[ザ・プロジェクト]
山崎製パンのバリューチェーンを支えるIT基盤―計算センターの“戦略と実践”
2016年7月29日(金)柏木 恵子
パン・和菓子・洋菓子販売でシェア1位を続ける国内最大手の製パン企業、山崎製パン。全国20拠点の工場で生産される商品はフレッシュな状態で、コンビニをはじめとする10万8000店舗の巨大販売網から全国の食卓に毎日届けられている。そんな同社のバリューチェーンを支えるべく、IT組織はどのような戦略とアプローチで取り組んできたのか。2016年7月8日に都内で開催された「データセンター完全ガイドLIVE 2016 Tokyo」に、同社のIT組織・施策を統括してきた石毛幾雄氏が登壇。ITインフラの設計・構築・運用に関するヤマザキパンの“戦略と実践”を詳らかにした。
100円前後の商品がメインながら売上げ1兆円
山崎製パンは、国内の食品業界で売上げが1兆円を超えるトップ5社のうちの1社だ。上位に連ねるのは、商品単価の高いアルコール類を扱う企業であり、1点100円前後の商品を売る企業が1兆円を売り上げるというのは、相当にハードルの高いことと言える。取り扱うアイテムはパン類・菓子類のほか、弁当類なども含めると数千点に上る(図1)。
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アイテム数が非常に多く、しかも食料品ということで受注から出荷までの時間が限られるため、何をどの順番で作るかはきわめて重要だ。石毛氏(写真1)によると、山崎製パンの商品は基本的に受注生産で、各販売店からの受注は工場で受けるが、オンライン受注は計算センターが一括して担っている。1日あたりの受注件数は約380万件に達するという。
主力のパンの場合、受注してから完成までに約8時間、さらに仕分け、各店舗への配送まで含めて12時間での配送を実現している(図2)。石毛氏は、「1つの工場で500品目程度を製造するが、ラインは20前後。このため、受注してからどのラインでどのアイテムをどのような順番で作るかを決めるにはコンピュータが不可欠となる」と説明する。
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