[技術解説]

オープンソースCMS「Drupal」とは? CMSにとどまらないWebアプリケーションフレームワーク

CMSとしての特徴と、日本での普及を阻む2つの壁

2016年6月22日(水)杉田 悟(IT Leaders編集部)

「Drupal(ドゥルーパルまたはドルーパル)」をご存じだろうか。ホワイトハウスやNASAでの採用実績を持つ、オープンソースソフトウェアのCMS(コンテンツマネージメントシステム)だ。日本では知名度が高いとは言えないDrupalだが、いよいよ国内普及に向けて動き出した。日本でDrupal普及に取り組むのが、大手アウトソーシング事業者であるアウトソーシングのグループ会社であるアウトソーシングテクノロジー。2016年6月21日に専任部署を立ち上げ、活動を開始している。

 オープンソースのブログ/CMSプラットフォームとしてよく知られているのが「WordPress」だ。もともとブログソフトとしてスタートしたものだが、現在ではサイト構築などでも多く利用されている。関連テンプレートやプラグインも多く用意され、HTMLやPHPの知識さえあれば容易にカスタマイズが可能なことから普及が進み、国内では最もメジャーなオープンソースのCMSといえる。

 ただし、ブログからスタートしているだけに、企業の大規模サイト構築となると信頼性に不安が残る。海外では、どちらかというと個人、小規模向けのCMSといった立ち位置になるようだ。

 WordPressよりも信頼性が高く、より規模の大きいサイトの構築に利用されているオープンソースのCMSが「Joomla!(ジュームラ)」だ。会員サイトやポータルサイトなど、管理が必要とされる商用サイトにも利用できる機能を搭載しており、各国の政府系サイトでも多くの採用実績を持つという。

 Joomla!より大規模なエンタープライズCMSとなると、これまで国内ではベンダーが提供する高額な商用CMSしか選択肢がなかった。「Drupal」はオープンソースながら、ホワイトハウスやNASAなどで採用されていることからもわかるように、Joomla!よりも更にミッションクリティカルなサイト構築にも対応できるエンタープライズCMSの新たな選択肢といえる。

(図)規模別で見た各CMSのポジション(上が大規模、下が小規模)
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 Drupalはその他にも、テスラモータースやナイキ、シスコ、ジョンソンアンドジョンソン、ファイザー製薬といった米国のIT先進企業にも採用されており、海外では最上位レイヤーのCMSとして知名度が高い。

 搭載機能としては、コンテンツ作成から検索、RSS配信、SSL、多言語対応、コンテンツ管理、ユーザー管理、アクセス権限管理、バージョン管理などを標準機能として持ち、動画やSNS、モバイル対応、承認ワークフローなどが拡張モジュールとして用意されている。

 中でも、多言語対応には注目だ。実に世界100カ国以上の言語に対応した多言語対応Webサイトの構築が可能で、対応言語数の多さは数あるCMSの中でもトップクラス。外国人観光客が増加し、2020年には東京オリンピック・パラリンピックを控えている日本の企業にはもってこいの機能といえるだろう。

Webアプリケーションフレームワークの役割を担う

 海外に目を向けると、Drupalを単なるコンテンツ管理の道具としてではなく、クラウドサービスやコンテンツを開発するためのWebアプリケーションフレームワークとして利用するユーザーも多いという。クラウドサービスと連携した大規模システムが増加しており、特に、IBMのIaaS(Infrastructure as a Service)であるSoftLayerとの連携実績は豊富だ。ちなみに、SoftLayerの専用サイトもDrupalで構築されているそうだ。

 IaaS上で利用する場合、PaaS(Platform as a Service)のコアエンジンとしての役目を果たすことができる。Acquia CloudやPantheon Cloudなどの商用PaaSでも用いられており、IBM BluemixやCloudFoundry、OpenShiftといったオープンソースのCMSと組み合わせて使うこともできる。

 Webサイトだけでなく、情報系システムも構築できる様々なアドオン部品がグローバルで2万個以上、テンプレートも200種類以上流通している。豊富な部品を使って、様々なビジネスロジックを組み立てている企業も多いという。

●Next:日本での普及を阻む2つの壁とは?

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