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加OpenTextがコグニティブ製品、オープンソースベースに2016年内に投入

2016年7月13日(水)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

企業向け情報管理ツール大手の加OpenTextがコグニティブ製品を2016年内にも提供を開始する。米IBMが展開するコグニティブサービスの「Watson」に対抗するもので、OSS(Opens Source Software)のHadoop/Sparkなどをベースに開発する。米ナッシュビルで開催中の年次イベント「OpenText Enterprise World 2016」の2016年7月12日(現地時間)に開いた基調講演で、同社CEO兼CTOのMark Barrenechea(マーク・バレンシア)氏が明らかにした。

写真:MAGELLANを発表する加OpenTextのCEO兼CTOであるMark Barrenechea(マーク・バレンシア)氏写真:MAGELLANを発表する加OpenTextのCEO兼CTOであるMark Barrenechea(マーク・バレンシア)氏

 加OpenTextが開発中のコグニティブ製品は「MAGELLAN(マゼラン、開発コード名)」。音声やビデオなどを含む非構造データと構造データを合わせた大量データから有用な情報を引き出すことを支援する。データ分析に向けては昨年、分析ツールベンダーActuateを買収し、ECM(Enterprise Content Management)やデータ交換サービスなどに組み込んでのデータの可視化を図っているが、MAGELLANで、それをさらに推し進める。

 MAGELLANはOSS(Open Source Software)ベースで開発するのも特徴の1つ。HadoopとSparkをベースにデータ管理環境をx86ベースのハードウェア上に実現し、JavaやNode.js、Scala、Python、Rといった言語でのアプリケーション開発を可能にする(図1)。

図1:OSS(Open Source Software)ベースで開発する「MAGELLAN」図1:OSS(Open Source Software)ベースで開発する「MAGELLAN」
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 そこにOpenText独自の音声認識や自然言語処理、マシンラーニング(機械学習)などのテクノロジーを組み合わせる。日本法人社長の早川典之氏は「日本企業においても、あいまい検索に対するニーズが高まっている。それに十分に応えられるだけの日本語対応を実現できればMAGELLANは企業にとって有力なツールになる」と語る。

 コグニティブ関連製品/サービスでは米IBMの「Watson」が先行する。OpenTextのCEO兼CTOであるMark Barrenechea(マーク・バレンシア)氏は、「Watsonと真っ向勝負する」としたうえで、Watsonに対する優位点を説明した。最も強調するのはオープンさ。ハードウェア/ソフトウェアがオープンスタンダードであることから、動作環境の選択やアプリケーションの拡張なども利用企業に選択権があるとするほか、「利用企業のデータを使って得られたIP(Intellectual Property:知的財産)も利用企業の手元に残る」(バレンシア氏)ことを強調する(図2)。

図2:加OpenTextが示す「MAGELLAN」と「Watson」の比較図2:加OpenTextが示す「MAGELLAN」と「Watson」の比較
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 製品版のMAGELLANは、2016年10月〜12月(同社決算期の2017年度第2四半期)にも投入する予定。ハードウェアと組み合わせたアプライアンス製品と、OpenTextが運用するクラウドサービスを提供するほか、他社のクラウド上で動作させるソフトウェア製品も用意する。

 OpenTextが推進する「EIM(Enterprise Information Management)」は、企業内に散在する各種データソースに対し、業務に必要な情報へのシングルビューの提供を目指すもの。ERPなどの基幹システムやEDI(Electronic Data Exchange)環境、Webサイトのコンテンツ管理やコラボレーションツールなどが持つ基幹データから取引データ、それらに関連する文書、ソーシャルデータなどを統合し、各種業務の効率化・自動化を可能にする。そのためにOpenTextは、各種ソフトウェアやクラウドサービスとの接続性やデータ分析機能の強化を図っている。

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OpenText / OSS / マシンラーニング / Hadoop / カナダ / Actuate

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