[イベントレポート]

WANも「Software-Defined」の時代へ、ポリシーベースで運用管理をシンプルに

Riverbedが米国開催イベントで戦略製品発表

2016年11月1日(火)高橋 正和(フリーランスライター)

WAN(Wide Area Network)最適化などのソリューションを提供するRiverbed Technologyは2016年9月、プライベートイベント「Riverbed Disrupt」を米ニューヨークで開催した。それに合わせ、「SteelConnect」の新バージョンなど、SD-WAN(Software Defined WAN)に関連した各種ソリューションを一度に発表した。主なトピックを紹介しよう。

 今回のイベントが「Disrupt」─破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)などに由来する言葉─という名称だったことが象徴するように、Riverbedは会期に合わせた一連の発表を、企業のデジタルトランスフォーメーションに向けた技術と位置づけている。

Riverbedの Subbu Iyer氏(SVP and CMO)

 業種を問わず、ビジネスとITは渾然一体になり、収益力や競争力を大きく左右するようになってきているのは周知の通り。基調講演に登壇した同社のSubbu Iyer氏(SVP:Senior Vice-President 兼 CMO:Chief Marketing Officer)は、ビジネスの俊敏性を高めるために、クラウドやアジャイル開発でアプリケーションをクイックにリリースしていくことの重要性がにわかに高まっていることに触れた上で、「しかしながら、ITのインフラ、特にネットワークはそれに全く追従できていない」と語気強く指摘した。

Riverbedの Paul O'Farrell氏(SVP and GM)

 同じく基調講演の壇上に立ったPaul O'Farrell氏(SVP 兼 GM:General Manager)は、グローバル拠点間のWAN接続について、2000年代初期と現在を比較。現在は、クラウドやモバイルなども含みながら複雑性が増し、セキュリティ面は後手に回り、予測不能に陥っていることを強調した。だからこそ求められているのは、シンプルで、自動化されており、ポリシーベースで管理できるネットワークだとO'Farrell氏は述べ、それを具現化するのがRiverbedのSD-WAN(Software Defined WAN)だと位置付けた。

SD-WAN製品「SteelConnect 2.0」

RiverbedのCEO Jerry Kennelly氏

 会期に合わせて発表した「SteelConnect 2.0」は、そのSD-WANの中核となる製品である。SteelConnectは2016年1月に買収した独Ocedo社の技術をベースにしており、4月に1.0をリリース済みだ。インタビューに応じたCEO(Chief Executive Officer)のJerry Kennelly氏は「1.0は買収した製品そのままだったが、2.0ではRiverbedの技術と統合・連携させて大規模に対応できるよう作り変えた」と説明。SD-WAN製品は各社からもリリースされている状況にあるが、他社製品との違いについて、Kennelly氏は「当社はWANの領域で20年の経験がある。大規模構成に適用する豊富なノウハウを有し、それらを製品に実装している点でアドバンテージがある」と実績を強調した。

SteelConnect Managerから各種設定をするデモ
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 SteelConnectで何ができるかについては、O'Farrell氏の基調講演の中でデモが披露された。特に印象的だったのは、中央の管理者がSteelConnect ManagerのGUI上で、世界中の拠点の設定ができること。各拠点においては、アプライアンス機器をつなぐだけで煩雑な設定をすることなくWANにつなげることができる。同社はこれを「ゼロ・タッチ・プロビジョニング」と表現している。

 また、設定においては個々のパラメータではなくポリシーベースで対処できるのが特徴だ。例えば近年、WANの運用においてはインターネットVPNの他に、より柔軟性に富んだMPLS(Multi Protocol Label Switching)が採用されるようになってきている。双方の優先順位を設定しておいて、MPLS接続のある拠点であればMPLSを使うといった包括的な設定ができるほか、VoIPはMPLSを使うといったアプリケーションにもとづいた設定もできる。こうしたルールをあらかじめ用意しておくことで、多数の拠点に配布して設定できることが大きな特徴だ。そのほか、クラウドにも対応。SteelConnectと同じ技術で“コーヒーを飲むぐらいの時間で”WANに入ることができることもデモされた。

SteelConnect 2.0の変更点
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 SteelConnect 2.0では、前述のとおり、Ocedo製品のほぼそのままだった1.0に比べてRiverbedとしての手が加わっている。Iyer氏へのインタビューによると「大規模企業に対応するスケーラビリティが最大の特徴」だという。その一つにネイティブ・ダイナミックルーティング機能がある。従来は1対1で接続するため、たとえば東京に本社がある場合、ニューヨークとサンフランシスコの支社で通信するには一度東京本社を経由していた。これが、東京を経由せずに直接通信できるようになるという。また、2.0ではRiverbedの製品ファミリとの連携が強化された。WAN最適化製品SteelHeadと連携して自動的に最適化する機能や、パフォーマンス監視・管理製品SteelCentralとの連携などが挙げられている。

 同時に、WANのエッジ用アプライアンス製品SteelFusionについても、クラウド向けソリューションが2つ発表された。まず、クラウド上での提供について、これまでのAWSとMicrosoft Azureに加えて、IBMクラウドにも対応。また、ソフトウェアのバーチャルアプライアンスとして提供する「SteelFusion Edge Virtual Edition」も発表された。

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