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[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2016年11月の3本:MicrosoftがERPとCRMを統合したSaaSを開始/みずほ銀行が次期勘定系システムの開発完了を再延期/富士通とNECが国内SE子会社を再編

2016年12月8日(木)松岡 功(ジャーナリスト)

2016年11月のニュースから松岡功が選んだのは、「MicrosoftがERPとCRMを統合したSaaSの『Dynamics 365』の提供を開始」「みずほ銀行が次期勘定系システムの開発完了を再延期」「富士通とNECが国内SE子会社を再編」の3本である。

 次期システムは、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3システムを統合するもの。開発はみずほFGの情報子会社が中心となり、富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータに分割発注している。

[選択理由]

 国内のITサービス産業における過去最大規模のシステム開発プロジェクトをめぐる新たな動きだからだ。みずほFGの佐藤社長は次期システムにおける開発完了の再延期について「根本的なトラブルが生じているわけではない」と強調する。「再びシステム障害を起こせる立場ではない。絶対大丈夫という確認がとれる時期が数カ月延びる格好だ」と釈明した。

 佐藤氏がこう語るのは、みずほ銀行が過去に2度の大規模なシステム障害を起こしているからだ。「3度目はない」というのが今回の巨大プロジェクトの合い言葉となっており、システムの開発が完了し、旧システムからの移行を終えるまで細心の注意を払って進められている。

 今回の動きを受けて、筆者はかつて投資額1000億円規模のシステム開発プロジェクトを密着取材した際に、その責任者であるCIOから聞いた話を思い出した。「絶対に障害を起こさないシステムの完成を目指すのは当然だが、それにも増して、万一いかなる障害が起きても素早くリカバリーできる絶対の自信を持てるようになることが大事だ」というものだ。この観点からも、みずほの巨大プロジェクトの行方に注目しておきたい。

富士通とNECが国内SE子会社を再編

 富士通、NECが相次いで国内SE子会社の再編に乗り出した。まず富士通が9月、グループのSE子会社である「富士通システムズ・イースト」「富士通システムズ・ウエスト」「富士通ミッションクリティカルシステムズ」の3社を11月1日に吸収合併すると発表し、予定通り完了した。3社のシステムエンジニアの合計は約1万4000人。2017年度末までに彼らを取り込んだグローバルサービスインテグレーション部門の体制を段階的に強化するとしている。

 一方、NECは11月28日、グループの中核ソフトウェア会社である「NECソリューションイノベータ」と、グループのシステム開発・運用を担う「NEC情報システムズ」を2017年4月1日付けで統合すると発表した。存続会社はNECソリューションイノベータで、売上高約3000億円、従業員数約1万3000人のグループを代表するSE子会社になる。

[選択理由]

 日本を代表するITベンダーである両社の今回の動きに、システムインテグレーション事業のあり方における大きな変化を感じるからだ。大きな変化とは、押し寄せるデジタルトランスフォーメーション(変革)の波への対応である。

 NECは今回の動きの狙いについて、「AI、IoT、セキュリティ、クラウドなど今後一層の市場成長が見込まれ、かつ高度な技術が求められる領域の専門要員を集結し、NECグループの事業競争力の強化を図る」ことを最大のポイントに挙げている。AIやIoTをキーワードに掲げるのは富士通も同じだ。

 両社にとって今回の動きは、デジタルトランスフォーメーションに向けた事業で本当に競争力を発揮していけるかどうか、まさしく正念場を迎えているといえ、自らの変革が問われていることになる。この課題への対応は、ユーザー企業のIT部門にとっても同じことがいえるだろう。

筆者プロフィール

松岡 功(まつおか・いさお)
ジャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)などがある。

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