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IoTとERPを連携させるソリューション、スウェーデンIFSがAzureベースで提供へ

2016年10月27日(木)田口 潤(IT Leaders編集部)

ERPシステムをIoTと直結し、ユーザー企業のデジタル変革(トランスフォーメーション)を加速させる−−。製造業向けのERPパッケージを主力にするスウェーデンのソフトベンダーであるIFSが、機器や装置に取り付けたセンサーやコントローラーなどのエッジデバイスと基幹業務を担うERPシステムを連携させるための製品「IFS IoT Business Connector」を発表した。IoTが現在の注目トレンドとはいえ、ERPと連携させるソリューションは珍しい。はたして、どんな機能、構成の製品であり、何を可能にするのだろうか?もう1つの注目すべきソリューションである「IFS Enterprise Operation Intelligence」と、エミレーツ航空の事例を併せてレポートする。

エミレーツ航空が採用するIFS EOIとは?

 次にIFS Enterprise Operation Intelligence(EOI)を紹介しよう。IoT BCと違って新製品ではなく、今回は機能強化版が発表された。EOIは、多数の製品があるBIツールとは一線を画した、文字通り“オペレーショナルな”インテリジェンスをサポートするツールである。

 実のところEOIはIFSが自社開発したものではない。開発元である蘭VisionWavesを2015年7月に買収して製品化した。その経緯がユニークで、中東のドバイという世界的なハブ空港をベースに急成長するエミレーツ航空がVisionWavesの製品を使っていた。そこにIFSの製品を導入することになり、VisonWavesを評価したIFSが買収に踏み切ったという。買収価格は不明だが、当時のVisionWavesは社員30人ほどのベンチャーながら”Blue Chip”と呼ばれる優良企業だけで30社以上の顧客を獲得していたから、買収は当然の判断だったのかも知れない。

 それはともかく、どんな製品なのか。IFSのCTOであるDan Matthews氏によると「Map、Monitor、Manageという3ステップのアプローチがEOIのキーポイントだ」という(図2)。

図2:「IFS Enterprise Operation Intelligence」の構成図2:「IFS Enterprise Operation Intelligence」の構成
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 まず業務プロセスやステークホルダー、満たすべき制約条件などを洗い出し、業務モデルを作る。これがMapである。次のMonitorでは、設計図や施設の見取り図などの画像に状況を示すグラフデータを重ね合わせることで、視覚的に状況を把握できる。そして何らかの状況が変わる、例えば設備に異常が起きたなどに、どうするべきかをWhat-if分析などで把握し、ワークフローなどを使って実際にオペレーションするのがManageだ。

 まとめていえば、業務を精緻にモデル化することで、何らかのインシデントが起きた場合のシミュレーションができる。しかもシミュレーションに留まらず、IoTを含めた実データを使ってリアルタイムに状況を可視化でき、かつERPと統合することで業務遂行まで支援する−−。これがEOIになる。Matthews氏は「EOIは第4世代のビジネスアプリケーションだ。その条件はアジャイルである、コネクトされている、インテリジェントである、の3つだ」と表現する。

 IFS World Conference2016では、(1)IFS Applicationsとの統合、(2)IoT BCとの連携、(3)IFSが提供する人員やなどのスケジューリング機能である「IFS Dynamic Schedule Engine」との連携、(4)ユーザーインタフェースの強化、などが発表された。買収から1年を経てIFS Applicationsとの統合が完了したと言える。

 このEOIを使っているのが前述したようにエミレーツ航空である。運航する250機以上の機材(TAIL:旅客機)計画のためにEOIを使っているという。いつ、どの路線を飛ばすか、機材ごとの計画的なメンテナンスをどうするかを計画するだけでも考慮するべき事柄は山のようにある(図3)。定期あるいは突発的なメンテナンス計画、それに配慮した定常の機材アサイン、機材故障時の対応のそれぞれに様々な制約がある。さらに、例えば世界のどこかで火山が噴火したりすれば機材計画は大きな変更を余儀なくされる。

図3:エミレーツ航空における機材(航空機)の計画要件図3:エミレーツ航空における機材(航空機)の計画要件
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 EOI(実際にはVisionWaves)導入以前は、1日分の機材計画のために2人の専門担当者が3〜4時間を要し、深刻な機材故障などイレギュラーな事態が起きると大混乱の様相を呈していた。現在は様々なシステムからのデータとMap、制約条件などを元に最適な機材計画を自動算出する(図4)。何らかのトラブル発生時にも柔軟に対応できるようになった。「時間単位、機体単位に状況をモニタリングできる。計画作成やリスケジューリングの面で非常に利便性が高まった」(エミレーツ航空のAndy Jones氏)という。

図4:エミレーツ航空が構築したソリューションの全体像図4:エミレーツ航空が構築したソリューションの全体像
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 ちなみにエミレーツ航空の拠点であるドバイ国際空港は2014年に旅客数で世界一になった。エミレーツ航空は、航空会社のトップを切って携帯電話を機内で利用可能にするなど評価も高く、エアラインオブザイヤーなどの賞では常連と言われる航空会社である。今後10年間は年率25%と極めて高い成長目標を掲げている。高い成長と評価を両立させ続けるためにも、EOIのようなソリューションは必須だったと言えるかも知れない。

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