広い。その中でコーリは、英語を話したり書いたりする準備、つまり語彙力と文章中における語彙の使い方にフォーカスしている。「語彙力であれば隙間時間にモバイルを使って勉強できる。通勤時間などで1回10分を1日3回繰り返すような学習形態だ」。

 サービスはすでに完成しているわけではない。現在はPoC(Proof of Concept:概念検証)の段階。協力するユーザー企業を募り、使い勝手や機能をチューニングしている。「企業向けであり、業種や業務に特化した単語やフレーズを組み込める。管理者や人材育成担当者が学習の進捗を把握することもできる。そのあたりの使い勝手や機能を検証している」という。2015年第3四半期には正式版をリリースし、社員1人当たり月額2500円で提供する計画である。

 それにしてもコーリとは、どんな企業なのか。創業者兼CEOであるアルナ・イェンソン氏はアイスランド出身。東京工業大学でAIと言語学を学んだ経歴を持つ。母語はアイスランド語でドイツ語や英語も習得しているが、「日本語を学ぶのには苦労した」。その体験から既存の学習方法は効率が悪すぎると考え、起業を決意したという。社名の由来は「アイスランド=氷の国」と「提供したいのは基礎力=氷山の水面下の部分=iceberg=氷」から。氷=Coooriというわけだ。

 本社はアイスランドに置いているが、15人いる社員は日本在住。日本法人も3月30日に設立しており、社長はアルナ・イェンソン氏が務める。COOには、SASインスティテュートジャパンやSAPジャパンなどIT分野での経験を持つ中田淳氏が就いている。

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