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シスコが中小企業向けの「Cisco Start」を拡充、2つのクラウドサービスが利用可能に

2016年4月7日(木)笹田 仁(IT Leaders編集部)

シスコシステムズは2016年4月6日、中小企業向けのネットワーク機器製品群「Cisco Start」シリーズの拡充を発表した。新たにWeb会議システムの「Cisco WebEx」とWebセキュリティツールの「Cisco クラウドWeb セキュリティ」の両クラウドサービスが加わり、安価な特別価格で提供する。

 シスコシステムズの「Cisco Start」シリーズは、高価な価格レンジにあるシスコ製ネットワーク機器を、国内の中小企業が予算の範囲で利用できるようにしたエントリークラスのネットワーク機器製品群だ。価格を抑えたうえで、GUIベースの設定・運用を可能にし、専任のネットワーク管理者がいないことの多い中小企業でも無理なく運用できるというのがこのシリーズのアピールポイントである。

写真1:シスコシステムズ 専務執行役員 パートナー事業統括 高橋慎介氏

 Cisco Startの販売が始まったのは2015年9月。以降、ルーター、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイント、小型ファイアウォールの構成で販売されてきた。今回の拡充は、「Cisco Startシリーズとして、他の製品も利用したいという顧客の要望に応えた」(同社 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋慎介氏、写真1)もので、Cisco WebExとCiscoクラウドWebセキュリティ(CWS)の両クラウドサービスが加わることになった。

 すでに単体で大企業での導入実績のある両サービスを中小企業向けに提供するにあたって、シスコは、ライセンスの提供単位を見直し、Cisco Startとしての特別価格(キャンペーン期間中で、その終了時期は未定)で提供する。

 WebExの特別価格は年額7万5800円(税別、50ユーザーまで利用可能な2ライセンスの参考価格。1ライセンスでは購入不可)。Cisco Startのハードウェア製品との同時購入が条件の価格となっている。また、CWSの特別価格は、1ユーザー当たり年額3980円(税別、参考価格、25ライセンスからの販売)。Cisco Startの「Cisco 841ルータ」(写真2)と同時購入する必要がある。

写真2:Cisco Startで提供される「Cisco 841」ルータ(写真はCisco 841 M Jシリーズ)
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 説明会では、デモンストレーションも交えて両クラウドサービスの特徴が紹介された。ビデオ会議システムのWebExは、USB接続の安価なWebカメラがあればただちに利用できる。1ライセンスにつき1つの仮想的な会議室を作ることができ、会議室には1ライセンスの上限である25人が同時に入れる。会議中は、PDF文書やPowerPointスライドを参加者の画面に表示させることもでき、資料を示しながら説明したり議論したりといったことが可能だ。

 WebExを中小企業向けに提供することで、「日本の中小企業でも在宅勤務や、遠隔地に出張中の従業員も交えた会議など、働き方が多様化していくだろう」と高橋氏。従来大企業にしか手の届かなかったサービスを低価格で提供することで、同クラウドサービスを広く普及させ、日本人の働き方の変革に寄与したいねらいがある。

 一方のCWSは、社内ネットワークにあるクライアントが、インターネット上の業務に関係のない、あるいは有害なWebサイト/Web上のサービスにアクセスすることを防ぐフィルタリング機能を提供する。

 CWSを提供するため、シスコは、世界中に存在する多種多様なWebサーバーのURLを集めたデータベースを保持している。データベース上のURLは80ほどのカテゴリに分類してあり、悪意のあるWebサイトだけでなく、金融機関、不動産会社、ニュースメディアといったカテゴリも並ぶ。設定でカテゴリを指定すれば、社員によるこのようなWebサイトへのアクセスを禁じることもできる。

 フィルタリングの仕組みを次のように説明している。クライアントからWebサーバーへのアクセスをルーターが検知すると、ルーターはクライアントが接続しようとしているWebサーバーのURLをクラウドサービスに送信。クラウドサービスがURLを受け取ると、データベースを参照し、接続の可否を判断してルーターに返す。接続禁止という返信を受け取ったら、ルーターはクライアントの通信を遮断。接続の可否をURLで判断するので、メールを利用して悪意のあるWebサイトへのURLをクリックさせようとする標的型攻撃にも有効だ。

 このCWSの機能に加えて、Cisco 841ルータに新たに搭載された機能を利用することで、ユーザーはセキュリティ強度をより高めることができる。Cisco 841は、もともと通信の種類とデータ量をグラフ表示する機能を備えているが、ここに任意の通信を遮断する機能が利用可能になった。例えば、YouTubeの動画再生で発生した通信が回線を圧迫していることをグラフで確認し、その通信を遮断するといった管理ができる。内部から不正な形でデータが流出している様子をつかんで通信を遮断するといったセキュリティ施策も可能だ。

 一連のセキュリティの強化は、Cisco Startシリーズのユーザーから、よりセキュリティを強固にしたいという要望が多く寄せられたことへのシスコの回答でもある。高橋氏は、今回提供するサービスによって、専任の管理者を配置できない中小企業でも、あまりコストをかけず、かつ簡単な操作でセキュリティ強度を上げられるようになったことを強調した。

 Cisco Startの発売開始時、販売パートナー社数は60社だったが、その後に急増し、現在では935社を数える。高橋氏は、パートナー数の増加に満足しながらも、販売実績ではパートナー各社とも数セットのレベルにとどまるとして、「今回の拡充で、販売数をより増加させていきたい。多くのユーザーに導入してもらうことで、Cisco Smartシリーズは大きく成長していく」と期待を込める。

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