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[インタビュー]

「戦略的インフラとしてデータセンターを再定義せよ」―米ガートナー カプッチオ氏

IT部門が主導して創る「Enterprise Defined Data Center」

2015年8月3日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)

ユーザーニーズとICTトレンドの遷移に伴い、データセンターが担う役割や機能が大きく変わりつつある。グローバルのデータセンター市場を長年注視し分析してきたエキスパートは、今の動きをどう見ているのか。2015年5月26~28日、東京都内で開催されたガートナー ITインフラストラクチャ&データセンターサミットの基調講演に登壇した、米ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント兼最上級アナリストのデイヴィッド・カプッチオ(David J. Cappuccio)氏に聞いた。(聞き手・構成:河原 潤、文:柏木恵子、写真:赤司 聡)

IoTがデータセンターの仕組みに与える影響は限定的

――データセンターへのニーズの前提として、企業や個人を取り巻くデータに関して今、どのようなことが起こっているのでしょうか。

 データの量的な増大はとどまるところを知らない。ガートナーの予測では、従来型のデータは年率50~60%で増え続け、5年後にはおそらく800%の成長を示すことになるだろう。さらに、センサーログのようなIoT(Internet of Things)で発生するデータが加わってくると、ケタが5ケタほど増えるかもしれない。

米ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント兼最上級アナリストのデイヴィッド・カプッチオ氏

――IoTがメガトレンドとなっています。このムーブメントをどうとらえていますか。

 IoT自体は、企業の中で使われるようになって10年以上経っている。工場などの生産現場におけるプロセス自動化は典型例だ。全般にIT活用の取り組みではなく、業務効率改善の取り組みと見なされてきた。

 近年はリモートセンシング技術やセンサーから取得したデータ解析技術の進歩はめざましく、それがIoTの適用領域を大きく広げていった。

 例として、医療業界での活用を挙げよう。例えば、入院患者のベッドに、モーションセンサーを付ければ、看護師は、患者の容態を24時間切れ目なく把握できるようになる。単に寝返りを打っているのか、それとも何か異変があって苦しんでいるのか。そういったことが技術的に正確に分かるようになったことで、医療サービスの品質が大幅に向上する。 また、看護師がセンサー付きのIDカードを持つことで、業務中、どのタイミングで手を洗ったり消毒したりしているのかを正確に可視化できる。これは、訴訟問題が発生した場合に、正しいプロセスを踏んでいたのかを後から確認するのに役立つ。こうしたリスク管理でも活用が可能なわけだ。

 これまで、センサー技術や取得したデータは事後検証に利用されることがほとんどだったが、IoTの今後の進化の方向として、よりリアルタイムな検証に用いられるケースが増えていくだろう。データを取得してからその場で、ミリ秒単位で処理しなければ意味がないといった状況を想定している。

――データが生成された現場でただちに処理される必要があると。その際、データセンターの使われ方はどうなるのでしょう。

 センサーで取得したデータを逐一データセンターに送って処理するのではなく、センサーの近くで分散処理を行い、マクロレベルの解析結果のみが中央に送られる仕組みになるだろう。今後、IoTの適用領域がさらに広がって、さまざまな分野・種類のデータが取得されるようになっても、中央に送られるデータは全体の一部に過ぎず、データセンター自体に与える影響は限定的だと見ている。

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