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「Dockerの利用障壁を取り除く」―レッドハットのPaaS新版「OpenShift Enterprise 3」

2015年7月22日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

レッドハット日本法人は2015年7月22日、企業のプライベートクラウドで稼働するコンテナベースのPaaS(Platform as a Service)ソフトウェアの新版「OpenShift Enterprise 3」を発表し、同日より国内提供を開始した。「Docker」形式のLinuxコンテナ、「Kubernetes」によるコンテナ管理、Red Hat Enterprise Linux 7を統合し、コンテナアプリケーションの開発から稼働、運用管理までのライフサイクルをサポートする。

 OpenShift Enterprise 3を一言で説明するなら、「コンテナベースアプリケーションの開発・稼働・管理プラットフォーム」、つまりPaaSに分類される製品だ。買収で得た技術を元にレッドハットがOpenShiftをリリースしたのが2011年5月。2012年11月には企業システム向けの「OpenShift Enterprise」をリリースし、今回発表されたOpenShift Enterprise 3は第3世代となる。

企業が注目すべきDockerの特性

 OpenShift Enterprise 3では、Docker形式のLinuxコンテナが正式にサポートされた。同ソフトでは以前よりコンテナベースのアプリケーションへの対応が謳われていたが、OpenShift Enterprise 3の投入で、オープンソースのコンテナ技術の代表格であるDockerへのフォーカスを明確にした。このDockerと、後述する「Kubernetes」、「Red Hat Enterprise Linux 7(RHEL 7)」およびRHEL 7ベースでDockerコンテナの実行基盤に徹した軽量OS「RHEL 7 Atomic Host」を統合して完成させたのが新バージョンとなる。

 Dockerは、JavaやPHP、Rubyなどで書かれた一般的なアプリケーションをイメージ化(仮想化してコンテナ内に格納)することで、デプロイメントや更新を容易にする技術である(図1)。アプリケーションの単なる仮想化だけではなく、業務システムとしての稼働環境(ミドルウェア、システムライブラリ、各種設定パラメータ)も併せてイメージ化される点がポイントで、これにより、デプロイやその後の運用管理作業を容易にし、それらにかかる時間の短縮を大幅に短縮できる。

図1:システム環境を含めてアプリケーションをイメージ化するDocker(出典:レッドハット)
写真1:レッドハット ミドルウェア事業部 事業部長の岡下浩明氏

 説明を行った、レッドハット ミドルウェア事業部 事業部長の岡下浩明氏は、今日の企業が注目すべきDockerの特性として、「不変な環境(Immutable Infrastructure)」と「新しいビジネストリガー」の2つを挙げた。

 まず、不変な環境について岡下氏は、アプリケーションに何らかの更新を行ったきっかけで、これまで正常に動作していたミドルウェアやシステムライブラリにエラーが発生するケースを挙げ、「Dockerでは、アプリケーション周辺のミドルウェアや設定も含めた不変な環境をイメージ化するため、そうしたエラーが本番環境で発生することはない」と述べた(図2)。

図2:Dockerの特性の1つ「不変な環境(Immutable Infrastructure)」(出典:レッドハット)

 もう1つの特性、ビジネストリガーを説明するのに岡下氏は、ITを駆使した新サービスの迅速な投入、アプリケーションの継続的デリバリー/更新、モバイルファーストといった、今日のビジネス部門からの要求を示し、それらを実現するための方法/技術として、DevOps(開発と運用の融合)やコンテナアプリケーション、PaaS、軽量OSなどと共にDockerを挙げた。「タクシー配車サービスのUberが成し遂げたような市場変革を起こすような画期的なアプリケーションの開発や、Systems of Engagement(SoE)と呼ばれるタイプのシステム構築に、DevOps/継続的デリバリーやマイクロサービスなどのアプローチが欠かせない。そうしたニーズに対して、Dockerがトリガーとなってアプリケーション開発・運用の新しいスタイルを実現する」(同氏)

図3:Dockerの特性の1つ「ビジネストリガー」(出典:レッドハット)
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