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SAPのクラウド化を専業に─テラスカイが子会社BeeXを設立

2016年2月16日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

クラウドインテグレーション(CI)事業を展開するテラスカイは2016年2月15日、ERPソフト「SAP」のソフトウェア基盤である「BASIS」のCIを専業とする新会社を設立することを発表した。新会社「BeeX(ビーエックス)」の設立予定は2016年3月1日。

 様々なソフト、アプリケーションのクラウド化が進む中、最もクラウド化とは縁遠いと思われていた大規模ERPのクラウドへのマイグレーションも、「決してアーリーアダプターだけの案件ではなくなってきている」(テラスカイ社長の佐藤秀哉氏)という。

 ERPの代表格であるSAPですら、SAP HANAに軸足を移してからはクラウド指向が顕著となっている。マネージドクラウドサービスの「HANA Enterprise Cloud」やPaaS(Platform as a Service)の「SAP Hana Cloud Platform」を発表していることからも、SAP HANAが単なるインメモリーデータベースから、クラウドサービス・プラットフォームへと進化していることがわかる。

 今回テラスカイが立ち上げたのが、このSAPクラウド化の流れにインテグレーターの立場から取り組む新会社BeeX(ビーエックス)だ。SAPクラウド化の動きは「本物」と捉え、この分野の先行者となるべく設立した。

 テラスカイは、SaaSベンダーのセールスフォース・ドットコムに特化して、同サービスのカスタマイズや移行サービス、オンプレミスとのデータ連携などを「クラウドインテグレーション」と称して提供してきたベンチャー。国内では数少ないセールスフォース特化のクラウドインテグレーターとして、大手企業を中心にトップクラスの実績を持つ。2015年4月には、東証マザーズ市場へ上場を果たしている。

 近年は、IaaS(Infrastructure as a Service)のリーダー企業であるAWS(Amazon Web Services)の優良パートナー企業として実績を積んできたサーバーワークスに出資するなど、セールスフォース以外のクラウドサービスにも手を広げている。また、サーバーワークスとの共同出資で、クラウドの保守専門会社、スカイ365を2014年に設立、サービスの幅も広げている。

 そのテラスカイの新子会社が狙うのが、SAPアプリケーションのパブリッククラウドへのマイグレーション需要だ。佐藤社長は「AWSあるいはMicrosoft Azureが主戦場になる」と見ているが、加えてSAP HANAのクラウド基盤である「SAP HANA Enterprise Cloud(SAP HEC)」も視野に入れていく考えを示している。

 新会社の社長は佐藤氏が兼任するが、副社長としてSAPビジネスに経験豊富な広木太氏を外部から招聘した。そのほか、約20名ほどのSAPエキスパートが在籍しているという。特に、SAPのクラウド化に経験を持つメンバーが多くを占めており、「世界的に見てもトップレベル」(佐藤氏)の人材を抱える、SAPクラウド化専業企業になるようだ。

 事業ターゲットは、SAP BASIS(旧SAP NetWeaver)およびインフラ領域。あえてアプリケーション領域には踏み込まない。運用オペレーションやSAPカーネル・ミドルウェア、データベース、OS、ハイパーバイザー、サーバー/ストレージ、ネットワークなどの基盤、インフラに特化することで、より多くのパートナーとの連携を図りたい考えだ。

 主要サービスとしては、AWSやAzureなどパブリッククラウドへのマイグレーションに加え、既存の基幹システムをSAP HANAに移行するマイグレーションサービス、スカイ365による24時間365日の運用保守サポートサービスも提供する。テラスカイのクラウド連携ツール「SkyOnDemand」やサーバーワークスの運用自動化ツール「Cloud Automator」を活用したサービスも、ラインナップに組み込む予定だ。

 広木氏は、「SAP ERPをクラウド化すると、それに伴い多くの周辺システムのクラウド化案件が発生する」としている。また、AWSやAzureなどのクラウドサービスは頻繁に新機能、新サービスをリリースしており、運用保守サービスを提供していく中でユーザーに対して継続的に新サービスの提案を行っていくことも可能となる。多面的な収益モデルで、ビジネス拡大を目指す。

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