[失敗しないモダナイゼーション〜マイグレーションを成功させよ〜]

【第10回】ポストマイグレーションの保守・運用を当初から考える

2015年10月26日(月)松本 吉徳

これまで、マイグレーションを実施する際に考慮すべき8つのポイントについて説明してきた。しかし、モダナイゼーションを成功に導くためには、移行段階だけではなく、移行後の運用・保守についても考える必要がある。今回は、マイグレーション後に考慮すべき点について考えてみる。

 マイグレーションの手法を用いることで、既存アプリケーションを再利用しながら維持コストが安価なプラットフォームへ移行できる。業務アプリケーションは従来の機能を保持しており、そのメンテナンスについて変化は少ない。業務アプリケーションを最大限に再利用できるよう、新たな設計および開発を極力避けるのが、マイグレーションだからだ。

変わらないアプリケーション保守

 業務アプリケーションを再利用するマイグレーションでは、アプリケーション自体は変わらない。従って、アプリケーション保守で実施する影響調査、設計、開発、テストといった一連の作業手順も変わることはほとんどない。新しいプラットフォームや開発環境に慣れるまではむしろ、生産性の面では低下するであろう。

 ただそれでは、マイグレーションで安価なプラットフォームに移行でき、運用を集約しコストの圧縮ができても、コスト比率で最も大きな割合を占めるアプリケーション保守の改善が図れない。「アプリケーションの保守の生産性が従来と変わらなければ、目的としては達成できた」との考え方もある。だが、モダナイゼーションとしては敢えてアプリケーション保守にも切り込みたいところだ。

 マイグレーションの対象になるシステムは、開発された時期が10年前、20年前ということがざらにある。長期間に渡って使用されているシステムでは「ドキュメントのメンテナンスが追いついていない」や「ドキュメント自体が存在しない」というケースが多い。そのため、保守担当者の経験に依存し、スキルトランスファーが阻まれ、開発要員のローテーションの阻害要因になる。

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