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[調査・レポート]

2015年の国内IT投資計画、大手・中堅企業で「増加」が「減少」を上回る─IDC

2015年7月24日(金)IT Leaders編集部

IDC Japanは2015年7月23日、国内企業・団体1480社のCIOまたは同クラスを対象に実施したIT投資動向調査の結果概要を発表した。それによると、2015年度の国内企業のIT投資(IT支出)が大企業・中堅企業を中心に「増加」が「減少」を上回る見通しだ。

 IDC Japanが実施した今回のIT投資動向調査では、2015年度の国内企業のIT支出計画は、全体では前年比で「変わらない」とする企業が6割以上を占めた。大企業(従業員規模1000人以上)・中堅企業(同100~999人)に絞ると、その割合が減少して5割を下回り、「増加」とする回答が大企業では37.2%、中堅企業では35.9%に達し、ともに「減少」とする回答を上回る結果となった。これについてIDCは、「アベノミクスの恩恵を受けて業績を伸ばした大企業/中堅企業を中心に、ITに積極的に投資しようという動きが鮮明になっている」と分析する。

図1:IT投資増減値(「増加」-「減少」)の経年変化(出典:IDC Japan、2015年7月)

 調査では、CIOが認識するIT課題やIT投資領域についても尋ねている。結果は、すべての従業員規模/産業分野で「セキュリティ」に関する項目がトップを占めた。近年、標的型攻撃に代表される高度なサイバー攻撃や、悪意ある従業員による内部からの情報漏洩などのセキュリティ事件が頻発し、大きく報道されていることからセキュリティに対する意識が高まっているためとIDCでは見ている。なお、IT投資領域においては他に「第3のプラットフォーム」、なかでもクラウドとモビリティに関する領域が大企業・中堅企業を中心に高い回答率を得ている。

 IDCは、「業績を伸ばしている大企業/中堅企業を中心に、海外展開を積極的に推進する国内企業は少なくないが、海外で生じるIT課題へ適切に対応するうえで、ITサービスベンダー選びは重要である」と指摘する。同社によると、国内企業が海外展開の際に利用するITサービスベンダーとして最も多いのは依然として国内で利用している日本のITベンダーだが、その比率は減少傾向にあるという。一方、海外での豊富な経験に裏打ちされたノウハウを持ち、言語の不安も少ないグローバルITベンダーの比率が上昇しているとのことだ。

 国内ITサービス市場は2015年以降もプラス成長を続けるものの、その成長率は徐々に低下していくとIDCは予測。そうした中で、上述の第3のプラットフォームをベースに、利益の最大化を目指して企業内の仕組みを革新する取り組みへの投資は伸びていくと見ている。このことに関して、IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は次のように分析している。「企業が全社でビジネスをデジタル化するためには、CIOをはじめとする社内のさまざまなポジションを繋ぐ橋渡し役が必要。ITサービスベンダーは、ITとビジネスの双方に精通することで、この橋渡し役としてユーザー企業内に深く入り込むべきである」

 今回の発表は、IDCが発行したレポート「2015年 国内CIO調査:ITサービス/アウトソーシング利用実態」(J15320104)で詳細が報告されている。

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