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ストレージの比較点は速度か運用管理性か、米Tintriがオールフラッシュ製品投入

2015年9月25日(金)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

SDD(Software Defined Storage:ソフトウェア定義ストレージ)ベンダーの米Tintriが2015年9月24日、オールフラッシュの新製品「Tintri VMstore T5000」シリーズを投入した。SSD(Solid State Drive:半導体ディスク)とHDD(Hard Disk Drive)を組み合わせた“ハイブリッド”構成を強調してきた同社がT5000シリーズを投入した背景では、ストレージ製品における、どのような開発競争が起こっているのだろうか。

写真1:Tintri VMstore T5000シリーズの外観写真1:Tintri VMstore T5000 シリーズの外観
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 米Tintriの日本法人、ティントリジャパンが2015年9月24日、オールフラッシュの新製品「Tintri VMstore T5000 オールフラッシュシリーズ」の販売を開始した。「T5080」と「T5060」の2製品からなる(写真1)。実効容量はT5060が7.3TBT、5080は14.3TB。インラインでの重複排除と圧縮による論理的な実効容量はそれぞれ36TB、73TBになる。サポートする仮想マシン(VM:Virtual Machine)は2500と5000だ。

 同社製品はこれまで、SSD(Solid State Drive:半導体ディスク)とHDD(Hard Disk Drive)を組み合わた“ハイブリッド”構成の製品のみを展開。アクセス頻度が高いデータ(ホットデータ)をSSDに、アクセス頻度が低いデータ(コールドデータ)をHDDにと、データを最適配置することでフルフラッシュと変わらぬストレージ性能が確保できるとしてきた。ではなぜ今、フルフラッシュ製品なのか。

 その理由をティントリジャパンの業務執行役社長、河野通明氏は、「ビッグデータが象徴する扱うデータ量の増大と、VDI(Virtual Desktop Infrastructure:デスクトップ仮想化)の大規模化や3D(3次元)CADへの適用など、大規模/大容量な環境への適用が広がってきたためだ」と説明する。

 それらの環境では、SSDの容量が大きい方が有効であることは事実。フルフラッシュ製品を投入する各社が、そのメリットをデータ活用のための“スピード”、すなわちデータの入出力性能の高速化にあると主張する。米EMCの次期製品のようにインタフェースそのものをPCIeバスにして、サーバー搭載のメモリーと同等に振る舞えるようにする開発も進んでいる。

 集積度も高まる。TintriのT5000シリーズが2Uで5000VMをサポートするのに対し、ハイブリッド構成の最上位機「T880」では4U サイズでサポートするVM数は最大3500だ。ストレージの設置面積や消費電力が下がる。フルフラッシュのベンダーが「SDDのコストがHDDより高くても、システムとしてのTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)は下げられる」と主張する理由である。

 こうした流れの中で、「ユーザー企業がフルフラッシュを指定する動きが強まっている」と、複数のストレージベンダーの営業担当者が口をそろえる。きっかけは「フルフラッシュを売りたいベンダーの提案」(同)とのことだが、ユーザーの指定となれば、各社ともフルフラッシュ製品でなければ提案すらできなくなってくる。

 結果、ストレージベンダー各社は、フルフラッシュ製品やSSDの価格体系から見直しを進めている。ハイブリッド製品並のリスト価格を打ち出すベンダーも出てきている。フルフラッシュ化が進めば、SSD自体の価格も下がるとの読みも織り込んでいるようだ。

 この観点からは、ストレージ装置そのものの設計力や、そこに組み込むソフトウェアの設計/開発力が問われることになる。SSDの特性に合わせたファームウェアや論理的容量を増やすための重複排除/圧縮といったデータ管理の基本的な仕組みも最適化を図る必要もある。ソフトウェア定義への移行が進み汎用サーバーの利用が可能になるとはいえ、ハードウェアに近い部分の技術力は蓄積が効く部分があるだけに、従来ベンダーの巻き返しもありそうだ。

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